[食な人]ヨシデザイナー 塩田真由美さん

ヨシデザイナー 塩田真由美さん

鵜殿の葦を使った和紙による
食を彩る“地産地消のデザイン”

豊葦原瑞穂国は『日本書紀』にも記された日本の美称。瑞穂は稲穂のことだが、はて豊葦原とは? 葦はイネ科の多年草で、かつては日本の水辺のそこここに茂っていた。その葦原が淀川流域、高槻市鵜殿地区に残っている。

「紀貫之が『土佐日記』に記したほど、鵜殿の葦原は名高いんです! それに、ここの葦は雅楽の管楽器『篳篥』の吹き口にも使われる由緒正しき素材なんですよ」。柔らかい笑顔とは対照的に熱弁を揮うのは、鵜殿の葦でアート作品を手掛けるヨシデザイナーの塩田真由美さんだ。

鵜殿の葦との出合いは11年前。デザイナーとして働いた後、和紙ギャラリーを経て、「和アートカフェ」を開店した直後だった。「前職は高尚な和紙作品ばかり扱っていたので、主婦目線で和紙の魅力を伝えられたらと思って」。そのカフェに客としてやって来たのが、「鵜殿ヨシ原研究所」所長、植物生態学者の小山弘道さんだった。「鵜殿の葦で作った和紙をお持ちになられて。葦は春の新芽は数㎝なのに、夏には5m以上にもなると聞いて、その生命力に感動したんです。これだ! これで作品を作ろうと決めました」。出身地・枚方を流れる淀川流域の葦ならば、地元資源の有効活用ができるし、独自性も出せる。そう確信した塩田さんは、ヨシデザイナーとして活動を始めた。処女作は、葦の芽吹きをイメージした間接照明「成長」。2012年の「大阪スタイリングエキスポ」出展をきっかけに毎年、作品を発表し続けている。14年には『株式会社アトリエMay』を設立し、2年後、新ブランド「しおん-紙温」を立ち上げ、レターセットなどの雑貨も手掛けるように。そんな中、一般社団法人「淀川ブランド推進協議会」が発足し、理事として塩田さんにも声がかかった。

淀川ブランド再生プロジェクト第1弾として、昨年、「枚方くらわんか酒」を発売。塩田さんはパッケージの和紙を制作した。醸造元の看板銘柄「片野桜」にちなんで桜の透かしを入れた、美しい和紙だ。今後は、地元の料理屋や酒場など〝食べたり飲んだりする場〟を灯す作品を創ったり、淀川ブランド商品のパッケージを手掛けるなど「もっと大阪の食と繋がっていきたい」と塩田さんは言う。〝地産地消のデザイン〟をテーマに、その夢は膨らむ一方だ。

撮影/下村亮人 文/編・中本由美子

 

くらわんか

枚方くらわんか酒

山野酒造/720㎖ 1296円
枚方市内の農家が栽培した大阪府推奨米ヒノヒカリ100%で、『山野酒造』が醸した生酒。30BYは12月末発売予定。ちなみにパッケージデザインは、塩田さんの次女・菜津子さん作。2019年1月20日には「酒、くらわんか」イベントも。
https://yodogawa-brand.jimdofree.com/


塩田真由美(しおたまゆみ)

1959年大阪府枚方市生まれ。『アトリエMay』代表。11月18~25日、パリで催された「メゾン&オブジェ」の帰国展(京都伝統工芸館)に出展。12月12~18日は西宮阪急にて期間限定ショップも開催。
https://www.art-may.jp/


食な人〜foodist〜
2018年12月号から転載/掲載号の詳細はこちら