大阪料理会│第二十回の様子

上野修三さん

  「前菜」は、戦前まではなかったものだが、食前酒と摘むものとして、西洋のオードブルが日本に入り、3種から5種へとボリュームを増していった。私が20〜30代の頃、料理展示会に競って八寸を出し、祭事節句にちなんで表現した。量も多く鉢も大きかった。今は量を食べない時代だが、季節と節句は表現してほしい。「もう天神祭やな」と前菜で察してもらうようなことを考えてほしい。『孤柳』の松尾さんの前菜の小蛸の麦煮は、麦の収穫時季に蛸が美味しくなるという意味の「麦わら蛸」という言葉を思い出させる。こういう言葉を切っ掛けに、お客さんと会話が弾むというシーンが、現代の料理屋や割烹でも見られると嬉しい。
  食材としては、玉葱は普段からよく使うものだが、改めてこうしてテーマにすると、皆さんさすがに発想豊か。『仁志乃』の西野さんの鯛玉饅頭は特に面白い。鮎並の冷製のアスパラ巻きも素晴らしいアイデア。アラで取った出汁が美味しいし、スープを生かした夏らしい仕立てもいい。鱚の酢の物も、卯の花で化粧して姿も結構。身の旨さも生きている。鱚は淡泊な魚だが、『浅井 東迎』の東迎さんの金時草寿司には驚いた。紫の酢飯の上で茗荷が南国の花に見えた。鮎並を小龍包仕立てにするとは、また難しいことにチャレンジしてくれた。皆さんの刺激になるはずだ。

畑 耕一郎さん

  『浅井 東迎』の東迎さんの玉葱の風呂吹きの火の入れ方の独自性が面白い。トロトロ、カリカリと玉葱の食感を様々に味わわせてくれた点も愉しい。鮎並の小龍包の発想も、鱚をテーマにした金時草の寿司も、本当に面白い。金時草の使い方を色々考えたくなった。『仁志乃』の西野さんが提案してくれた鮎並の珍しい食べ方にも驚いた。玉葱と合わせた煮物椀も、吸い地に玉葱の甘みと香りが出ていて美味しかった。鯛饅頭玉葱包みも、使える料理だ。鯛皮とワサビを載せてもいいという意見も出ていたし、それぞれが自分なりのアイデアを付与してみてほしいと思う。

第二十回大阪料理会の様子