「ザ・リッツ・カールトン京都」の、馳走の味を堪能する「シェフズ・テーブルby Katsuhito Inoue」

祇園や河原町、先斗町など繁華街に近いながらも、静謐な空気が漂う「ザ・リッツ・カールトン京都」。ロビーラウンジから、ブティック、バー、レストランまで。隔たりなく調和する空間を進むにつれ、心が落ち着いていくのを自覚する。

舞台は、明治期の書院造りの建築を移築した「夷川邸」の脇、6席のみのプライベートルーム。エグゼクティブ イタリアン シェフ・井上勝人さんによる心尽くしのもてなしに浸れる空間だ。

「シェフズ・テーブルby Katsuhito Inoue」
https://chefstable.ritzcarltonkyoto.com

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井上シェフは、東京を皮切りに、イタリアやスペインにて修業を重ねる。2011年より東京・銀座『ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン』で料理長を務め、2019 年には「アジアのベストレストラン50」にて18 位、ミシュランガイドにて一ツ星を獲得。スペインをはじめとしたヨーロッパの三ツ星レストランなどで腕を磨いた後、2019 年より現職。「シェフズ・テーブルby Katsuhito Inoue」は、2021年8月にオープンした。
井上シェフは、東京を皮切りに、イタリアやスペインにて修業を重ねる。2011年より東京・銀座『ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン』で料理長を務め、2019 年には「アジアのベストレストラン50」にて18 位、ミシュランガイドにて一ツ星を獲得。スペインをはじめとしたヨーロッパの三ツ星レストランなどで腕を磨いた後、2019 年より現職。「シェフズ・テーブルby Katsuhito Inoue」は、2021年8月にオープンした。

「ホテルダイニングの制約を取っ払い、勝負したかったんです」。井上シェフが目指したのは、自身が納得する食材を仕入れ、遺憾なく発揮できるレストラン。例えば、今や日本だけでなく、世界のトップシェフからもオファーが殺到する、静岡県焼津(やいづ)市『サスエ前田魚店』の魚介や、京都にて料理人のオーダーに応える『石割農園』の野菜やハーブなど。シェフ自身が生産地へ足を運び、使いたいと感じた食材でコースを仕立てる。

コースが始まる前、テーブルには、その日に調理される食材がズラリとプレゼンテーションされる。
コースが始まる前、テーブルには、その日に調理される食材がズラリとプレゼンテーションされる。

料理は、繊細な季節の移ろいを表現した七十二候※をテーマに組み立てる。

※二十四節気をさらに約5日ずつの3つに分けた期間のこと。それぞれの名前には季節ごとの鳥や虫、植物、天候などの様子がつけられ、きめ細かな季節の移り変わりを感じることができる。

3月上旬のこの日のテーマは「第六候 草木萌動(そうもくめばえいずる)」。大地や木々の枝から、新たな命が芽吹きだす様を表している。

一品目は「美山豆乳の豆腐 スナップエンドウ 宇治茶のオイル」。きれいな味わいの豆腐に、エンドウの青く爽やかな風味。そこに少しの苦みを添わせる宇治茶オイル。春の訪れを感じさせる幕開けだ。

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続いては「穴子のフリット」。焦がし小麦粉のグラノ・アルソをまとわせて揚げ、その後、炭焼きで余計な油を落とす。この食感が秀逸で、パリパリと小気味よい。そして、炭のわずかな薫香、たっぷりと添えられた『石割農園』のハーブが鮮烈な余韻となって響く。

そして、今回のメインの皿は「銅駝(どうだ)の井戸水と石割檸檬、琴引きの塩ゼリー」。
「この時季の雨は、『木ノ芽起こし』や『木ノ芽萌やし』と呼ばれるように、植物の芽生えや成長になくてはならない存在。そんな“水”を、大地と海の食材と合わせることで、生命の循環を表現しました」と、シェフ。

海の食材とは、油通ししたアカザエビに昆布〆したカワハギやウニ、燻製したスマガツオなど、それぞれに仕事を施した魚介類。そこへ、京都・銅駝の井戸水と『石割農園』のレモン、京都・丹後の「琴引の塩」を合わせ、ゆるく固めたゼリーをのせる。高知県産の「LISAフルーツトマト」のセミドライと真鱈のムースで旨みやコクを加えた一皿は、透明感に加えて生命感を感じる味わいだ。

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焼き立ての芳しいフォカッチャには、「その時々の野菜の端材をオーブンでローストし、練り込んでいます」。いい食材は、端まで美味しい。余すことなく使い切りたいという、シェフの「始末の心」の姿勢が見て取れる。

フォカッチャ(左)と、ローストした野菜の端材。
フォカッチャ(左)と、ローストした野菜の端材。

他、ペペロンチーノや近江牛、シリマルエビのリゾットなど、デザートまで計11品いただいた。どの皿も、厳選した食材の美味しさが直球で届く仕立て。「ホテルから車で30分も走れば生産者に直接会って話ができる環境で料理が作れることを幸せに感じています。日々コミュニケーションを取り、生産者と共に料理を生み出し、作り手の温もりや移り変わる自然の躍動感をお伝えしたいと思っています」。

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実はこの日の日中も、シェフは生産者の元にいた。桂川沿いにある『石割農園』だ。
『石割農園』は、江戸時代から続く農家。当代・石割照久さんで10代目となる。

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「京都の老舗料亭のご主人に、『ワシの思うような野菜、作ってくれへんか』と言われたのをきっかけに、オーダーメイドで野菜を作るようになりました」。京都大学にて土壌栄養学を教えたこともある、農のスペシャリスト。滋味溢れる京野菜や、現地の味を再現した西洋野菜も有機栽培で育てる。「最近は見た目がキレイな野菜が重宝されますが、それじゃアカンと思うんです。ちゃんと、栄養価があって、食べてハッとするような味わい。それを大切にしています」。

この日収穫した野菜。アブラナ科の植物・ロマネスコや縮みキャベツ、ケール、紫カリフラワーなど。
この日収穫した野菜。アブラナ科の植物・ロマネスコや縮みキャベツ、ケール、紫カリフラワーなど。

井上シェフと石割さんは、20年以上の付き合いになるという。「東京にいる時からですね。京都だから使っているのではなく、本当に美味しいから。もちろん、大きさや味わいに関して『こんな野菜が欲しい』とオーダーすることもあるのですが、それ以上に、“どう調理したらこの野菜のポテンシャルを引き出せるのか”といった相談にのってくださるのがとてもありがたい。それが新しい料理のアイデアになることもあるんですよ」。

石割さんも「僕は普通の農家をしたくありませんからね(笑)。ウチの野菜をきっかけに店がよくなってくれるのであれば、そんな楽しいことはありませんよ」と微笑む。

生産者との対話で生まれていく「シェフズ・テーブルby Katsuhito Inoue」の料理。これからも楽しみで仕方がない。

「シェフズ・テーブルby Katsuhito Inoue」
住所:京都市中京区鴨川二条大橋畔 ザ・リッツ・カールトン京都 1階 サレッタ プリバータ
電話:075-746-5522 営業時間:18:00 一斉スタート 定休日:日~火曜 席数:6席 コース:¥32000(税・サービス料込)
※定休日、営業時間は変更となる場合あり。
https://chefstable.ritzcarltonkyoto.com
ご予約・お問い合わせ:075-746-5522 (レストラン予約直通)