ランチネタで再認識した関西風鰻の実力

ランチネタで再認識した関西風鰻の実力

覆面調査の現場より

2023.08.25

文・撮影:「あまから手帖」編集部

鰻といえば、関東と関西でそれぞれ、捌き方や焼き方、蒸し方などで違いがあるのは知られているところ。しかし、自分自身がどっち派か、とっくに白黒ついていた決着に赤信号が灯ろうとは……。

目次

鰻は関東派か、関西派かよりそもそも論 住めば都。水に慣れれば舌まで関西風か 店舗情報

鰻は関東派か、関西派かよりそもそも論

7月の土用丑の日付近で、まとまってうなぎをいただく機会に恵まれた。奇しくも、
「あまから手帖」9月号のキタ特集「ひとりで、お昼を食べるなら」の調査&取材期間。
めちゃくちゃラッキー!

そもそも、
ひとりでランチ…と考えて、割と最初に浮かんだのが鰻だった。

鰻を食べたいという自分のタイミングと、誘う相手のタイミングが合いにくい食べ物だなと。気分だけならまだしも、値の張るランチゆえ相手の懐具合もある。

自分さえ心が決まれば、ささっと食べるだけだから、ひとりランチにちょうどよく思えた。

鰻は関東風と関西風に分かれ、関東出身者なので断然前者だったのだが、リサーチした3軒はどこも関西風。関西の店なのだから当然といえば当然なのだが、ここにきて、その味をいよいよ認めなければならなくなった。

恐らく、ジャイアンツファンが、タイガースの野球を認めないのと似ているのかもしれない。

色眼鏡を外せば、ジャイアンツにはジャイアンツの、タイガースにはタイガースの良さがあり、一概にどちらが優れているなどいえるはずもないのだ。

ともあれ、3軒回った関西風の鰻店。諸々の事情もあって1軒目よりも2軒目、2軒目よりも「うなぎ じん田」に。

住めば都。水に慣れれば舌まで関西風か

「うなぎ じん田」のうな重特上うな重特上4800円

旧天満市場の昭和風情が色濃く残る小路に「うなぎ じん田」はある。少々怪しげで、この店のことを知らなければ、きっと足早に通り過ぎるに違いない。

でも、営業時間となるや、来客が絶えず、2階フロアは予約もあいまってたちまち埋まってしまう。16時の開店時間を待ち、訪れた際も、「18時からのご予約まででしたら」と辛うじて入店がかなった。

ふっくらと盛り上がった身に照り輝くタレ。これまで回った2軒よりも食べ応えがあり、ふわふわな食感。備え付けの山椒も香り高く、愛知・三河一色産の鰻を引き立てる。

優雅なひとりランチに持ってこいだ。

かくして、
「あまから手帖」9月号のキタ特集「ひとりで、お昼を食べるなら」の1軒として掲載となったが、もはや、ジャイアンツよりもタイガース、もとい、鰻は関東風よりも関西風に切り替わりつつあるのは、間違いなさそうだ。

「うなぎ じん田」の外観旧天満市場の雰囲気残る「うなぎ じん田」前の小路

■店名
うなぎ じん田
■詳細
【住所】大阪府大阪市北区池田町7-6 2階
【電話番号】06-6882-5115
【公式サイト】https://www.unagi-jinta.com/top/

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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