【レポート】精進料理から、食べること・生きることを「考える」。

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弊誌10月号でも特集した「精進料理」。世界中のベジタリアンからの注目も高まる中、老舗料理店の後継者で組織する「京都料理芽生(めばえ)会」によるイベント「精進料理の世界へ」が引き続き話題となっている。

「精進料理」の歴史や文化への理解を目指し、今年5月から開催されている本イベント。臨済宗大本山を会場に、同会加盟者が地区ごとに料理を担当するほか、有識者らを招いて毎回のテーマに即した講演会も行ってきた。

第一回「精進料理への挑戦」妙心寺 退蔵院

第二回「利休と精進料理 茶懐石の誕生」大徳寺 芳春院

第三回「精進料理の歴史」相国寺 方丈

第四回「精進料理を楽しむ」建仁寺 本坊

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2015年の締めくくりとなる第五回の舞台は、南禅寺 龍渕閣。

テーマは「精進料理を考える」。

冒頭のテーマ講演では、自身も修業を経験した『なかむら』主人・中村元計さんをコーディネーターに、老舗料亭3店の主人が討論。京野菜の復興に長年寄与してきた『瓢亭』高橋英一さんは、「現代の食生活の中に『もったいない』精神が薄れている」と指摘。日本料理の正しい普及のために国内外を飛び回る『菊乃井』村田吉弘さんは、「低カロリーで多品目の会席料理。こんな料理、世界のどこを探してもありません」と、日本食がいかに優れているかを強調。また、同取組みを牽引してきた『木乃婦』高橋拓児さんは、その精神性に触れようと努めたこれまでの取り組みを振り返ると共に、会ごとに「気づき」があったこと、また「英一さんら先達がいてくれたから今の僕らが考えることができる。このつながりを未来につなぐためにも『命をいただくこと』の新しい表現を追求したい」と、「気づき」から生まれる食の未来について熱く語りあった。

前回同様、今回も定員の100名を大きく上回る応募があったという本イベント。「多くの方の興味を持ってもらえるのは嬉しい。でも、精進料理に興味を覚える、知りたいということは、それだけ現在の食生活に思うところがある、という証拠です」と村田さん。

参加者は振る舞われた精進料理を味わいながら、メニューに込められた「考え」を噛みしめつつ、テーマ通り「考える」ひとときを過ごした。

なおこの取り組みは、来年も継続して行われる予定だという。(穴)

 

同日振る舞われた料理(以下、抜粋)

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■先付/焼茸と林檎の胡桃酢和え、般若湯(『菊乃井』)

舞茸・しめじ・椎茸・エリンギを焼き、紅玉林檎と赤コンニャクと共に胡桃酢で和えたもの。胡桃酢は、ペースト状にしたクルミと白味噌を合わせた自家製。林檎の酸味にほの甘さが絡んで、さっぱりとした風味。からしに浸した利休麩を添えて。

 

 

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■煮物椀/けんちん揚げ 蕪のすり流し(『なかむら』)

けんちん種に、野菜のくずのほか、旨み補強のためにポルチーニ茸など茸のペーストが使われている。揚げることで油脂分をプラスしながら、蕪をすり流しにすることで油が立ちすぎないようバランスをとった。「旨み」が計算された一杯。

 

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■松花堂(右下から時計回りに)

*八寸

南瓜田楽、栗の甘露煮、大根とニンジンの甘酢漬け、銀杏慈姑餅、椎茸の揚げ煮、青味大根の味噌漬け(『木乃婦』)

*進肴

蓮根豆腐、白和え、牛蒡山椒焼(『瓢亭』)

*炊合

柿の衣煮(『柿傳』)

*飯

黒豆飯(『直心房 さいき』)

 

●問合せ/「精進料理の世界へ」事務局(京都新聞COM内)

電075・241・6170(平日10:00〜17:00)

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