世界的ワイナリー出身、若き気鋭による南アフリカ・白ワイン。

世界的ワイナリー出身、若き気鋭による南アフリカ・白ワイン。

Mr.TERASHITAの「推しワイン!」

2023.07.07

文:寺下光彦 / 画像提供:アフリカン・ブラザーズ

カリフォルニア産ピノ・ノワールの、今は亡き巨星、ジム・クレンデネンに師事したヨハン・メイヤー。今や南アフリカ・ナチュール界のトップ醸造家の一人と言われています。今月のMr.terashitaの「推しワイン!」は、そんな若き気鋭渾身の白ワイン「マウントアボラ2019 ソンデボック・シュナンブラン」の話です。

目次

南アフリカ・ワインの、日進月歩。 修行先は世界的なワイナリー、『オー・ボン・クリマ』。 ワイン詳細

南アフリカ・ワインの、日進月歩。

「南アフリカ・ワインが素晴らしいなんて、10年以上前から常識だよ~」とおっしゃる、ワイン・ラヴァにもお試しいただけば。「あー、最近ますます南アフリカ・ワイン、おいしくなってるんだなぁ」と嬉しく明るくご感慨いただけるでしょう。

今回ご紹介するのは南アフリカの白ワイン。このワイン、高名な師匠と常にケンカしていたという弟子が造ったとか――。

修行先は世界的なワイナリー、『オー・ボン・クリマ』。

高名な師匠とは、今は亡き、カリフォルニア産ピノ・ノワールの巨星、ジム・クレンデネン(『オー・ボン・クリマ』の創業者)。弟子とは、ヨハン・メイヤー。今や南アフリカ・ナチュール界のトップ醸造家の一人に数えられる若き気鋭です。

そのヨハン・メイヤーが、まだ無名だった頃。『オー・ボン・クリマ』で修行していた時、ケンカの種は常に、師匠の酸化防止剤(亜硫酸塩)添加が多すぎること、だったとか。
なにせヨハン最愛のワインの一つは、フランス・ナチュール界の神様の一人、ピエール・オヴェルノワが造るもの。酸化防止剤、一切無添加ながら、精妙・華麗なワインで世界中に熱狂的なファンを持つワインです。でも師匠はやはり、諸般の安全性担保のため、そこそこの量の酸化防止剤を添加していたのがケンカの元、だったとか。

ワイナリー・マウントアボラ

そんなヨハンが、故郷南アフリカに戻って最初に醸造責任者になったのがこのワイナリー、『マウントアボラ』。現在は自身のドメーヌも持つヨハンですが、このワイナリーの醸造責任者は今も継続中です。

今回、お薦めする白ワインは、いわば『マウントアボラ』とヨハンのコラボ作。ヨハンのアイディアで、収穫したシュナン・ブランの半分を10日間全房発酵、半分を一般的な圧搾後発酵で、共に1年の樽熟成後にブレンドするという新しい試みに見事に勝利しています。

ワインはとても心地よい密度がありつつも、そのエキス感、果実感は目覚ましく純粋。レモン、花梨、ニッキ、青リンゴの活力がある香りと、ライムに通じる溌剌とした酸とミネラル感の多層性と共に美しく伸びる後味は、なんとも感動的。普通に飲むと、誰も絶対にこの価格(2750円)は信じてくれない世界が、ワインの味の中に潜んでいます。

「マウントアボラ2019 ソンデボック・シュナンブラン」イメージマウントアボラ2019 ソンデボック・シュナンブラン2750円
南アフリカ、スワ―トランド地区産。樹齢22年のシュナン・ブラン100%。ブドウの半分を10日間だけ果皮浸漬してライト・オレンジワインにし、通常醸造した白ワインとブレンドする画期的な醸造法に成功。

●問合せ/アフリカン・ブラザーズ【電話番号】052-621-0027【Instgram】https://www.instagram.com/theafricanbrothers2016/ ※DMよりお問い合わせください。

Writer ライター

寺下 光彦

寺下 光彦

Mituhiko Terashita

ワイン&フード・ジャーナリスト:約30年間ボルドー、ブルゴーニュのトップワインを経験後、現在は自然派ワイン一筋。ワイン専門誌の取材でフランス、イタリア、ジョージアなどのワイナリー計300社以上を現地取材。ワイン学校「アカデミー・デュ・ヴァン」青山校、大阪校講師。

Related article 関連記事