大阪料理会│第十四回の様子

上野修三さん

  寒鮒は、かつて大阪名物であった。そこで今回、『和亨』の杉本さんにチャレンジしてもらった。昔は「子付け」といって、子や卵を乾煎りして刺身にまぶした料理をよく供したが、塩漬けにしたのは工夫があってよい。また、皮を用いた八幡巻もオツな味。一品として供するのではなく、割烹ならば料理と料理の合間に「ちょっと変わった一品作ってみたんで、どうぞ」と繋ぎの肴として出すのにいいのでは。
  大阪水菜は、大株で茎が細いけれど、ハリハリ鍋の由来にもなるように、あのパリッと小気味よい歯触りが身上。どの料理も食感が少し弱かったように思うが、『柏屋』の松尾さんの乳化させた蛤のソースは新鮮な驚きがあった。
  前回から挑戦してもらっている「前菜」。今回、『手崎』の小川さんが作った3月の前菜は、ひな祭りがテーマで、見た目も美しく、メッセージが分かりやすい。特に「白魚弥生煮」は、鍋に真っ直ぐになるよう並べて桃色に炊き上げた、その細やかで丁寧な仕事が素晴らしい。次回も愉しみだ。

畑 耕一郎先生

  伊勢海老はこの時季の大阪料理の花形。存在感がある姿や、独特の甘み、力強い食感を生かす調理が向いている。その点で、『柏屋』の松尾さんの軟蒸には驚いた。長時間火を通す調理法を用いたことが面白い。ブリンッと強い歯ざわりではなく、やわらかいのに繊維感が残って印象的な食感になる。これを冷たい料理に仕立てた「煮こごり」は、クルミとの食べ合わせが見事でした。
  寒鮒は、現代の料理屋で扱うには難しい食材だと思う。そういう食材をテーマにすることは、この大阪料理会という勉強会の意義あるところ。『和亨』の杉本さんの味噌漬けは、淡水魚独特の旨みが力強く感じられてよかった。

第十四回大阪料理会の様子