「食べ比べ」をして楽しむ新しい料理講習会「Tasting Time」レポート ●第1回「寿司屋の技」 ●第2回「イタリア流牛肉」 ●第3回「大阪のだし」 ●第4回「新世代ポテサラ」  ●第5回「千枚漬」  ●第6回「中国四大焼きそば」

第6回「中国四大焼きそば」レポート

「中国四大焼きそば」比べレポート

3月18日開催の「テイスティング タイム」第6回目のテーマは「中国四大焼きそば」。広東・北京・上海・四川。四つの地方の焼きそばを食べ比べ。地方それぞれの味わいの違いが楽しめるイベントを開催した。

講師:大阪・江坂『清粥小菜 明』内田法明さん
撮影/松林真幸

“焼く”だけじゃない!?
四つのスタイルの焼きそば

 中国四大焼きそば!? まず、同時にこの四つを食べたことがある人はいないのでは? ある意味、世界初の試みを体験できるイベントが開催された。講師は『清粥小菜 明』内田法明さん。今回のために調べていただき、普段は出していない四つの焼きそばを作ってくれた。
 味の違いを分かりやすくするために、麺は『廣記商行』の玉子麺を使用して、食べ比べを行う。
 まずは内田さんに、四大焼きそばの特徴のレクチャーを受けることに。「広東風 パリパリ炒め焼きそば」は、蒸す→茹でる→揚げ焼きという工程。焼きそば=焼くというイメージがあるが、この3工程を加えることにより、パリパリの部分と柔らかい部分、食感の違いを楽しむことができるのだ。二つ目は「上海風 あんかけ焼きそば」。こちらは、茹でる→焼く。玉子麺の香り、ふわっとした食感が楽しめる。三つ目は、「四川風 ピリ辛炒め焼きそば」。こちらは、蒸す→茹でる→揚げ焼き。広東風と同じような工程だが、四川ならではの唐辛子による香り、コクを楽しむためのレシピだ。そして最後に「北京風 煮込み焼きそば」。こちらは、揚げる→茹でる→煮込む。唯一、汁が多めなこの焼きそばは、麺に旨みを染み込ませるのがポイント。これら四つの焼きそばを食べ比べることになる。
 レクチャーのあとは、中華鍋をあおるテクニックをご指導いただく。軽やかに中華鍋を振り、あおる内田さんに思わず、参加者から歓声が上がる。内田さんによると、お米や唐辛子を鍋に入れて練習することが多いそう。「鍋肌に沿って具材をお玉で押しながら、返すような感覚で」あおるのがポイントだ。そして、今回は特別にラー油作りも教えていただいた。内田さんのお店では潮州ラー油という本格的なラー油を作っているが、今回は簡易バージョンを調理することに。一味唐辛子、ネギ、ショウガ、ゴマ油を加えて馴染ませたところに温めたネギ油を注ぎ入れるだけ。「意外と簡単」と参加者も驚いていた。

「中国四大焼きそば」比べレポート

中国焼きそばの魅力を伝えてくれる内田さん(上左)。広東風は一番シンプル、パリパリに揚げ焼きした部分と玉子麺の柔らかい部分のコントラストが面白い(上右)。軽やかに中華鍋をあおる内田さん(下右)。

「中国四大焼きそば」比べレポート

上海風は甘辛い醤油を使ったあんかけが特徴(上左)。四川風は大きな唐辛子、朝天辣椒(チョウテンラッチュウ)が上に乗るが、辛みは控えめ。唐辛子の風味が麺に移っている。(下左)。北京風はスープを麺にたっぷり吸わせたタイプ(下右)。

食感、風味の違いに驚愕。
四大焼きそばの奥深さ

 調理実習、開始。グループ別に、ラー油と広東風・上海風の焼きそばを作ることに。この二つの焼きそばは比較的簡単なレシピとあって、参加者もスムーズに作り上げていく。麺をパリパリに揚げ焼きしたり、あんかけを作ったり。ラー油も芳ばしい香りを立ち上らせる。「家でも作ってみようかな」「自分でもやってみようかなと思うレベルでちょうどよかったです」と前向きな発言も多く聞かれた。
 そしてお待ちかねの試食タイム。「広東風のパリパリいい感じ」「上海風のあんかけが麺とよく馴染む」。満足そうな笑顔が次々と輝く。ステージの端では、内田さんが特製の四川・北京の焼きそばを作り上げ、参加者に配膳される。「大きな唐辛子だったから、ひるんだけど、美味しいです」「麺がたっぷりだしを吸ってて美味しい」。「四つ、どれもよかったです。感激しました」「まったく違う美味しさで大満足です」。「奥深いですね。焼きそば!」。四つの焼きそば、それぞれの食感の違い、風味の違いに感心する参加者の声が多数聞かれた。
 締めは、特製の中華デザート。ちゃんと杏の種を使った杏仁豆腐とカシューナッツ香り揚げ。「お腹いっぱいでしたけど、デザートのおかげですっきりしました」。どちらも内田さんのお店の人気デザートとあって感嘆の声が上がる。
 ところで注目の人気ランキング。1位は広東。2位は僅差で四川。3位、上海。4位は北京の順。シンプルな中に秘められた工夫が参加者を魅了したようだ。中国全土にはまだまだ異なる焼きそばもあるだろうが、またこのイベントで食べ比べできたら、きっと楽しいことだろう。


撮影/松林真幸

「中国四大焼きそば」比べ

麺をパリパリに揚げ焼き成功(上右)。あんかけもかけて完成。(下中)。すっきりとした甘さの杏仁豆腐。奥はやめられない系の旨さ、カシューナッツ香り揚げ(下右)。

大阪・江坂『清粥小菜 明』内田法明さん

講師プロフィール

大阪・江坂『清粥小菜 明』内田法明氏

爽快な辛みにコクある旨さの赤鬼麻婆豆腐と名物XO醤の粥を軸に、人気急上昇中の中国料理店。ガシラの姿蒸しホット葱ソース、翡翠海老と緑色野菜のあっさり炒めなど、ひと技加えた中華の一品を披露してくれる。

第5回「千枚漬」比べレポート

「千枚漬」比べレポート

12月18日開催の「テイスティング タイム」第5回目のテーマは「千枚漬」。師走になり、まさに旬、京都三大漬物の一つである千枚漬を食べ比べ、さらにパーティ料理に変化させるイベントを開催した。

講師:京都 料理研究家・食空間コーディネーター 山本美幸さん
撮影/松林真幸

千枚漬を食べ比べて、
自分だけのチャートを

 京都の三大漬物——すぐき、柴漬、そして千枚漬。他の2つは乳酸発酵系で酸味がしっかりのものが多いが、こちら千枚漬は浅漬の仲間。11月から3月頃にかけて製造され、ちょうど今がシーズンだ。この千枚漬の魅力を引き出してくれるのが、今回の講師である山本美幸さん。あまから手帖本誌で2013年から2014年にかけて、「TSUKEMONO」という連載を企画監修いただいた。身近なお漬物をお洒落な料理に変貌させるというテーマだ。今回は「TSUKEMONO」のテクニックを使って、千枚漬をパーティ料理に変身させる。
 まずは冷蔵庫なので残った漬物の活用術。白菜・ナスなどの糠漬系は、フレッシュな野菜と混ぜて活用。鍋料理や炒め料理にも合う。タクワン、ラッキョウなど味付けの濃い漬物はチャーハン、パスタなどの具材にも使える。先ほども登場したすぐきや柴漬など、乳酸発酵系は酸味や旨みをいかして肉と炒めたり、サンドイッチの具材にもいける。チーズとの相性もいいのでワインと合わせるなどという工夫もできる。
 このような活用法を説明しながら、過去のあまから手帖での誌面を振り返ることに。漬物がオシャレな料理に変貌しているさまに、参加者も驚きの表情を浮かべていた。ここでポイントとなるのは料理だけでなく、テーブルコーディネート。食空間コーディネーターでもある山本さんから、テーブルコーディネートのコツを簡単にレクチャーしてもらった。テーマカラーは3色まで、高さを意識した盛り付けをすることで一段と華やかなパーティ料理になることを教わった。
 そしていよいよ千枚漬の食べ比べに。今回は京都の漬物メーカー5社の商品をテイスティング。酸⇔甘を縦軸に、シャキシャキ⇔しんなりと食感を横軸にとり、それぞれの商品がどこに位置するかを参加者がマーキング。「酸味や甘みなど、ブランドによって全く味が違う事が分かって面白い」。「私はシャキシャキ感がある方が好き」などと、このチャートがあると、好みの味を見つけていく手助けになる。もちろん正解というものはなく、個人個人の好みが分かれているのが面白いのではないだろうか。

「千枚漬」比べレポート

千枚漬5種を食べ比べ(上右)。「普段、買っているメーカーでないものも買ってみたくなった」という参加者も。テーブルコーディネートのコツについてレクチャーする山本先生(下左)。

意外とお手軽。
千枚漬がパーティメニューに!

 ティスティングの後は山本先生による料理デモンストレーションの講座が開かれた。今日は5品を作ってもらうことに。ライスペーパーと千枚漬で具材をくるくる巻いて、手軽にできる「生春巻きの野菜ロール」。千枚漬とスモークサーモン、オレンジを細かくカットしてバケットにのせる「オレンジ風味のサーモンバケット」。明太子とカッテージチーズを具材に千枚漬で巻いて揚げる「明太子ロールフライ」。ホワイトソースに優しい酸味を加える「豆乳グラタン」。残った野菜を多品種、細かく切って作る人気のサラダ「チョップ ド サラダ」。どれもかなりお手軽。それでいてお洒落にできるのが嬉しいところ。千枚漬は巻くのにも便利だし、細かく切って具材にすることで酸味や食感を加えることもできる。漬物を加えることから、塩分を足さなくてもいいということなど、「TSUKEMOMO」ならではのテクニックを学ぶことができた。次はいよいよ、調理実習だ。

「千枚漬」比べレポート

オレンジ風味のサーモンバケット」(上左)。「チョップ ド サラダ」(上右)。「明太子ロールフライ」(下左)。「生春巻きの野菜ロール」(下右)。

千枚漬オードブルの
オンパレード

 第3部は各テーブルに分かれての調理実習。品数はこれまでの回より多いが、比較的簡単なレシピなのでスムーズに調理が進む。その間に山本先生は今回の料理をテーブルコーディネートして盛り付けた。お皿をかさ上げして立体的に盛り付けることで、より華やかな印象に。ほんの少しの工夫で食卓を楽しくできるのもテーブルコーディネートの魅力の一つだ。5品作り上げた参加者は自ら作った千枚漬オードブルを試食をすることに。「こんなに上手にアレンジできるとは驚きでした。漬物単体で食べるより、こういう風にしたらいいという、ヒントをいっぱいいただけました」「漬物にしっかり味が付いているので、お酒のお供にもよさそう」と参加者が思いを伝えてくれた。
 試食には、さらにサービス料理として千枚漬を使った「アボカドコロッケ」「アスパラガスの生ハム巻」、そしてデザートにはゴボウの醤油漬を使った「ゴボウのタルト」が登場した。ゴボウのタルトは意外性たっぷりの味わい。醤油のコクがあんこと不思議に合う一品で「ゴボウだから臭みがあると思ったけれど、意外と美味しかった」と好評価が得られた。
 冷蔵庫に残った漬物をアイデアを利かすことで素敵な一品にとって変わる。「TSUKEMONO」アレンジ、参加者の家庭でも見られることになるだろうか?


撮影/松林真幸

「千枚漬」比べ

赤・緑・黒の三色でパーティ料理をテーブルコーディネート。写真手前から、「豆乳グラタン」「オレンジ風味のサーモンバケット」「明太子ロールフライ」「生春巻きの野菜ロール」。オリーブをちょこんとのせた「アボカドコロッケ」アスパラが飛び出た「アスパラガスの生ハム巻」「チョップ ド サラダ」(下右)。コクある旨さのゴボウタルト(下左)。

料理研究家・食空間コーディネーター 山本美幸さん

講師プロフィール

料理研究家・食空間コーディネーター山本美幸さん

京都市内にておもてなしサロンを主宰(予約制)し、記念日・誕生日などのパーティー料理、テーブルコーディネートの講習、お漬物を使ったアレンジ商品開発、レストランの店舗コーディネートなど、多岐に渡った活動を手掛ける。

第4回「新世代ポテサラ」比べレポート

「新世代ポテサラ」比べレポート

11月3日開催の「テイスティング タイム」第4回目のテーマは「新世代ポテサラ」。実はポテトサラダは今、新時代に突入。進化系・新世代が次々と登場しています。そんな新世代ポテサラの作り方を食べ比べしながら、紹介するイベントを行ってきました。

講師:大阪・恵美須町 居酒屋『あなぐま亭』小沼亮子さん、泉谷洋平さん
撮影/松林真幸

ポテサラ四段活用で学ぶ
新世代系とは…

 ポテトサラダ。シンプルながらも愛好者の多い、庶民派の食べ物。しかし「イモの潰し加減が」「マヨネーズの量が」「キュウリの塩加減が」などと、愛好者のこだわり、想いはさまざま。実はそんなポテサラが今、新時代に突入、進化系・新世代ポテサラが多くの店で次々と登場している。今回は創作技巧みな居酒屋料理人『あなぐま亭』さんを講師に迎えて、「え?これもポテサラなの?」という驚きの品を食べ比べしながらの料理講習を行った。
 まずはポテサラ「四段活用」の説明から。作り方を解剖することで新世代ポテサラの作り方のイメージを描きやすくすることに。

 “第1段階”では芋を茹でる・蒸す・つぶす。続いての“第2段階”では和える、乳化させる。つまり、マヨネーズなどで、茹でた芋を馴染ませる。こうして基本となるポテサラのベースができあがるわけだ。
 ここからは応用編に突入。“第3段階”はベースに対し、歯ごたえや旨み、香り、風味、スパイスを加えていく。例えば定番どころでいうところの玉ネギや玉子、ハムなどがそれに当たる。アレンジとして、ワサビや海苔、椎茸のだし、ナッツなどを加えるとひと味変わることになる。さらに“第4段階”にて、焼く、揚げる、挟む、巻く、詰めるなどのアレンジを調理に加えることで、ポテサラが進化、こうして新世代のポテサラが生まれていく。

 では具体的に進化系の料理はどのようなものか『あなぐま亭』さんによる料理デモンストレーションで見ていくことに。今回は ❶塩昆布のシンプルポテサラ ❷カレーポテサラのガルツ(カツレツ) ❸アボカドとパプリカのポテサラの3品を作っていただいた。
 ❶塩昆布のシンプルポテサラは、ジャガイモを炊く時に、和風のだしを含ませておくのがポイント。しかもベースの状態で冷凍できるので、異なるタイプのポテサラへとアレンジすることが可能だ。
 ❷ガルツとはカツレツのこと。『あなぐま亭』さんのメニューの黒板に“カツレツ”と書いた文字を、お客さんが“ガルツ”と読み間違えたのがメニュー誕生のきっかけだとか。家庭で少し食べ残ったカレーを使って作ってもいいのがユニーク。カレールゥに先ほどのポテサラのベースを混ぜ、それを豚バラ肉でくるっと巻いて、揚げ焼きする。これでOK。手軽で応用が効くことから「これは家でもできる」と思った参加者も多いことだろう。
 ❸アボカドとパプリカのポテサラ。こちらはマヨネーズを使わずにクリームチーズやワインなどで乳化させたタイプ。「マヨネーズを使わなくても、ポテサラはできるんだ」との発見が。こちらの料理も、途中の段階でなら冷凍保存が可能。スナック菓子のアレンジを加えると、ホームパーティにも使えるポテサラ料理と言えるだろう。

「新世代ポテサラ」比べレポート

「だしを含ませるのが意外」と人気NO.1だった塩昆布のシンプルポテサラ(上右)。スナック菓子をインパクト大で盛り付けるアボカドとパプリカのポテサラ。アボカドとの食感の違いも面白い(中左)。手軽だがクセになる旨さのカレーポテサラのガルツ(下右)。

アイデアたっぷりの
新世代系にハマる

 お二人の実演を受けての参加者による料理講習会。各テーブルごとで分担して3つの料理を作ることに。みなさん手慣れた感じでポテサラを調理する。作り慣れたポテサラではあるが、今回はアレンジのアイデアが面白い。「おだしを入れるとは盲点でした」「キュウリを入れる前に冷凍するというのもやってみたい」。冷凍に関しては、主婦でもある『あなぐま亭』の小沼さんの思いがアイデアになったもの。これまでは家庭の味に、家族みんなが合わせていたが、冷凍したベースをストックしておけば、さまざまなアレンジを加えることで、家族それぞれの好みに合わせたポテサラに作り分けることもできるようになる。講師の『あなぐま亭』さんは「失敗を恐れず、味見をこまめにしていくことが大切です」と口を揃える。参加者からは「調理は簡単でしたがポイントがあり、ちょっとしたことで本格的になりました」という声があった。あくまでもポテサラは、家庭料理。だが、ほんのひと手間加えることで、これまでとは違った味わいが食べられ、食卓もきっと楽しくなるはずだ。

「新世代ポテサラ」比べレポート

「講師の方に直接の質問できるのが嬉しい」という参加者も。手軽な家庭料理がユニークな姿に変わっていく。「盛り付けがみなさん、本当に上手でした」と驚く『あなぐま亭』の小沼さん(中右)。「男爵だけでなくメイクイーンの活用を知りたがっていた方がおられたので、新作を作ってみたいです」と泉谷さん(下左)。

次々と登場する
創意あふれるポテサラ

 きれいに盛り付けた後はお楽しみの試食。実習で作った3品に加え、『あなぐま亭』さんからのサービス料理が登場。❹鴨生ハムのポテサラ 黒エクレア仕立て ❺ミルフィーユ仕立てのポテサラ ❻鮭とキノコの焼きポテサラ グラタン仕立て、が登場した。ポテサラを超えた、斬新な姿に参加者も興奮。先ほどの“第4段階”をたっぷり活用したことでできる、これまたパーティにもってこいの楽しい料理だ。仕上げは、❼サツマイモのレアチーズブリュレ。デザートまでポテサラをアレンジ。思わず、「一度にこんなにお芋を食べたのは初めてです」。「ポテサラがどんどん進化していくのを実感できました」。「お酒が欲しくなりました」との声が聞かれ、思い思いに楽しんでいただけたようだ。『あなぐま亭』さんからは「ご家庭では今回のメニュー以外の転用の工夫をぜひ探っていただけたら、と思います。レシピはこれでなければ、というものではないので、ベースのポテサラやクリームなどそれぞれにアレンジして、それぞれの家庭の事情に合わせた新世代ポテサラができていったら面白い」と。また、「みなさん美味しいものに対してとっても貪欲というか前向きで楽しかったです。充分家庭料理は作れるのだけど、この会で『知識を得たい』という意欲を感じました」。家庭でもプロの料理店でもヒント次第で、料理の幅は広がるもの。積極的に知識やアイデアを知ることで、作る料理はきっと変わっていくことだろう。最後に小沼さんは「どんどん失敗してアレンジして、自分にとって美味しいものを作っていただけたらと思います。そのために、徹底的に味見をして味の変化を知ってほしいです」と体験談から得た自身の想いと重ねて伝えてくれた。


撮影/松林真幸

「新世代ポテサラ」比べレポート

まさに新世代ポテサラのオンパレード。ポテサラミルフィーユ仕立てのポテサラ(上右)、鴨生ハムのポテサラ 黒エクレア仕立て(下左)、鮭とキノコの焼きポテサラ グラタン仕立て(下中)、サツマイモのレアチーズブリュレ(下右)。

大阪・恵美須町 居酒屋『あなぐま亭』小沼亮子さん、泉谷洋平さん

講師プロフィール

大阪・恵美須町 居酒屋『あなぐま亭』小沼亮子さん、泉谷洋平さん

倉庫を改装した恵美須町のまさに隠れ家的居酒屋。
「骨抜きの鱧造り」「ハモパン」「半熟玉ひも醤油漬け」などと、ひとひねり、ふたひねり加えたアイデア料理が人気。浮ついた創作ではなく、しっかりと安定感あるのがこの店ならでは。全国から集めた日本酒も多彩で、夜はもちろんのこと、昼酒もOK。時には店内で投げ銭ライブなども行われる、ユニークな酒処。

第3回 大阪の「だし」比べレポート

大阪の「だし」比べレポート

10月9日開催の「テイスティング タイム」第3回目は大阪のだしがテーマ。日本料理、そして大阪料理ならではのだしの魅力を日本料理『和洋遊膳 中村』中村正明さんに教わることに。

講師:大阪・西心斎橋 日本料理『和洋遊膳 中村』中村正明さん
撮影/松林真幸

カツオと昆布だしがベース。
大阪料理の店ならではの味を比べて

 今回のレッスンではいきなり2つのだしが配られた。中身は大阪のだしの基本となる真昆布とカツオ節、もう一つはカツオの代わりにマグロ節を使ったものだ。「マグロ節なんて初めて〜」「どっちも美味しい」「意外とマグロ節が濃厚だった」「しみじみする味」と参加者からの表情が緩む。大阪で活躍する日本料理人たちの勉強会「大阪料理会」にも所属する中村さんの味を大絶賛していた。
 次は昆布とカツオ節を基本のベースとして、これにカブラの皮、干しエビ、鯛の骨のだしを加えた3種を比べることに。カブラの皮や鯛の骨など、素材を捨てずに大事に使い切ることで味を深めるという大阪料理の特徴の一つ「始末の心」が感じられた。
 「カブラのだしにビックリしました」。「皮からでもいいおだしがとれるんですね」「カブがおだしに浸されていて美味しかった」。普通捨てがちなものを使って、味を深める。この技の凄さを参加者は深く実感したに違いない。

大阪の「だし」比べ

中村さんのユニークなトークで場は和やかに。面白いエピソードも飛び出した。ご家庭で毎日だしをとっている人もとっていない人も、実際に比べてみることで、だしの凄さを再認識したのでは。

カブラの皮や鯛の骨で
だしの旨さを深める

 続いて、中村さんによる料理デモンストレーション。主にスモークサーモンを切る弾力のある長い庖丁を持ち出し、「これ実は便利なんですよ」とカブラをさばく中村さん。和の料理人ではあるが、志摩観光ホテルやスウェーデンの公邸料理人と異色な経歴を持つだけに、料理にも柔軟にいいものを取りようとする姿勢が垣間見えた。だしをとる時も、キッチンペーパーにカツオ節を包んでだしをとるなどのテクニックも教えていただき、少しずつ家でも「だし」とりを頑張ってみようかなという初心者の意欲も上がってきたかもしれない。デモンストレーションの内容は①鶏つくねとカブラ椀(カブラの皮だし)、②茄子オランダ煮 とろろ掛け(海老だし)、③しろ菜と鯛の身 ゴマ浸し(鯛の骨だし)。見るからに本格的な和の一品だが、本企画では難しい部分はお店の方が作ってきたものが用意されているので初心者にも安心だ。

大阪の「だし」比べ

スモークサーモンを切る庖丁でカブラをさばく中村さん。丁寧にとっただしで作り上げたのは、鶏つくねとカブラ椀(カブラの皮だし)(左上)、茄子オランダ煮 とろろ掛け(海老だし)(右中)、しろ菜と鯛の身 ゴマ浸し(鯛の骨だし)(中下)の3種。

3つの料理実習を行うことで
だしをとることの大切さを感じる

 第3部はいよいよ参加者による料理講習。テーブルごとに分かれて調理を分担して行う。各テーブルを中村さんと中村さんのお店のスタッフが回りながら、アドバイスを送る。直接教えてもらえるのが好評の様子。参加者はかぶらへの火の通し加減、ゴマのすり方のコツなど、プロのテクニックを実体験していた。
 3品を作り終えれば試食。「しろ菜もいいお味。久しぶりに食べました」「ナスとエビって相性いいと聞くけれど、本当ですね。旨みが増してる感じ」。参加者が作った料理のお味も上々な印象。だしの味付けなどはお店でやっているので、よりプロの味に近い形で味わえる会なのだ。ひと通り食べ終わる頃に、サプライズの料理が登場。鯛の骨をとる時に残った身を焼き、もち米と野菜を加えて炊き込みごはんにし、笹で巻いた「鯛の笹巻ごはん」、残ったかぶらの皮と葉を昆布だしに漬けて塩もみして、刻み柚子で香り付けした「かぶら大阪漬」が登場。しっかり素材を余すことなく使い切る大阪料理のテクニックがサービス料理にも表れていた。おまけに中村さんのお友達が作っているコーヒーを使った「コーヒーゼリーとパンナコッタ」のデザートが。これは大阪料理でもなんでもないが、和洋遊膳と銘打ち、洋の料理が楽しめる中村さんのお店らしいサービス。お腹も満足したところで、第3回のイベントは無事終了した。
 「これからはもっとだしをとるのを頑張ってみます」。「だしの自然な味が大切とわかった」。「だしとり、止めたらアカンと思いました」。などと、だしの大事さを再認識した参加者たち。料理の味を深める大阪ならではの技法がもっと広まっていければ、食卓はもっと豊かになることであろう。

撮影/松林真幸

大阪の「だし」比べ

「面倒臭がっていたら美味しい料理はできません」と中村さん。今回はシンプルな料理が中心だっただけに、参加者にもだしの大切さが伝わった様子。本日のサービス料理は「鯛の笹巻ごはん」(右下)、「コーヒーゼリーとパンナコッタ」(中下)。

大阪・西心斎橋 日本料理『和洋遊膳 中村』中村正明氏

講師プロフィール

大阪・西心斎橋 日本料理『和洋遊膳 中村』中村正明さん

名門『志摩観光ホテル』からスウェーデン大使館の公邸料理人に、さらに浪速割烹の雄『法善寺 㐂川』で腕を鍛えた中村氏。多彩なアラカルトは本格和食から、「鴨とフォアグラのブリュレ」など、洋の要素を加えた幅広い和洋折衷の料理が楽しめる。

第2回 イタリア流 「牛肉」食べ比べレポート

イタリア流牛肉の食べ比べ

雑誌『あまから手帖』制作のポイントの一つが食べ比べ。この「食べ比べ」と「料理講習会」を合体させた、新しいカタチの料理講習会「テイスティング タイム」を9月19日に開催。第2回のテーマは「イタリア流 牛肉」食べ比べ。イタリア料理『ペッシェロッソ』山中伸彦さんにイタリア流の牛肉の使い方、選び方に教わった。

講師:大阪・心斎橋 イタリア料理『ペッシェロッソ』山中伸彦さん
撮影/松林真幸

なにわ黒牛と佐賀牛を
非熟成ものと熟成もので食べ比べ

 牛肉の“部位”ごとの食べ比べならば、焼肉屋さんなどで体験できるが、なかなか“ブランド牛”を一度に食べ比べすることは稀ではないだろうか。その食べ比べをイタリアンの調理方法で感じてもらうイベントが大阪ガスのハグミュージアムで行われた。
 3部構成のイベントの第1部は牛肉のテイスティング。本日用意されたのは大阪の肉牛、なにわ黒牛の非熟成ものと佐賀牛の熟成ものだ。講師の山中さんはあまから手帖の取材で、なにわ黒牛の牧場を見学したこともある。老夫婦により丁寧に飼われていること、などと生の体験を披露してくれた。
 ひと通りの説明が終わったところで、まずはシェフ特製のポルペットーネ(イタリア風の肉団子)とローストビーフの食べ比べをすることに。スタッフにより、熱々のお肉が運ばれてくると参加者から「え、いきなり食べられるの?」と、どよめきが。小ぶりのポルペットーネをひとかじりすると、肉汁がジュワッと溢れてくる。今回の食べ方によると、なにわ黒牛の方がジューシーな印象。ただし肉の旨みは佐賀牛などと、テーブルを囲む参加者の間でも好みが分かれている様子。「私は食べやすい、なにわ黒牛」。「風味を感じる佐賀牛の方が好き」と意見がさまざまに異なっていたのが印象的だった。
 続いてローストビーフで同じ牛を食べ比べ。「まさに肉って感じ、旨みが凝縮されてる」「噛めば噛むほど旨みが出てくる」と早くも肉の旨みに浸っている参加者の姿が見られた。次はイタリア風薄切りステーキ、タリアータの料理が運ばれてきた。国産短角牛と、フランス産のフルール ド オーブラック牛を比較することに。後者は高山に生える草を食べて育っているため、独特の風味を持つことが多い。その風味に慣れているかどうかで好みは分かれるところだが、「フランス産の方がミルキーな感じが好き」。「短角牛の方が食べ慣れている感じ」「フランス産はもっと強いクセがあると思ったけど、意外と控えめ」などと、さまざまな声が挙がっていた。好みは食習慣によっても、味付けによっても変わるもの。「固定観念を持たずに試してほしい」とシェフはメッセージを伝えていた。

イタリア流牛肉の食べ比べ1

山中シェフが今回取り上げた、ブランド牛それぞれについてわかりやすく説明する(上左)。小さく丸めたポルペットーネをテイスティング(右下)。参加者それぞれ、牛肉に対する意見を話し合っていた。

パスタに牛肉ロール焼き。
テンション上がるデモンストレーション

 第2部は山中さんによる料理デモンストレーション。今回はなにわ黒牛を使ってボローニャ風 ミートソースのパスタ“ボロネーゼ”と、イタリア風 牛肉ロール焼き“ロートロ”を作ってもらうことに。たちまち広がる美味なる香りに、参加者のテンションも上がってきた。炒めた後は赤ワインやポルチーニの戻し汁、ブイヨンを加えて煮込む。難しそう?と、不安そうな顔も見られたが、今回のテイスティング タイムは初歩的な料理講習なので安心。シェフ自らが作ってきてくれたミートソースを使っての料理講習だと説明。それを聞いて安堵の表情を浮かべる男性客も。シェフならではの味をできるだけ食べてもらえるような構成になっているのだ。
 ソースができたら、パスタを茹で始める。当初は乾燥パスタを使う予定だったが、今回はシェフに生パスタを作ってきてもらった。しかも、三重県産の小麦粉を使ったフェットチーネ。「麺が茹で終わった時に、ソースが熱くなければダメですよ」と山中シェフ。さっと絡ませてボロネーゼのできあがりだ。
 2つ目の料理は“ロートロ”。スライス肉をラップに少し重なるように並べて巻く。「すき焼きなどで残った肉でもいいですよ」とシェフ。「へぇ〜そうなんや。目から鱗」と家庭で試してみたいという声も聞かれた。「焼けてきたら、表面に肉汁が溢れ出てくるのですが、色が透明であればOKです」。次はいよいよ参加者による料理講習だ。

イタリア流牛肉の食べ比べ2

まさに“肉”という感じのボロネーゼのパスタ(上左)。芳ばしくカリッと焼いたロートロはバルサミコ酢をかけて(下右)。手早いフライパンさばきや、意外と手軽なラップの使い方に感嘆の声があがっていた。

ボリュームたっぷりのボロネーゼが完成。
ちょっと嬉しいサービスも

 第3部の料理講習はテーブルごとに分かれて実施。ボロネーゼとロートロを作る工程を分担しての実習だ。比較的、簡単な講習なので、和やかな雰囲気。各テーブルをシェフが回りながら、アドバイスを送る。「シェフが気さくに話しかけてくれたので楽しかった」「直接教えてもらえて嬉しかった」と喜びの声が聞かれた。順調に実習は終了。作った料理を試食することに。
 フェットチーネの生パスタはもっちりの食感、ミートソースは旨みたっぷり。ロートロもジューシーに仕上がっているようだ。牛肉づくしで満腹状態なところにサプライズ。シェフ特製のティラミスが登場。「これまでで一番美味しいティラミス!!」「別腹、別腹」と笑みがこぼれたところでセミナーは終了。「お家でもできそうなメニューだったので作ってみようと思います」「食べ比べることで、お肉の違いがよくわかりました」と喜びの声が聞かれた。
 「ブランド牛だから、こんな味と決め付けないで、いろいろ試してみてほしいですね」と山中シェフ。調理法や熟成状況などによっても味は変わる。参加者にとっては、牛肉をとことん堪能した一日だったのではないだろうか。

撮影/松林真幸

イタリア流牛肉の食べ比べ3

料理講習は和気あいあい。各テーブルで作業を分担して行う。試食では特製のカポナータやティラミスが付き、「お店で食べているみたい」と喜ぶ方も多く見られた。

大阪・心斎橋 イタリア料理『ペッシェロッソ』山中伸彦氏

講師プロフィール

大阪・心斎橋 イタリア料理『ペッシェロッソ』山中伸彦さん

名店譲りの技術とセンスで、力強い肉料理から手作りパスタまで、わがままな食べ手をも納得させる気鋭のイタリア料理店。素材選びも熱心で、牧場まで駆けつけるほど。

第1回「寿司屋の技、食べ比べ」レポート

雑誌『あまから手帖』制作のポイントの一つが食べ比べ。この「食べ比べ」と「料理講習会」を合体させた、新しいカタチの料理講習会「テイスティング タイム」を開催しました。第1回は寿司屋の技がテーマ。『すし処 広川』の盛岡博嗣さんによる、さりげない技でシンプルなお寿司がぐんぐんと美味しさを増す、その秘密に迫りました。

撮影/松林真幸

まずは寿司ネタ テイスティング。
魚種、庖丁技、“ヅケ”の時間差で味わいが変化

 初開催の「テイスティング タイム」。大阪ガス・ハグミュージアムに集った受講者のテーブルに早速、白身魚の造りが運ばれてきた。第1部は寿司ネタ テイスティング。真子ガレイ、真鯛、真鯛の熟成の3種だ。
 「よく噛むと旨みが出てきますよ」との声を合図に、試食が始まった。すると、「甘〜い!」「旨みがどんどん出てくる」と歓声が次々と上がった。「次は剣先イカです」。ステージ上で細かく蛇腹の庖丁目を入れる盛岡さん。「普通は片面だけなんですけど、両面に庖丁を入れたものとも、あえて食べ比べてみてください」。「全然違う、軟らかい!」。実はにぎりの場合だと、シャリと合わせるので、イカが軟らかすぎてもいけない。程よい食感が必要だから、イカには片面だけ庖丁を入れているのだ。
 続いて登場したのは2種類のヅケマグロ。サクで3時間漬け込んだ昔ながらのヅケに、近年高級寿司店ではお馴染みになった浅めのヅケだ。漬ける時間はわずか1〜2分。「滑らかさが違う。香りがいい」と食べ歩き好きを思わせる参加者の声が聞こえてきた。新鮮なマグロのレア感を保ちつつ、風味を加えるヅケ。かつての保存目当ての漬け方から、寿司屋の技も変化してきたことが伺える。
 寿司屋ならではのさりげない技の説明を、にこやかに伝える盛岡さん。いつしか、受講者の視線が引きつけられていった。

寿司の食べ比べ1

「お寿司屋さんって恐そうなイメージがあったけど…」という思いを覆す、盛岡さんの朗らかな笑顔で和やかな講習に。鯛にヅケにと、造りを食べ比べ。舞台裏では講習時間に合わせて、手際よくスタッフがさばき続ける。

赤酢のシャリの香りに興奮!
手軽で便利な黄身醤油のアイデアも

 第2部は家庭でも作ることができる料理のデモンストレーション。まずは巨大な寿司桶が運ばれてくる。盛岡さんがお米に加えたのは赤酢。関西ではまだまだ珍しいが、今、寿司業界で広がりつつある調味料だ。湯気を上げながら、手際よく混ぜていく盛岡さん。ほのかに広がる赤酢の香りに、受講者のテンションが上がっていく。
 料理講習の一つ目はミニ海鮮丼だ。こちらのポイントは黄身醤油。卵の黄身を混ぜ、そこにお手製の煮切り醤油を少しずつ加え、混ぜ合わせていく。これを海鮮丼にお好みでかけて味わうのだ。「醤油の辛さが立ち過ぎないのがいいんです。この黄身醤油は結構万能なんで、お造りの醤油にもいいですよ。イカの糸造りとか」。
 続いてのデモンストレーションはイカワタ炒め。スルメイカをワタと分け、双方に塩をしておく。それを無塩バターと一緒に炒めていく。とどめとばかり、煮切り醤油をポトリ垂らすと「ジュー」と音を立て、芳ばしい香りが広がる。思わず「お酒が欲しくなるわ」と声を漏らす参加者。これら手軽な料理をこれから、第3部の料理講習にて、参加者に作ってもらうことに。

寿司の食べ比べ2

プレゼンテーションでは、黄身醤油をかけたミニ海鮮丼(左下)とイカワタ炒め(右上)を調理。赤酢の香りには思わずどよめきが上がる。手早く寿司飯をかき混ぜる盛岡さんの動作に、ほぉーっという参加者のため息も。

家で試してみたくなる手巻き寿司のアイデア。
最後にはサプライズのサービスが

 料理講習とはいえ初心者でも手軽なレベルとあって、和気あいあいとしたムードが漂っていた。盛岡さんが各テーブルを回り、熱心な参加者にアドバイスをしていく。無事、各テーブルともに料理を作り終わって一同試食タイム。黄身醤油のまろやかさ、手軽さに感心し、「是非、家でも作ってみたい」「赤酢も初めて食べたけど、美味しい。なかなか高いお寿司屋さんには行かれないので嬉しいです」との参加者の声が上がっていた。
 試食が落ち着いた頃合いを見計らって、盛岡さんが手巻き寿司の作り方を披露。シャリや具材をこぼさない秘密のテクニックを紹介してくれた。みんなで一斉に巻き始め、口いっぱいに頬張る。「ホンマにこぼれへん。持ちやすいし、食べやすい。すごいアイデア」と歓声が上がる。最後に第1回目のテイスティング タイムを記念して、特別な趣向が。
 ステージ上には広川さんに加え、大阪・西天満『鮨 美菜月』店主の﨑 貴之さん、大阪・上本町『鮨 原正』の職人である川口智司さんが特別に登場。なんと3人の寿司職人さんがサービスで参加者に向けて、ヅケマグロを直接握ってくれることに。実はこの二人、スタッフとしてこの企画を支えてくれていたのだ。錚々たる面々の出現に参加者は一同、大興奮。にぎりを食べて「あぁ、嬉しい」と満面の笑みを浮かべていた。これにて大団円。「主人も一緒だったので、講習の料理が簡単でよかった」という意見や「ぜひ、もう一回やってほしい」という意見も聞かれた。

撮影/松林真幸

寿司の食べ比べ3

手巻きの料理講習では「目からウロコ」とばかりに、感心する参加者が続出。今回、最大の歓声が巻き起こった寿司職人3人による“にぎり競演”。写真左から、盛岡さん、﨑さん、川口さん。ご協力ありがとうございました。

大阪・京橋『すし処 広川』盛岡博嗣氏

講師プロフィール

大阪・京橋『すし処 広川』盛岡博嗣さん

「あまから手帖 うまい店100選大阪」にも登場したことのある、京橋の隠れた実力派の寿司店。3年前からマイルドなタイプの赤酢のシャリにも挑戦。