酒に囲まれたドラえもんしか誌面に出せなかった、「バッカス UOZU」の裏話

酒に囲まれたドラえもんしか誌面に出せなかった、「バッカス UOZU」の裏話

今月の…お蔵入り

2023.03.28

文:「あまから手帖」編集部・松崎聖子 / 撮影:増田えみ

富山の酒にこだわる大阪・天満の「バッカス UOZU」。数々の料理や風景を撮影させていただいたのに、誌面にでっかく載ったのは酒瓶に囲まれたドラえもんだった(笑)。書けなかった人との出会いや旨いもんについてonlineで伝えます。

目次

「一松食品センター」というマニアックな路地にある よくぞこんなハイレベルな料理が、小さな厨房から 加美中学校の教師2人が励ましてくれた 店舗情報

「一松食品センター」というマニアックな路地にある

ちょびっと見えてますよね、ダイコン。隣は八百屋です

天満市場のほど近く、「一松食品センター」というマニアックな商店が並ぶ路地にある「バッカスUOZU」。天六の「スタンドUOZU」の2号店で、富山出身のオーナーが地元の全蔵から仕入れた地酒や、富山食材を使った料理が味わえる。土曜は15時、日祝は12時から営業し、深夜3時までべろんべろんに酔える店。だいたい土曜14時ぐらいからフライング客が「やってる?」とビニールシートをこじ開けて入ってくる。

店内のあちこちにドラえもんがいるのは、高岡市出身の藤子不二雄先生へのリスペクトから。パーマンって藤子Aだっけ藤子Fだっけ…と記憶を辿るが、忘れた。

オーナーが富山全19蔵から仕入れる地酒を常時6~7種スタンバイ(本店は全蔵の銘柄がある)し、富山の地ビールの生をサーバーで提供。日本酒の取材で伺ったので大っぴらに書けなかったが、「実はワインがウリなんです…」と店長の後藤さん。こっちの勝手な事情で日本酒寄りの記事にしちゃってすみませんでした!

店長とシェフ店長の後藤さん(右)と料理担当のスタッフ。後藤さんは富山出身でも何でもないが、日本酒激愛者

よくぞこんなハイレベルな料理が、小さな厨房から

uozuの白エビコロッケ白エビコロッケは断面からエビのヒゲが飛び出るほどザクザクとエビが入っている

料理のバリエーションがまあ凄い。本店も白エビやホタルイカやブリなど富山素材を使った和風中心の料理が豊富だが、こちらは白エビのジャンボ焼売、白エビのペペロンチーノ、ホタルイカのアヒージョ、パエリアなど中華もイタリアンもスペインもあり。

せっかく写真を撮ったのに誌面に載せられなかったお蔵入り絶品メニューはコチラ↓

uozuのパエリアメスティンで作るパエリア。赤エビ、ムール貝、アサリなどがゴロゴロと。

uozuのホタルイカのアヒージョホタルイカのアヒージョ。オリーブオイルと塩だけでこの旨み。少し置くとイカがしぼんでしまうので速やかに食べるべし

uozuのホタルイカのアヒージョバゲットのせホタルイカをバゲットに乗せまくる。ニンニクがっつり。日本酒よりワインだな!

uozuの白エビのペペロンチーノ白エビってこんなにデカかったっけ?と考え込んでしまう白エビのペペロンチーノ。これも白ワインだな

加美中学校の教師2人が励ましてくれた

先生2人浅見さん(左)と鳥喰さん。4軒目だそうで、すんごい酔ってました(笑)

掲載グレーゾーンの裏話を暴露します。取材時、店内にお客さんがいる風景を撮ろうと、いつものように一人一人に許可取りを試みた。大テーブルで飲んでいた中年男性と女性に「あまから手帖の撮影で…」と言いかけたところ、「俺、アンチあまからやねん」とバッサリ断られ、ガーン(笑)。メディアがお嫌いだそうで、まあそんな方もいらっしゃるわな。

対して、その向かいで陽気に飲んでいた若者2人。チャラかったらどうしよう(失礼)と思いながら恐る恐るお声がけしたところ、「あまから手帖!好きなんですよ!」と超ハイテンションで喜んでくれた。神~。と思ったらなんとこのお2人、大阪市立加美中学校の先生だった。本当にカミだったのか。

「名前出して良いですよ!」と言うので公開しちゃいますが、先生方は浅見友記夫さんと鳥喰章祐さん。浅見さんは店長の後藤さんの大学時代の先輩で、後輩のお店に飲みに行ってあげよう!と同僚の鳥喰さんを連れてやって来たらしい。どちらも柔道部顧問。鳥喰さんは太宰治似のアンニュイな雰囲気で線も細く、とてもスポーツをやるようには見えない(つくづく失礼)。

先生2人(爆笑)

「今は子供が分かってくれなくてええねん。10年後に答えが出せれば」「紙媒体が厳しいって言うけど、万葉集も紙やからね!」…教育論やメディア論について真剣に語る2人。こんなにアツい先生がいる加美中は良い学校に違いない。生徒は幸せだな!!

しかもこのお2人と意気投合して取材後飲んだ挙句、ビール何杯もご馳走になってしまった!先月もあったなこんなこと。毎度お客様に助けてもらったり励ましてもらったり奢ってもらったり、もう感謝しかないっス。

あ。感謝ついでに図々しいことを言うと、浅見先生。「あまから手帖に僕らが載ったら、生徒の親御さん全員に本買ってもらいます」との約束、忘れませんよ(笑)!

■店名
『バッカスUOZU』
■詳細
【住所】大阪府大阪市北区天神橋5-6-23 一松食品センター
【電話番号】070-8908-8989
【公式サイト】https://www.instagram.com/bacchusuozu/

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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