坊さんもぶっ飛ぶ⁉ 幻の超高級スープ「佛跳墙」を通販で

坊さんもぶっ飛ぶ⁉ 幻の超高級スープ「佛跳墙」を通販で

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2023.03.02

文・撮影:「あまから手帖」編集部・松崎聖子

仏が跳ぶ…。「黒ひげ危機一髪」的なものを想像してしまいますが、名の由来は「匂いを嗅いだら坊さんもぶっ跳んでくるほど美味しい」ことから。そんな「佛跳墙」の冷凍販売を、西宮の「滕王閣」が始めたというからブッ跳びです。

目次

思いつく限りの高級食材を詰め込んだスープ 家で飲んでみたい!の声に応えて…? 湯煎で15分!お手軽「佛跳墙」を商品化 お取り寄せ「佛跳墙」を実食レポート 店舗情報

思いつく限りの高級食材を詰め込んだスープ

そもそも「佛跳墙(ぶっちょうしょう)」とは福建省の有名レストランで発明されたスープで、170年以上の歴史を持つというから、さすが食大国・中国です。具はアワビやフカヒレ、ナマコ、貝柱など高級食材のオンパレード。スープも、豚骨、鴨、鶏、金華ハムといった良いダシしか出ない材料を十数時間煮込み、素材の旨みだけを抽出させます。

坊さん確かにこのお坊さんなら壁を飛び越えて食べに行きそうですね!

本当は「福寿全」というメニュー名だったのに、ある人が「坊さんも壁を飛び越えて食べに来るんちゃう」と言ったことから「仏が壁を跳び越える」というやんちゃな料理名になったそうです。

家で飲んでみたい!の声に応えて…?

しかし普通は、そんなに手間がかかって原価も高い料理はレストランでなかなか出していません。1人前1万円はするものなので、頼む人もめったにいない(店によりますが)ですし…。

でも「世界一美味しいと言われるスープ」ですよ。匂いだけでも嗅いでみたい。いや、やっぱり飲んでみたい。…そんな欲望を叶えるべく、西宮の中国料理店「滕王閣」が、佛跳墙を冷凍パックにし、家で温めるだけでOKというお取り寄せ商品を1月より販売開始しました。

佛跳墙の冷凍「滕王閣」の冷凍佛跳墙。解凍する前から美味しそう。

湯煎で15分!お手軽「佛跳墙」を商品化

「滕王閣」は西宮の苦楽園口にあり、近隣のマダムからも愛される人気店。オーナーが自分の足で中国各地を訪れ、5つ星ホテルの凄腕シェフを招聘し、四川から北京、広東、上海まで中国全土を網羅した郷土料理を提供しています。

とは言ってもランチコース2500円~、一品料理も小籠包500円~と、目玉が飛び出るほど値が張るというわけではありません。ちなみに私は沸騰魚(白身魚の四川スパイシー煮)が好きです。

滕王閣の料理「滕王閣」の沸騰魚。名前の通り激辛ですが激ウマ。

お取り寄せ「佛跳墙」を実食レポート

職権濫用とはまさにこのことで、なんと撮影用に冷凍佛跳墙をいただいてしまいました。人生最初で最後の佛跳墙かもしれませんので、しっかりレポートします。

解凍した佛跳墙温めた佛跳墙。フカヒレやアワビが目視で確認できます。

「滕王閣」がこのほど満を持して冷凍販売を始めた佛跳墙は、通常1人前15000円で提供しているもの。親鳥、鴨、豚骨、金華ハムなどを十数時間炊き込んで「濃湯スープ」を作り、そこに乾物の「魚唇(フカヒレの唇)」「魚肚(フカヒレの腹)」、アワビ丸ごと、ナマコ、貝柱などを、丁寧に雑味を取り除いたうえで煮込みます。

レシピはオリジナルの広東式で「福建のものは味がやや淡泊ですが、こちらは『金湯』と呼ばれる黄金色のスープ。福建より濃厚で、コラーゲンもたっぷりです」と滕王閣のマネージャー渡部蕾さんは話します。「淮山」(ホワイシャン)という滋養強壮に効く乾燥山芋など薬膳食材も使われ、栄養もマシマシです。

佛跳墙蓋開ける御開帳。ちなみにこの器は撮影用に滕王閣さんからお借りしました(笑)。

そんな店の味をそのまま急速冷凍させ、湯煎で15分ほど温めるだけでいただける手軽な商品に。と言っても1人前13000円とやはり高価ですが2人でもちょうど良いぐらいのボリューム感です。

佛跳墙すくい確かに黄金色のスープ!

温めると、湯気からすでに美味しい…。この湯気だけでも1000円くらいの価値はありそうです(笑)。黄色のスープはとろっとなめらかで、一口味わっただけで旨みの洪水が口の中に押し寄せます。

乾物は素材の味が閉じ込められているので、それらをじっくり煮戻したエキスが何層にも重なって舌に広がります。

佛跳墙すくい一口でパクッ!とかできない…。

アワビがまるごと入っています。1個まんま食べる経験がないので、どうやって食べたら良いか悩みますね。ちびちびかじる攻め方で正しいのでしょうか。貧乏性でスミマセン。

佛跳墙他の具壷の中の宝探しや~。

アワビの下にも、フカヒレやナマコがごろごろ隠れていました。本当はフカヒレも貝柱もまるごと入っていたのですが、宝探ししていたら崩れてしまいました。ごめんなさい。でも一口一口が今まで食べたことのないような恍惚の味。こりゃ坊さんも跳んでくるわ~。

ちなみに「滕王閣」は昨年、西宮に「幸せの一皿」と名付けた無人販売所をオープン。「酸菜魚」「時蔬炒鶏丁」など普通は無人販売では買えないような本格中国料理を冷凍で販売しています(お金は箱に入れるシステム)。

そこで佛跳墙も販売するとしたらリスキーだな…と思いましたが「今は店頭販売か、通販だけです」とのこと。電話注文でお取り寄せできるそうです。近々、あまから手帖の通販サイト「あまからセレクション」でも取り扱う予定です(多分)。人生最高にめでたい日のご褒美や、命を救ってくれたぐらい感謝している人への贈答などにいかがでしょう。

■店名
滕王閣
■詳細
【住所】兵庫県西宮市樋之池町2-33 セルシェール苦楽園2F
【電話番号】0798-56-9882
【公式サイト】https://www.tououkaku.com/

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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