【レポート】京都の老舗が探る、精進料理のあした

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老舗料理店の後継者で組織する「京都料理芽生(めばえ)会」。創立60周年の記念事業として昨年一年間にわたって取り組み、本誌でも取り上げた「精進料理」のイベントが、今年も開催されることになった。

「精進料理」の歴史や文化への理解を目的に開催されたこの事業、今年は「現代」と「これから」に照準を合わせ、4つのテーマで精進料理の魅力に迫る。

第六回「ハレの精進」 大徳寺 本坊(終了)
第七回「精進解体新書」東福寺 大慧殿(6/30開催予定)
第八回「Global Shojin」天龍寺 宝厳院(9/14開催予定)
第九回「普茶と精進」萬福寺 松隠堂(10/12開催予定)

2016年のスタートとなる第六回のテーマは、「ハレの精進」。
テーマに沿う形で、一般非公開の国宝・大徳寺 本坊で開催された。

0冒頭のテーマ講演では、「雲林院」住職の藤田寛蹊氏を迎え、「禅寺のハレの日」について、また、人に食べてもらう気持ち(もてなしの精神)──特別=豪華ではなく、本来手に入る食材に手間を掛け、心を込めて作ることが「ハレの演出」になるなどと講じた。

参加者らはこの後、聚楽第の遺構と伝わる唐門や枯山水庭園、法堂龍など文化財を見学。「国宝でハレの日の精進料理を味わうという、まさに一期一会の会」と同会会長『木乃婦』高橋拓児さんの言葉に力がこもる。

ハレの日と精進料理は、一見関係のないように見える。だが、参加者は振る舞われた精進料理を味わいながら、メニューに込められた「もてなし」の心を探す。料理や食材に表れる、もてなす側の「主」が「客」を思う姿勢。参加者はテーマ通り「特別」なひとときを過ごした。

同日振る舞われた料理(以下、抜粋)

1■食前酒(『美山荘』)/るつ(『泉仙』)/前菜(『直心房さいき』『玉屋』)

料理で松竹梅、器で鶴亀と「めでたさ」を表現。前菜は、大徳寺納豆や梅長芋蜜煮、昆布だしで炊いたキュウリなど。白和えの完熟金柑は手に入りにくいものを使用することで「ハレ」を表現したという。
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■汁物/トマトの茶巾 ブロッコリーすり流し(『美山荘』)

「幸せを包み込む」という意味をもつ茶巾を、冷たいすり流しで。だしを取った大豆、マッシュルームなどを射込んだ茶巾を、トマトのクリアウォーター、大豆だしで。すり流しは、グルタミン酸たっぷりのブロッコリー。トマトとの旨みの相乗効果を狙った。豆乳ホイップでコクをプラス。厚みがありながらも初夏らしい爽やかな一皿に。
5■揚物/ホワイトアスパラ 赤万願寺唐辛子 昆布味噌(『山ばな平八茶屋』)

■酢物/東寺巻 新蓮根麹漬 芽紫蘇 酢味噌(『みやこ鳥』)
揚物は、紅白の色合いと「鯛のお頭付き」を意識した丸ごと1本のホワイトアスパラ。食感を生かすため、ホワイトアスパラは70℃で30分火を入れた後さっと揚げ、赤万願寺唐辛子は150℃で揚げた後、冷水にくぐらせるなど、食べ手を思う“手間”でハレを表現した。

 

5-2酢物は、桂剥きにした大根と長芋、ミョウガ、三つ葉を湯葉で包んだ東寺巻。見事な断面、中央には「貴船神社」境内に自生する貴重な三つ葉が。

 

●問合せ/「精進料理の世界へ」事務局(京都新聞COM内)電075・241・6170(平日10:00〜17:00)