関西で今熱い、とんかつのニューフェイスに潜入!
覆面調査の現場より
「取材させていただく店には必ず事前に食べに行く」というのが、「あまから手帖」編集部のモットー。その覆面調査の裏話をお届けする本連載。今回は、門上武司さんと伺った大阪・千林『とんかつ ふじ井』の現場より。
食のエキスパートと共に新鋭とんかつ店へ!
あまから手帖2023年1月号から始まった連載、関西「揚げもん」研究所も早3回目。そういえば“研究所”と意味深に謳いつつ、誌面では全く説明していないことに気づく。
そもそも“研究会”でもいいし、“研究”とだけにしてもよさそうなものを、なにゆえ“研究所”になったのか!?
本企画を担当するフードコラムニストの門上武司さんが、その立ち上げ当初、「ならば所長やな」と仰っていたし、早い段階でこのタイトルが決まったにもかかわらず…、
なぜだったか…。
そんなことをぼんやり考えながら車窓を眺めていたら、「千林」の文字が飛び込んできて、危うく駅を乗り越すところだった。気を取り直して改札口を抜ける。まるで、駅とアーケードが合体しているかのような光景。日曜日の昼下がりとあって、往来には活気がある。
早速、おっちゃんが話しかけてきた。
と思いきや、なんと門上さんだった(大変すみません!)。
いつものハットと蝶ネクタイ姿でないのは日曜だからなのかもしれないが、その街の人々と自然に溶け込むTPO。流石だ。
食に携わること半世紀近く。すでに知っている店を回るだけでも大変なハズなのに、旨い店があると聞けば労を惜しまずどこまでも足を運ぶ。見習いたいと常々思う。
今回は、そんな門上さんとの覆面調査だ。
リブロースカツ今をときめくブランド豚を前に、早くも!?
店に入るとカウンター奥の良さげな席に通されたため、門上さんだけに「バレるの早っ!」と思ったが、その後の態度を観察しても、店主や奥さんにはバレていない様子。
じっくりメニュー表を見る。
その日は、TOKYO Xをはじめ、林SPFに、岩中豚と、今人気のブランド豚が揃い踏みだった。
昼の定食2名分と単品でそれらを全種網羅するように注文すると、ひとまずお茶を啜る。
うん、間違いなくバレてない。
あとはとんかつを待つだけ…、と、ウキウキしていたのも束の間、
門上さん、何やらカバンの中をごそごそし出し、おもむろにノートとペンを取り出すと、ひと足もふた足も早い取材臨戦モードに。
NO~~~~~~~~~~~~~~~~~おぉっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
今日は、覆面デー、まだアポとってないす~!!!
とは言えず…。
ひとまず、様子を見ることに。
ささみカツ
まだまだ終わらなかったエピローグ
昼時の店内は、店主がせわしくカウンターと厨房を行ったり来たり。 カウンターに現れたと見るや、門上さんが話を切り出す。
オープン日の確認や使用している豚のこと、人気のメニューなど(もはや取材)、店主が顔を出すたびに聞くため、店主はやがて、メモを取って聞くその姿をチラチラ気にし始めた。
店主:(恐る恐る)「もしかして門上さんですか?」
門上:(間髪入れず堂々と)「そうです」
その瞬間、ピッ、ピッ、ピ~~~~~~~~と、
覆面調査終了の笛(心の中で)。
いや、ロスタイム突入。
その後も門上さんの質問攻勢は終わらず、
果ては並々ならぬとんかつ愛が伝わったのか、
店主は、企業秘密も含め、
少々話過ぎてしまったかもしれない…。
今、3月号の関西「揚げもん」研究所を読み返してみると、
あの時の模様がまざまざとよみがえる。
やはり流石は所長だ。
で、なんで所長だったっけ!?
……。
終わり。
自家製ジューシーミンチカツ
■店名
とんかつ ふじ井
■詳細
【住所】大阪府大阪市旭区千林1-11-5
【電話番号】080-3773-2929
【Instagram】https://www.instagram.com/tonkatsu_fujii/
あまから手帖2023年3月号『中華の町へ』
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Writer ライター
あまから手帖 編集部
amakara techo