インド人アリムルくんが作る、本場モンのビリヤニ(チキン)を楽しむの巻【前編】

インド人アリムルくんが作る、本場モンのビリヤニ(チキン)を楽しむの巻【前編】

カワムラケンジの「スパイスな一皿」

2023.03.17

文・撮影:カワムラケンジ

僕のインド料理&農業の師匠の一人であるアリムルくん。故郷はインド東部ベンガル地域。10代前半まで家業の農業を手伝い、その後はインド各地のレストランの厨房で修行を積んできた本物の料理人です。今回はそんなアリムルくんに、本場モンのビリヤニについて教わりました。そもそもビリヤニって?

目次

ビリヤニ=バスマティライス めでたい時の特別料理

2023年2月上旬。
僕が仲良くしてもらっている蕎麦屋『麺坊 万作』(大阪・河内長野)でスパイス料理を楽しむ会があり、そこでインド出身の料理人、アリムルくんに本場モンのビリヤニを作ってもらうことになりました。

ビリヤニ=バスマティライス

ビリヤニ「カレーより簡単」とアリムルくんは言うけれど、やっぱり日本人にはハードルが高いこの料理。

ビリヤニとは、インド人なら誰もが知ってる高級な米料理のことです。インド各地に少しずつ違ったスタイルがあって、一言で言うとスパイシーな蒸しごはん。名店と言われる店をインド人たちは泊りがけで食べに行くほどの国民食です。

最たる特長はバスマティライスというインディカ種の長粒米を使うことです。
「バスマティはインドでも食べたことのない人がけっこういます。お金持ちでも家で食べることはとても珍しいくらい高級。特にパンジャブ産がいいクオリティです。ビリヤニといえばこのバスマティを使った料理のことですね」とアリムルくん。ちなみにパンジャブとはインドとパキスタンにまたがる地域のこと。

インドの米は日本とは違って、時間をおいてよく乾燥させたものを良しとします。このバスマティはそれが顕著。数年にわたり熟成させ、より香りを豊かにし、しっかりと乾燥させています。
その上、長粒であるほど高品質とされ、特に長い形状のものはロング、エキストラロング、スーパーロングなどと呼ばれています。

「僕が好きなのはインド・コヒヌールというブランドですが、先日カワムラさんと一緒にあちこち仕入れに行ったらどこも欠品で。パキスタン・ガードというブランドのアルティメットというバスマティ(エキストラロング)があったのでこれを試してみましょう」

めでたい時の特別料理

ビリヤニはベジ、エッグ、プラウン、チキン、マトンなどいろいろあって、インドではチキンがポピュラー。マトンは最高級です。
会場の『麺坊 万作』ではおいしい「ありたどり」(佐賀県の銘柄鶏)を使っておられるとのことで、今回はこれを使ってチキンビリヤニを作ることに。

ビリヤニは数十人前単位(インドなら100人前以上なんてのも)で作るような、とにかくめでたい料理。
会場ではみなさん楽しそうにアリムルくんの料理を至近距離で観ながら、あれやこれやと質問攻め。

最後の食事会では、
「辛いけどおいしいから食べられる!」
「お米の口当たりが軽いから食べ過ぎる!」
「ライタ(後半にレシピ有)と相性ばっちり!」「花の香りがまた最高!」
などと大変盛り上がり、終始みんなの笑顔が途切れることのないビリヤニらしい楽しい会となりました。

続く。

Writer ライター

カワムラケンジ

カワムラケンジ

Kenji Kawamura

ライター&スパイス料理研究家。『スパイスジャーナル』編集長。幼少の頃は近所の家々を食べ歩き、16歳から数々の飲食の現場で働き、ライターに。昨年からは夢だった畑も。「うまいものがあって、おもしろい人がおったらどこへでも!」。www.kawamurakenji.net

Related article 関連記事