福井県食材勉強会開催レポート

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去る2月8日に福井県主催の食材勉強会が、大阪・中之島の『ラ・フェット ひらまつ』にて開催された。『あまから手帖』も参画し、関西の料理人の方々が参加した勉強会の一部始終をお届けします。

●福井県の取り組み
〜福井産食材の魅力を知ってもらい、地域を元気にしたい〜

今回の勉強会の趣旨は、福井県が地形や土質、風土が育てた良質でこだわりの強い食材が豊富であることを料理人の方々に知ってもらい、活用に繋げてもらうこと。近年、福井県は農業後継者の育成や地域活性化を目的として、食材の販路開拓に積極的なPRを展開している。その一環として取り組んでいるのが、「福井ゆかりの店」の開拓だ。「福井ゆかりの店」とは、福井にゆかりのある食材を使った料理やお酒を提供することを条件に、県産食材のサンプル提供や旬の味覚情報、生産現場への案内、フェアの開催支援など、様々な情報提供や援助を行うもの。現在首都圏で200店舗、関西圏で50店舗の登録があり、これらを通じて観光誘客や移住促進に繋げる取り組みも行われている。会の冒頭、こういった福井県の取り組みが県職員によって説明された。
福井県食材勉強会開催レポート

●生商株式会社によるプレゼンテーション
〜福井選りすぐりの10食材を試飲試食と共に説明〜

次に、地元で食材の卸売を行っている生商株式会社の野村社長より、食材紹介が行われた。数ある中から勉強会に抜粋された食材は全部で10種類。コカブ、上庄さといも、とみつ金時、九頭竜まいたけ、香福茸、甘えび、サゴシ、黒龍吟醸豚、地酒、やまぶどう原液。これらがディスプレイされたテーブルを一見し、「ジャンボしいたけ」との異名が頷ける香福茸の傘の肉厚さ、大輪の波打つ花弁のごとき九頭竜まいたけ、シャープな体形ながら肉付きのよいサゴシ、黒龍吟醸豚のピンクがかった肉色の美しさに目がひきつけられた。野村社長の説明を聞くと、その他の食材も個性的で滋味に富んでいる模様。参加者ひとりひとりに食材が盛られた皿が試食用として配られ、プレゼンに熱心に耳を傾けながら、皆が皆、じっくりと吟味する様子はさすが料理人!といったところ。

●素材を活かした調理方説明
〜自他共に認める「とみつ金時大使」大原シェフ(ラ・フェットひらまつ)がミニコースを披露〜

続いては、会場となっている『ラ・フェットひらまつ』の大原正雄シェフ(株式会社ひらまつ)が登場。シェフは、昨年8月に福井県産のサツマイモ「とみつ金時」に出合ったことがきっかけとなり、福井県の食材に着目。店のメニューに取り入れるようになった。今や、その知識は、県職員の方々も脱帽するほどという。特にとみつ金時については、店のグランドメニューに使用するなどかなりの入れこみようで、「とみつ金時大使」と呼んでも過言でないほどPR協力を惜しまない。そしてつい最近、晴れて(?)福井県から「とみつ金時大使」のタスキの授与が行われたそうだ! 勉強会の前に愛らしいデザインのタスキを身につけたシェフの写真を拝見させていただくと、いつもクールなシェフが「ドヤ顔」で写っているのがオツだった。そんな熱い一面が楽しい大原シェフが、紹介の食材を使用したミニコースを用意。
内容は、アミューズに「甘えびのタルタルと とみつ金時のやさしいスープ(使用福井食材:甘海老、とみつ金時)」、魚料理が「サゴシのポワレとこかぶのみぞれ(サゴシ、こかぶ、九頭竜まいたけ)」、肉料理に「黒龍豚のロースト 山ぶどうのエッセンス(黒龍豚、山ぶどうジュース、上庄さといも、香福茸)」。
プリプリした甘えびは、身の甘みとタルタルソースの酸味のハーモニーを楽しめる。とみつ金時を使ったポタージュスープは、焼き芋にしてから裏ごししてスープにしたもので、砂糖を加えずとも甘みたっぷりだ。サゴシは、パリッと香ばしく焼いた皮と弾力のある身、柔らかなフォアグラとの食感の違いが楽しく、ジューシーなコカブが口中に水分を補ってくれる。トッピングした九頭竜まいたけの香りと歯応えもインパクトがある。メインの黒龍吟醸豚は、シンプルにローストに仕上げているが脂がしつこくなく甘みがある。山ぶどうジュースを使ったソースが上品さを演出し、付け合せの香福茸の旨みと上庄さといものしっとり感も脇役ながら主張がある。素材を活かしつつ、創作性に富んだ大原シェフの料理は、これを食べられただけでも参加した価値が充分にあったと、皆が思ったことだろう。

●大原シェフも交えて質疑応答
〜料理のポイントから食材発注方法まで個別に対応〜

ミニコースの試食が終わると、大原とみつ大使も交えて質疑応答が個別に行われた。多く挙った声は、価格や流通コスト、サンプル発注の可否、複数の食材を詰め合わせた発注ができるかという質問。流通については、以前はそれぞれの生産者へ直接発注で、発送も生産者ごとであったため手間とコストがかかったが、現在は生商株式会社が代行発注・発送するので、従前よりは手間とコストがかからなくなったそう。サンプル発注は、食材によって可能なものとそうでないものがある(要問合せ)。各食材を少量詰め合わせにして発注、発送を依頼するのは可能で、福井食材を効率的に活用できるとのことだった。
参加した料理人の方々に勉強会の感想を伺ったところ、「素材の味見だけでなく、調理したものをコース仕立てで試食できたのがとても良かった」「ふだん参加する食材フェアよりも、濃い内容で学べた」「以前から福井食材に興味があったが、流通コストの採算が合わなかった。詰め合わせ発注できると知り、ぜひ、発注したいと思った」「福井ゆかりの店に登録して、食材のPRに協力したい」など、満足度の高さを伺えるコメントだった。
魅力的でこだわりのある食材ながら、生産量の関係で知名度の低いものが地方には様々にある。そういった食材と料理人が出会い、素晴らしい料理となれば、関西の食文化はさらに進化を遂げる。そんな意義が感じられた勉強会だった。
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