【ミドコロ】2016年8月号~編集者の想い~

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うだるような暑さと引き換えに、夏の美味が出そろうようになりました。「あまから手帖」8月号では、旬に走りや名残を組み入れた、日本料理を特集しています。題して「この時季だけの日本料理」。

まず、日本で最初の板前割烹として京都に誕生した『京ぎをん 浜作』のコーナー「夏の名物がたり」。『浜作』の献立の中から、夏の代表的な料理を披露していただいています。素材は、ハモ、カレイ、アワビ、ナス、ウリ、それに夏野菜。それぞれの食材とその扱い、『浜作』ならではの味加減や食し方、日本料理の歴史や京の食文化などを紹介しています。

続く「いま食べ頃の12軒」では、若い店主による話題の新店から、中堅勢の新たな展開など、いま注目の日本料理店をご紹介。その舞台で、どのように夏の日本料理を楽しんでもらおうとしているのか、というご主人の創意を語っていただいています。料理の他、季節の設えや細部に渡る心配りなど、お店全体を調えて客人をもてなす心意気も感じていただければ、と思います。

その他、街中から1時間程度足を延ばして楽しむ「夏味を求めて 郊外へ」や、関西の夏には欠かせない「鱧のはなし」、料理に彩りを添え、季節感の演出に欠かせない名脇役「青かいしき」の紹介など、さまざまな角度から日本料理の紹介をしています。

第2特集では、大阪・堺を取り上げています。代々続く寿司店におでん店、鰻店。それから和菓子店に日本料理店など、町の歴史と共に歩み、町の人々から愛されているお店を紹介しています。また、世にはなかなか知られていない、堺の食にまつわる歴史を、コラムにて紹介。味わい深い堺を、今一度知っていただくための特集です。

あまからクッキングでは、日本料理の名店『祇園 にしかわ』による「夏のご飯のお品書き」です。どうしても食欲が落ちてしまいがちの夏。この時季にぴったりのご飯物レシピの紹介です。風味豊かな「とうもろこしの炊き込みご飯」や、小気味よい食感の「ぐじの混ぜご飯」、冷たい「スダチのお茶漬け」など。基本となる土鍋ご飯の炊き方もご指南いただいています。

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最新8月号の目次はこちら

【レポート】「エコール辻 大阪」による洋菓子店

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コンセプトは“教科書が店舗に”

食のプロを育成する教育機関「辻調グループ」。その教員自ら製造から販売まで行う『P.L.T.(パティスリー・ラボ・ツジ)』が新校舎内にオープンした。並ぶのは、製菓の教科書に載っているような、フランスを中心としたヨーロッパの伝統菓子。生菓子、焼菓子のほか、パンを含め50種類近くをリーズナブルな値段で販売。製菓の先生に、直接作り方やコツなどを聞けるのも嬉しい。
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P.L.T.(パティスリー・ラボ・ツジ)

●大阪市阿倍野区松崎町3-16-3 エコール辻  大阪1F
TEL/06・6629・2120
営業時間/12:00~18:00
休み/月・火曜(学校行事により変更あり)
価格/生菓子200円〜、焼菓子120円〜、パン180円〜。
www.tsujicho.com/plt/

【レポート】「テイスト・オブ・オーストラリア」メニューコンテスト リーガロイヤルホテル大阪 レストラン「シャンボール」が最優秀賞を受賞!

「オーストラリアの大地の恵みと秋 仔羊の背肉ロースト セップのプラリネとアーモンド、バジルのミルクレープ、ぶどうの薫製」
力強い歯ごたえと滋味豊かな肉汁は、土壌の塩分を吸い上げた牧草で育ったソルトブッシュラムならでは
最優秀賞受賞のリーガロイヤルホテル『シャンボール』の村上智彦シェフ(中央)。アシスタント高橋賢明さん(左)、ソムエリエ池田大亮さん(右)とともに。
最優秀賞受賞のリーガロイヤルホテル『シャンボール』の村上智彦シェフ(中央)。アシスタント高橋賢明さん(左)、ソムエリエ池田大亮さん(右)とともに。

オーストラリア大使館・領事館が主催した「テイスト・オブ・オーストラリア」メニューコンテストにおいて、リーガロイヤルホテル大阪『シャンボール』チームが見事、最優秀賞を受賞。2016年5月26日、大阪で開催されたその特別試食会には、関西の食の第一線で働く次世代のプロたちが多数集った。

「オーストラリアの海の恵み グレートバリアリーフと桜 海水の泡とレモンマートルの香り」 桜葉を纏ったサーモン、スカンピ、鮑にレモンマートルを用いたエスプーマの芳香と淡い塩味の余韻を効かせて
「オーストラリアの海の恵み グレートバリアリーフと桜 海水の泡とレモンマートルの香り」
桜葉を纏ったサーモン、スカンピ、鮑にレモンマートルを用いたエスプーマの芳香と淡い塩味の余韻を効かせて
「オーストラリアの大地の恵みと秋 仔羊の背肉ロースト セップのプラリネとアーモンド、バジルのミルクレープ、ぶどうの薫製」 力強い歯ごたえと滋味豊かな肉汁は、土壌の塩分を吸い上げた牧草で育ったソルトブッシュラムならでは
「オーストラリアの大地の恵みと秋 仔羊の背肉ロースト セップのプラリネとアーモンド、バジルのミルクレープ、ぶどうの薫製」
力強い歯ごたえと滋味豊かな肉汁は、土壌の塩分を吸い上げた牧草で育ったソルトブッシュラムならでは
「再構築 パヴァロワ×ティラミス」 オーストラリア伝統のメレンゲ菓子・パヴァロワに、新たな魅力を加えた、多民族国家らしい一品
「再構築 パヴァロワ×ティラミス」
オーストラリア伝統のメレンゲ菓子・パヴァロワに、新たな魅力を加えた、多民族国家らしい一品

そのハイレベルなクオリティとコストパフォーマンスの高さから、日本のシェフの間でも注目を集めつつあるオーストラリア食材。広大な大陸を国土に持つオーストラリアには、まだまだ日本では馴染みの薄い食材も多く、まさに無限大の魅力を秘めている。大自然に抱かれ、厳格な衛生基準のもとで育ったピュアな食材は、近年、各国で重視される食の安全性とともに、極上の味覚を生み出すことを証明しはじめている。

タスマニアサーモンやスカンピ、黄・赤玉ネギ、マヌーカハニーなど、今回、使用された食材たち
タスマニアサーモンやスカンピ、黄・赤玉ネギ、マヌーカハニーなど、今回、使用された食材たち

そのきっかけとなったのが、2016年4月に開催された「テイスト・オブ・オーストラリア」メニューコンテストだ。オーストラリアのプレミアム食材を使用した料理2品とデセールにワインとのペアリングを提案するという課題のもと、全国41のホテル、レストランの新世代シェフとソムリエが参加。その中で見事、最優秀賞を受賞したのがリーガロイヤルホテル大阪のレストラン『シャンボール』チームだ。

駐大阪オーストラリア総領事のキャサリン・テイラー氏
駐大阪オーストラリア総領事のキャサリン・テイラー氏
「オーストラリアの食材の進化を感じる貴重な機会を通して、さらに関心を高めてもらえれば」と審査員を務めた『HAL Yamashita』エグゼクティブ・オーナーシェフ、山下春幸氏(演台)
「オーストラリアの食材の進化を感じる貴重な機会を通して、さらに関心を高めてもらえれば」と審査員を務めた『HAL Yamashita』エグゼクティブ・オーナーシェフ、山下春幸氏(演台)

受賞を記念した今回の特別試食会開催にあたり、「日本人シェフならではの独創的なアイデアと高い技術によって、オーストラリア食材の新しい魅力が引き出された」とは、駐大阪オーストラリア総領事のキャサリン・テイラー氏。若い感性とプロの技がプラスされてなお、清らかな滋味をたたえる山海の恵みの数々は、関西の食の未来を担う次世代の感性を深く刺激したようだ。

(文/田中慶一 写真/塩崎聰)

第三回 全日本 食サミット テーマ:色いろ レポート2

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シンポジウム2
色を出す ~地方色を出し特色を活かす~

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◆講師(写真右から)
滋賀・日本料理『徳山鮓』店主 徳山浩明 氏
札幌・フランス料理『モリエール』 オーナーシェフ 中道 博 氏
広島・フランス料理『ル・ジャルダン グルマン』オーナーシェフ 小山賢一 氏
◆コーディネーター/雑誌『自由人』 代表取締役 岩佐十良 氏

二つ目のシンポジウムでは、地方で活躍する3人の料理人が登場。コーディネーターには、活動拠点を東京から新潟へ移し、雑誌『自由人』の編集長を務めながら、農業を行なっている岩佐氏が担当した。

まずは、各地の今の風景を伝える自己紹介から話は始まる。滋賀県、琵琶湖の北にある余呉湖を望む場所で店を営む徳山氏は、もう1週間ほどで鮎が解禁になる時期で、今は鰻や手長海老がおいしい時期であり、春には山菜、冬には熊などを料理すると語った。
北海道の中道氏は冬の長い北国は、5月になると梅と桜が一斉に咲き誇り、夏野菜が採れ出して、今は活気づいてきた頃だとか。そして、北海道の良さは素材の新鮮さが一番だと言い切った。
自家菜園も営む広島の小山氏は、ラズベリーが最盛期を迎えており、さらにはズッキーニの受粉に忙しい時期で、畑にいる時間が長いそう。こんなに畑での時間を持てるのは、店が忙しくないからと自嘲しつつ、仕込みにも多くの時間を割いていると語った。
そして、岩佐氏の新潟は、今年は雪解けが早く、鳥の鳴き声がサラウンドで聞こえてきて、蛍も見えるいい時期なのだとか。

岩佐氏曰く、地方の魅力は「素材が近くにあることではないか」と質問を投げかける。それに対し、徳山氏は自分の店では、素材はある意味で自然任せ。だから、思うように手に入らないこともある。それは仕方ないことで、お客さまにもわかってもらうしかないという。また、小山氏も自分で作っていても思うように野菜は育ってくれない。無いときもあれば、採れ過ぎるときもある。採れ過ぎたときに「無駄にしない」技術も必要だと語る。それを受けて、徳山氏は冬に獲れた熊や猪を加工して、夏が旬の素材と合わせて食べるなど、今でも試行錯誤を続けているそうだ。

中道氏はフランスでは地産地消は当たり前。ただ、地産食材が良質だと言い切るのはおかしいと警鐘を鳴らす。なかには良質でないものもあるからだ。ただし、そういう素材も手を加えることでおいしく食べられるようにするのが料理人の仕事だとも。また、中道氏にとって、かつて『志摩観光ホテル』の総料理長・高橋忠之氏が残した言葉が胸に残っているとか。それは「火を通しても新鮮、形を変えても自然」という高橋氏の哲学。だからこそ、中道氏は北海道ならではの鮮度のいい海老を調理にするときも火を通し、ジビエも熟成させることで自然のおいしさを表現しているという。

『ル・ジャルダン・グルマン』小山賢一氏による一皿。ズッキーニのファルシ(右上)を中心に、自家菜園から季節の野菜を添えて。
『ル・ジャルダン・グルマン』小山賢一氏による一皿。ズッキーニのファルシ(右上)を中心に、自家菜園から季節の野菜を添えて。
鮒寿司
『徳山鮓』徳山浩明氏による「鮒寿司」。日本ミツバチのハチミツを添えて。

そして、地域の伝統技術に関して、徳山氏の鮒ずしについての話が展開された。鮒ずしは3~4月に獲れたニゴロフナを塩漬けし、本漬けは7月から、11月後半から食べられるようになるというが、その見極めが難しいと語る。作り方も様々で、今でも試行錯誤をくり返しながら、チーズと一緒に食べるような新しい提案も行なうことで、地域の伝統食品をより多くの人に楽しんでもらえるように取り組んでいる。

最後に受講者から、「これから地方で開業する若い料理人に向けてアドバイスしてほしい」という声に、3人ともが「やってみるしかない」と言い、中道氏は「自分のクオリティーを上げれば、お客は必ず来る」とエールを送った。

文/大掛達也

第三回 全日本 食サミット テーマ:色いろ レポート3

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シンポジウム3
クロージングトーク~

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◆講師(写真右から)
大阪・中国料理『Chi-fu』オーナーシェフ 東 浩司 氏
京都・日本料理『菊乃井』三代目主人 村田吉弘 氏
兵庫・スイーツ『パティシエ エス コヤマ』オーナーシェフ 小山 進 氏
東京・フランス料理『レフェルヴェソンス』オーナーシェフ 生江史伸 氏
◆コーディネーター/毎日放送『魔法のレストランR』プロデューサー 本郷義浩氏

クロージングトークとなる三つ目のシンポジウムでは、「色気づく時」がテーマ。料理人が色気づくのは、料理と真剣に向き合おうと思ったときではないか。各人の考え方や価値観を大きく変えるようなターニングポイントについて、4人の料理人が語り合った。コーディネーターは『魔法のレストランR』にて、数多くの料理人と接してきた本郷氏が務めた。

村田氏のターニングポイントは3つあったという。ひとつめは21歳の頃逃げるようにヨーロッパを放浪し、世界における日本と日本料理の小ささを実感して、日本料理を何とかしないといけないと感じたとき。ふたつめはフランス料理の鴨のオレンジソースを食べたとき。それまで日本料理では、鴨は治部煮か鍋にするのが一番だと思っていたが、その考え方に対して疑問を持ち始めたという。最後は日本青年会議所(JC)に入り、『京セラ株式会社』の創業者である稲盛和夫氏に学び始めたとき。「人間は何のために生きるのか?」を考え、世の中に良きことを行ないたいと考えるようになったときだと語った。

東氏は修業先から稼業を継ぐために戻り、『ビーフン東』(東京・新橋)の料理長になったときがターニングポイントだという。人手不足に悩み、経営者的視点から店の在り方を変え、また、その後、中国料理へのアプローチにも変化が現れた。それを契機にソムリエの資格を取り、大阪・西天満に開いた店では、3業態を展開するという展開へとつながっていった。今でも、知らないことを知ることが楽しくて仕方がないといい、自分が食べて、作って、聞いて学んだことを、自分というフィルターを通して、36歳の今、若いスタッフに伝えていきたいと考えている。

生江氏は逆に、自分にはターニングポイントがなかったと振り返る。自分自身は何も変わっていない。他人が自分を見て判断するのは、その背景があるからであり、そういう意味では、慶応義塾大学を出ていたり、ロンドンの『ファットダック』でスーシェフを務めたり、そうした経歴が目立つだけではないかという持論を展開する。しかし、本郷氏の「5年前と比べてどう?」という質問に対しては、レストランの内装が変わったというユーモアも交えつつ、一方で、日本人としてのアイデンティティーが強くなり、国産食材へのこだわりが増えたとも語る。

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『パティシエ エス コヤマ』小山 進氏によるショコラ、「金木犀」と「台湾の切り干し大根」。

小山氏もまた、子どもの頃から変わってないと発言。小学生の頃から学校であった楽しいことを母へ伝えていたように、今も自分が見つけた素材の魅力などをケーキやチョコレートで表現しているだけだという。ただ、『サロン・デュ・ショコラ・パリ』で5年連続最高位を獲得したことを受けて、自分では過大とも取れる評価を受けることから、その差を埋めるように努力してきた。そういう意味では、本気で反省するようにもなり、ターニングポイントともいえるかもしれないと語った。

本郷氏は、4氏とも子どもの頃からエネルギー値が高く、知的好奇心があふれていることは共通している。そして、それを表現したいという想いが強く、だからこそ多くの人を感動させるのだろうと分析。その一方で村田氏は、ここに揃ったのは、異常で変な奴ら(笑)。共通点は、この国の食を次世代に引き継いでいくために、どうやったらいいのかを常に考えていること。自分たちの経験や哲学を若い人たちへ伝えていかなくてはいけない人たちだと結んだ。

文/大掛達也

第三回 全日本 食サミット テーマ:色いろ レポート1

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第三回目を迎えた『全日本・食サミット』のテーマは「色いろ」。2016年6月26日、当日は3つのシンポジウムと5つの勉強会がプログラムされた。その中より、今回はこの3つのシンポジウムのレポートをお届けする。オープニングを飾るシンポジウムでは、「色を作る」をテーマに、フレンチと和食の料理人、色の専門家により、色の発想から料理を考えるという内容で話が進められた。

シンポジウム1
色を作る ~色の発想から料理を考える~

第三回 全日本 食サミット
◆講師(写真右から)
大阪 日本料理『柏屋 大阪北千里』 店主 松尾英明氏
神戸 フランス料理『神戸北野ホテル』総支配人・総料理長 山口 浩氏
京都・染色家『染司よしおか』五代目当主 吉岡幸雄氏
◆コーディネーター/ジオード代表・『あまから手帖』編集顧問 門上武司

冒頭、染色家の吉岡幸雄氏の基調講演から始まった。吉岡氏は化学染料を使わず、食物染により日本の鮮やかな伝統色を再現することに挑戦し続けている。そのことをふまえ、日本の季節の彩りと歳時の関係性を軸に、ときに源氏物語を紐解き、日本人は色をどのようにとらえ、表現してきたのかを穏やかな口調で、時にユーモアを交えながら解説していく。

江戸時代には、自然の色を模した菓子が数多く生み出され、それから料理にも四季の彩りが表現されていったという歴史を解説。そして、後のトークセッションでも話題になる内容として、日本には四季があるだけでなく、それを24節季に分け、さらに72候に細分化して捉えてきたことが大きく、ひとつの候はわずか5~6日にしかならないが、その短期間の自然の変化をも感じ取り、色として表現してきた日本人の感性の細やかさを伝えた。そして、女性の着物の重ねで表現する色の組合せの妙にも参考にするべき点が多いという。

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『柏屋 大阪北千里』松尾英明氏による和菓子、「天然氷」と「緑陰」。

門上氏のコーディネートにより、ふたりの料理人の色に対する考え方が浮き彫りになる。料理だけでなく、空間や器も通して季節感を表現することを重視する松尾氏は色を考える際、平安時代の着物の「重ねの色目」など、昔の日本人が自然の色を濃やかに表現していた部分より学ぶことが多いという。また、食材の見方や調理法も、四季ではなく72候で考えることにより変わる部分もあるとか。例えば、早摘みの青葉はさっと湯にくぐらせるだけで仕上げるなど。

一方、フランス料理の山口氏はかつてのフランスでは野菜をくたくたになるまで煮込むのが一般的であり、素材の色を生かした料理を作るというのは、いかにも日本的であると思うと。ビーツを使った赤の印象的な料理を引き合いに出しつつ、山口氏の料理にとっての色表現とは驚きを与えるものでもあると解説。しかし、四季を勉強するほど自然の摂理に生かされているという感覚があることも確かで、これからは日本人の感性を生かした新しいフランス料理を創造していくべきだと語った。

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『神戸北野ホテル』山口 浩氏によるゼラチン「トマト」「スイカ」「クリームソーダ」(左上から時計回り)。植物性ゼラチンで固め、炭酸水に浮かべている。

シンポジウムの中盤には、試食を挟むことに。松尾氏は「天然氷」と「緑陰」というふたつの和菓子を用意。「天然氷」は紫キャベツや大和芋を用い、淡い紫からグレーへとグラデーションさせた層状の和菓子で、自然に張った氷を表現。「緑陰」は、えんどう豆やよもぎなど色合いの異なる緑色を市松模様に組み立て、初夏の緑葉の陰影をイメージした。

対して、山口氏は「色は人によって感じ方が異なる」という考え方のもと、逆に、色や形を無くすように調理したものを、球状のゼラチンに閉じ込めて提供した。謎めいた透明のゼラチンは3種類あり、トマト、スイカ、クリームソーダの風味が。参加者は一様にその味と香りを味わいながら、風味から得られる色を思い浮かべていた。あえて色を抜いてしまうことで概念を変えるという山口氏の手法は、色を考える上では、大胆な発想として驚きを与えたことだろう。

試食を経て、吉岡氏は「わび、さび」というものは、派手な色があってこそ成り立つ世界。そのコントラストを忘れてはいけないということを指摘。また、世の中には、まだまだ様々な色を引き出せる素材が眠っているので、柔らかい考え方で取り組んでいけば、料理における色表現はもっともっと広がっていくはずだと締めくくった。

文/大掛達也

【レポート】謎に包まれたシングルモルト・ウイスキー「ザ・グレンリベット サイファー」

ラベルに香味のヒントとなる暗号が隠されているとか。スペシャルサイトでは味、香りの両者をそれぞれ14の香味表現から6つ選ぶテイスティングゲームに挑戦できる。www.theglenlivet.jp

人は視覚から情報を8割近く得ていると言います。確かに、ある程度の情報があると、だいたい想像できますよね。お酒のブラインドテイスティングは、情報や先入観を遮断し、純粋に香りや味わいを理解するのに格好の手段であります。

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今回ブラインドテイスティングで味わったのは、今年8月に発売されるシングル・モルト「ザ・グレンリベット」の最新作。「ザ・グレンリベット」はスコットランドで1824年創業以来、世界で3秒に1本売れているほど、世界中のモルト愛飲家に愛されるシングルモルト・ウイスキーです。その最新作「ザ・グレンリベット サイファー」は謎のウイスキーをコンセプトに、熟成樽の種類、熟成年数、テイステティングノートなど情報は、非公開のまま発売されます。

発売に先駆けた試飲会。ミステリアスな雰囲気を纏った重厚な黒のボトルが、お披露目されました。続いて目隠しをし、事前情報のないウイスキーの試飲がスタート。真っ暗の中嗅覚と味覚を研ぎ澄ませ、鼻に近づけると、香りはレーズンやアプリコットのような甘く華やか香り。少量口に含むと、ハチミツやキャラメルトフィのようなこってりした味わいもあるような…。アルコール度が高く、その刺激でシナモンのようなスパイシーさも感じられる? 集まったウイスキーファンの皆様と感想を言いながら、味あわせていただきました。

…果たして、その結果は?

「ザ・グレンリベット サイファー」は8月8日(月)から発売スタート。日本での販売本数は、創業年数にちなんだ限定1824本。全国の選りすぐりのバーでのみでの扱いとなるため、見かけたらぜひお試しを。夏の夜にミステリーなウイスキーを味わってみてください。

「ザ・グレンリベット」ファンが集った会場。来日した同醸造所のグローバルブランドアンバサダーのイアン氏が軽快なトークで盛り上がった後、いよいよ試飲に。視覚を遮断すると、一気に味覚に自信がなくなってくるが…。
「ザ・グレンリベット」ファンが集った会場。来日した同醸造所のグローバルブランドアンバサダーのイアン氏が軽快なトークで盛り上がった後、いよいよ試飲に。視覚を遮断すると、一気に味覚に自信がなくなってくるが…。
ラベルに香味のヒントとなる暗号が隠されているとか。スペシャルサイトでは味、香りの両者をそれぞれ14の香味表現から6つ選ぶテイスティングゲームに挑戦できる。www.theglenlivet.jp
ラベルに香味のヒントとなる暗号が隠されているとか。スペシャルサイトでは味、香りの両者をそれぞれ14の香味表現から6つ選ぶテイスティングゲームに挑戦できる。www.theglenlivet.jp

 

●問合せ/ペルノ・リカール・ジャパン株式会社
電話03・5802・2671

 

【レポート】半夏生(はんげしょう)を復活させよう!

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「半夏生(はんげしょう)」をご存知だろうか?

半夏生とは、二十四節気には含まれない歴日のことで、夏至から11日目。今年は7月1日になる。古くから関西では、秋の豊作を願ってタコを食べる日とされていたのだが、最近では知る人もめっきり少なくなってしまっている。そこで、この伝統を復活させようと、明石のタコを味わうイベントが開催された。

会場となったのは、日本酒「福寿」などで知られる『神戸酒心館』内の料亭『さかばやし』。企画者は関西の飲食店のプロデュースなどを行っている曽我和弘さんだ。

「かつて農家では、半夏生までに田植えを終わらせないと、秋の収穫に影響が出ると言われていました。そこで、農作物がタコの足のようにしっかり根付くようにと、豊作の願いを込めてタコを食べていたんです」と曽我さん。田植えの季節は日に日に暑さが強まり、疲労もたまっている頃。タコに含まれるタウリンは疲労回復効果もあるので、理に叶った食材でもあるようだ。

この日は、明石蛸の食べ比べに始まり、もろみ漬け、お造り、磯部揚げ、茶漬けなど、日本酒「福寿」とともに、タコのフルコースがふるまわれた。多彩な調理法と味わいに、改めて明石蛸の魅力を感じるひとときとなった。
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先付はシンプルに湯がいたもの(緑の皿)と、日本酒「福寿」に1時間漬けて湯がいたもの(黄色い皿)を食べ比べ。
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もろみ漬けと燻製。濃厚なタコの旨みともろみが好相性。燻製は驚くほど力強い味わいで香り豊か。
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刺身は霜降り、叩き、生造りの3種盛りで。どれも素材の良さがしみじみと感じられる美味しさ。

明石のタコは太く短い足が特徴で、明石沖で甲殻類などの豊富なエサが食べられることで、味がよくなるという。確かに、噛むほどに味が感じられ、濃厚な旨みの余韻がいつまでも口に残る。ここに酒を合わせるのは何とも至福のひと時だ。これらの料理は『さかばやし』にて7月いっぱい提供される。

今年の7月1日は、ぜひこの美味しい風習を思い出して、明石蛸を堪能しようではないか。
主催/神戸酒心館
神戸市東灘区御影塚町1-8-17

【ミドコロ】2016年7月号~編集者の想い~

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梅雨本番。ジメジメした季節が終わると、一気に夏がやってきます。今年は暑くなるそうですが、このシーズン、不快指数の高い夜はリフレッシュの一杯が、暑い夜はクールダウンのためのグラスが必要…ということで「あまから手帖」7月号では、この夏を爽快に盛り上げる「酒場」を特集。

夏なら、こんな【お酒】をこんな【アテ】とこんな【シーン】で楽しんで!を主軸に展開する全60ページ。例えば巻頭に登場の作家・勝谷誠彦さんは「夏こそ立ち呑み」を推奨。その他、微発泡ワイン×ピンチョス×ビル街の谷間、スリランカ料理×黒ビール×川沿い、自然派マッコリ×ドラム缶焼肉×路面オープンエア…と、夏ならではの楽しみをご紹介。ちなみに著述家の江 弘毅さんのエッセイは「夏はぬる燗」。この時期に良いワケとは?

またこの季節に外せない【ビール】ですが、今年はちょっと様子が違います。何でも「できたて」がいい時代、ビールも「作りたて」が一番!ということで、街なかでビール醸造を始めた京阪神の3軒に注目。今年のビールは「醸造酒場」で、また毎年恒例、だけどますます美味しく・楽しくなっている【ビアガーデン】でお楽しみください!

後半は、日本酒コミックの金字塔『夏子の酒』の著者である尾瀬あきら先生と主人公・佐伯夏子の【夏の日本酒】バーチャル対談に始まり、夏仕様な日本酒が飲める居酒屋をご紹介。

そのほか、大阪のリトル沖縄【大正】を石垣島育ちのライターが案内するハシゴ酒ルポ、気鋭の若手バーテンダーによる【サマーカクテル】、オリンピックイヤーならではの【ブラジルの酒】案内、神戸港開港150年の節目に訪れたい【旧居留地案内】…と、夏にぴったりの酒場情報を詰め込みました。

さて、今日もアツい夜になりそうです。誰と、何をアテに、どこで?の時に、いいアテ満載の一冊、夏の保存版になること間違いなしです!

人気の巻頭連載は、関西ならではの旬魚を北新地の名店『さえ喜』が握る「瀬戸内の1カン」に、“本気の”プレミアム商品に迫る「ひと匙のバブル」。巻末連載、各界の女性の活躍を追う「女流jo ryu」には大阪・箕面の『箕面ビール』が、居酒屋探訪家・太田和彦さんが「割烹」に挑戦中の「ぼちぼち割烹」では、大阪・東天満の『なにわ料理 有(ゆう)』が登場します。

7月号は、[夏の日本酒]と[夏野菜の炊合せ]を[美人女将]のいる居酒屋で、のワンシーンが目印。ぜひ手に取ってお買い求めください!

 

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最新7月号の目次はこちら

【6/11オープン】N.Yのブラウニー専門店が京都へ!

NYオリジナル1836円(6個入)。「オリジナル」は、濃厚な味が人気の定番・チョコレートブラウニー。ほかに、パウンドケーキのような「ブロンド」、ドライチェリー入り「レッド」、チョコチップたっぷり「ダブルチョコ」、くるみを練りこんだ「ウォルナッツ」

ニューヨークの人気ブラウニー専門店『Fat Witch Bakery (ファット ウィッチ ベーカリー)』。
創業者のパトリシア ヘルディングさんは、もともとウォール街で忙しく働いていた。母譲りのレシピで焼いていたブラウニーが同僚の間で大好評だったことが、店を始めるきっかけになったという。今では、観光客が大勢訪れるNYの人気スポットになっている。砂糖は少なく、バターとチョコレートをたっぷり使用した「崩れたひとかけらでも満足できる」濃厚な味わいだ。

6月11日に海外店舗初となる京都店がオープンした。下鴨にある店の目印は、もともと呉服店だったという真っ赤な壁。

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「受け取り処」と称し、基本的に予約購入のみの販売を行っている。これには“おもてなし”の気持ちが込められており、客が売切れや行列に並んだりすることなく、スムーズに購入できるようにという配慮からだ。

予約は、店頭はもちろん、電話・ファックス・ウェブで行うことができる。全12種の定番フレーバーがあり、うち6種類がNYのレシピ、残り6種は日本限定となっている。さらに、店舗受け取り限定で「ゆず」「抹茶あずき」「ごま」3種のフレーバーを用意。特別感のあるお土産は、喜ばれること間違いなしだ。

「オリジナル」「ゆず」「抹茶あずき」「ごま」が入った京都限定の京都小箱1620円(4個入)。よく見ると魔女のイラストの下には京都の街が描かれている
「オリジナル」「ゆず」「抹茶あずき」「ごま」が入った京都受け取り処限定の京都小箱1620円※税込(4個入)。よく見ると魔女のイラストの下には京都の街が描かれている

 

 

NYオリジナル1836円(6個入)。「オリジナル」は、濃厚な味が人気の定番・チョコレートブラウニー。ほかに、パウンドケーキのような「ブロンド」、ドライチェリー入り「レッド」、チョコチップたっぷり「ダブルチョコ」、くるみを練りこんだ「ウォルナッツ」
NYオリジナル1836円※税込(6個入)。「オリジナル」は、濃厚な味が人気の定番・チョコレートブラウニー。ほかに、パウンドケーキのような「ブロンド」、ドライチェリー入り「レッド」、チョコチップたっぷり「ダブルチョコ」、くるみを練りこんだ「ウォルナッツ」

 

 

基本的にブラウニーは予約販売だが、「オリジナル」だけは店頭でも買うことができる。また、マグカップやトートバッグなども店頭購入可能だ。ちなみに、このキュートな魔女のイラストは、パトリシア ヘルディングさんがデザインしたもの。
基本的にブラウニーは予約販売だが、一部の商品は店頭でも買うことができる。また、マグカップやトートバッグなども店頭購入可能だ。ちなみに、このキュートな魔女のイラストは、パトリシア ヘルディングさんがデザインしたもの。

 


 

『ファット ウィッチ ベーカリー』日本初上陸!

●問合せ/ファットウィッチベーカリー 京都受け取り処
京都府京都市左京区下鴨東半木町67-6
電075・275・0194 営10:00~18:00(火曜定休)
予約や詳細は http://www.fatwitch.co.jp/