書店員のおすすめ!今月の『食の本』〜京都 くまざわ書店京都ポルタ店〜

 “感覚を頼りに作る料理はまるで「おままごと」”

食べごしらえおままごと

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石牟礼道子著 中公文庫/649円

著者の幼い頃の記憶を辿りながら、土地に根ざした食と四季について綴る一冊。生まれ育った熊本の情景が目に浮かぶような美しい文脈で、朗読コンクールの課題本にも指定される。

 水俣病についての著書のイメージが強く、こんなに柔らかい印象のエッセイがあるんだと気になり手に取りました。石牟礼さんは自然に囲まれて育ち、「東京の野菜はお日様の味がしない」と言うくらい田舎の豊かな栄養分を含む野菜を食べていたそう。そんな石牟礼さんの手料理は家族や親戚の作る味で覚えたもの。自分の舌と感覚を頼りに試行錯誤して、巻頭を飾る見事な料理を作るまでに。ですが本人は料理が得意だという自覚はなく、手探りで作っている姿はまるで「おままごと」のようだと。この本のタイトルはそこからきています。

調味料を最低限に使うシンプルな料理でも美味しいと知り、私も自炊に挑戦するんですが、帰るのが遅くなる日が続くとできあいを買ったりラーメン屋に寄ったりしがち。定期的にこの本を読んでは気持ち新たに自炊を再開します。

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店長 宇高由希子さん

くまざわ書店京都ポルタ店

目指すは“コンビニ”のような書店。電車に乗る前にぱっと立ち寄った方が、さっと欲しい本を見つけて買えるよう、品揃えのチョイスと陳列に工夫を凝らす。

● 京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町京都駅前地下街ポルタ604 TEL075・352・7020 営業日時 通常8:00〜21:00(土・日曜、祝日は9:00〜)/無休