4品しかない明石の町中華がすごかった

4品しかない明石の町中華がすごかった

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2023.03.15

文:「あまから手帖」編集部・森 千尋 / 撮影:エレファント・タカ

時代を感じさせる品書きには、焼きそば、中華そば、わんたん、わんたん麺が記されているのみ。「江洋軒」では、焼きそばと中華そば両方を注文する“ダブル”が定番のようで。

目次

炭水化物×炭水化物はアリなのか? 店舗情報

炭水化物×炭水化物はアリなのか?

お好み焼きやたこ焼きをご飯(米)のおかずにするかどうかは、関西人かどうかを測るひとつの物差しのように語られることもありますが、私個人の意見としては「ならない」派です。炭水化物に炭水化物を重ねるなんて…と思っておりましたが、今回よい店に出合ってしまいました。

明石駅南の明石銀座商店街。東側の路地に入ると、ソースを焼くようないい香りが漂ってきます。真っ赤な看板に真っ赤な暖簾、店内も真っ赤な「江洋軒」。昭和23年から地元民に愛される町中華です。

焼きそばを焼く豪快にそばを焼く店主・沖谷美佐雄さん。

メニューを見ると、料理は焼きそば450円、中華そば450円、わんたん400円、わんたん面550円…のみの潔さ。

メニュー「江洋軒」の焼きそばは明石の“裏ソウルフード”とも呼ばれる。

「焼きと中華」
「こっちも焼きと中華ねー」
「あとビールも」

昼どき、繁盛する店内ではそんな声が飛び交います。テーブルには次々と焼きそばと中華そばが運ばれていきます。麺に麺を重ねるのか…と思いつつ、ほぼすべてのお客さんがそれを注文しているため、私も真似してみました。

焼きそばがきて、時間差で中華そばが着丼。ご主人に薦められた「麺の交互食べ」を試してみます。もちもちの太麺に、数種類をブレンドしたという濃厚ソースが絡んだ焼きそば。ついついスープを啜りたくなり、ライトな白湯スープをひと口。そのまま麺、もやし、自家製チャーシュー…。今度はソース味が恋しくなります。これが“ダブル”の中毒性…!

ダブルで食べる店内はダブルを注文する客で溢れる。

「この食べ方、いつ頃から定番になったんですか?」
「母親の代からやないかなぁ。安い分、量も少な目やし、焼きそば頼んでご飯代わりに中華そば頼む、みたいな感覚ちゃうかな」

炭水化物×炭水化物最高やん。なんて手のひらを返し、3月号では町中華コーナーの頭を飾っていただきました。

■店名
『江洋軒』
■詳細
【住所】兵庫県明石市桜町11-15
【電話番号】078-911-3765

掲載号
あまから手帖2023年3月号/中華の町へ
おそらく関西の雑誌史上、最もディープに攻めた中華料理特集。「鉄鍋炖」に「第三の王将」…、中華の沼は深いのだ。

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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