【レポート】トークセッション「京の料理・百花繚乱」

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新観光スポットになった京都水族館や、来春には京都鉄道博物館が誕生することで、今、注目を浴びているのが梅小路公園周辺エリア。JR西日本と京都水族館を始め、同エリア内に所在する企業や団体などとともに、今年5月に「京都・梅小路みんながつながるプロジェクト」を発足した。そして今回、梅小路の街と食文化を活性化させるために、11月14日(土)・15日(日)と大人も子どもも一緒に楽しめるフードイベント「京都・梅小路ごはんフェス」が開催された。

マップを片手に美味しいものを求め歩く「ウォーキングラリー」や「親子で和菓子教室」、日本を代表するラーメン店『龍旗信』『拳ラーメン』がコラボして限定メニューをキッチンカーで販売したりと、盛りだくさんのイベントだった。

食関係者必見のイベントはもう一つ。弊誌編集顧問・門上武司がコーディネートし、京の料理人3人と、京都の食文化を語るトークセッション「京の料理・百花繚乱」。和食がユネスコ文化遺産に登録されたことで、さらに注目を浴びているのが京都。だがこの古都には歴史ある京料理以外にも、フランス料理やイタリア料理と、ありとあらゆる料理が今では息づいている。各店が切磋琢磨する中、日本料理『木乃婦』高橋拓児さん、イタリア料理『イル ギオットーネ』笹島保弘さん、フランス料理『ラ・ビオグラフィ…』滝本将博さんら3人は、どう京都の地で挑んできたかについてのトークセッションが行われた。

ジョークも頻繁に飛び交う楽しい対談の中、意外なところで共通点が見つかった。50代前後である3人。偶然だが、3人とも一時はヨーロッパの食材を追い求めていた経験を持っていた。

 

笹島さんも滝本さんも、西洋の料理を極めていく上で、本場・西洋の食材を使った方がいいのではという思いが強くなった。しかし、「いつ採れたかわからない輸入物の野菜を使うという矛盾に耐えられなくなって…」。二人は壁にぶち当たった。

そんな中、日本料理の料理人は京野菜に着目し始める。生産者が種から古来の品種を復活させる、大変な努力の末、京野菜ブランドが確立、全国にその名を轟かせるようになった。その影響を受け、笹島氏や滝本氏は、海外から仕入れた鮮度が落ちたものを使うよりも、もっと優れたものが身近な京の畑にあることに気付く。京野菜をイタリアンやフレンチに。「海外のものを仕入れるという自己満足から、地場の野菜の香り高さを伝える、野菜本質を引き出す料理に」。こうして、彼らの料理が変わっていった。

一方、三代目である日本料理の高橋さんは伝統を守るという意識が強い日本料理の世界の中にあって、新たな世界を見つけることに邁進していた。「フォアグラやトリュフも一時やってみましたが、今ではまったく使わなくなった」。海外の食材やワインとのマリアージュを積極的に試し尽くした上で、自分なりの道を見つけていった。

二つ目の共通点は水。軟水である京の水は野菜にも、だしをとることにも大きく影響する。実はこの昆布だし、日本料理の『木乃婦』はもとより、西洋料理の2軒も使用している。地の野菜に、昆布だしの旨みを加えることによって、京の水だからこそ得られる上質なだし。これが、彼ら独自の料理世界を切り拓く大きな武器となった。

最後に3人に対して、未来の京都の料理についてどのような思いを持っているか伺った。笹島氏は素材も情報も豊富に得られる今の世の中で、次の世代がいかにオリジナリティーある料理を見い出していくかがポイントになると語った。 高橋さんは、すでに料理を化学的に捉えるという視点を持って実践。伝統的な京料理には留まらず、新たな地平を切り開いている。滝本さんは、ソースを煮込んで作るのではなく、抽出して作ることで得られる、より軽いソースの世界を見い出した。

 

次世代の料理人がどう築き上げていくか。これからも京都の料理界から目が離せない。(住)