小学校時代に思いを馳せながらいただく、ザ・ホテル青龍 京都清水のディナーコース「九食」

小学校時代に思いを馳せながらいただく、ザ・ホテル青龍 京都清水のディナーコース「九食」

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2023.06.29

文:「あまから手帖」編集部 / 画像提供:株式会社TANK

京都・東山の地で、80余年ものあいだ親しまれた小学校の校舎を改装し誕生した「ザ・ホテル青龍 京都清水」。2020年の開業から初の提供となる創作ディナーコース「九食」は、同ホテルならではのアイデアと遊び心、もてなしに満ちた料理が登場する。

目次

「給食」をコンセプトにした大人の食体験 店舗情報

「給食」をコンセプトにした大人の食体験

小学校時代の「給食」は、誰もが共通して持つ食体験だ。大人になって振り返ると6年間、毎日の食事を通じて食べる楽しみを知り、栄養バランスや地域の食材について学ぶことで、自然と食への関心やつくり手に対する感謝の心を育まれたのだと思う。

この「給食」にヒントを得、「九食」と題されたディナーコースが、5月より「ザ・ホテル青龍 京都清水」にて提供開始された。元清水小学校を保存・活用した同ホテルの、開業後初となる創作コースだ。料理の細部には、小学校の歴史を擁するホテルならではのコンセプトが表現されている。

ザ・ホテル青龍 京都清水の「九食」和と洋をフュージョンした「九食」。コースは宿泊プラン利用者限定となる。1室1名利用時は1名¥105,000~2名利用時は1名¥62,500~(税・サービス料込)。

コースが9つのセクションからなる構成なのは、もちろん「給(きゅう)食」にかけた遊び心。今回の春メニューでは「発酵」をテーマに、華やかで趣向の凝らされた料理が次々に登場する。

ザ・ホテル青龍 京都清水の「九食」それぞれ6種の味噌を使用した小鉢は、春ならではの彩りで、京都らしくやさしい味付け。

地元の湯葉のお吸い物で、空腹をうったえる胃袋を温めたあとは、「中庭」の大階段を模した木枠に並べられた6種の和前菜が運ばれてくる。

パプリカ、アボカドの白味噌和えや、かしこ味噌ソースが添えられた玉葱の旨煮など、前菜それぞれに異なる種類の味噌が使われ、地元における豊かな味噌づくりの文化と、それを生かす料理人の連携を感じられる。

洋風茶椀蒸しを挟んで、瀬戸内鯛、熊本産の和牛フィレ肉とメインが続くが、ソースに京都の白味噌を添えたり、牛を塩麴でマリネにしたりと、一貫したテーマで和洋の要素が丁寧にミックスされている。

「九食」の牛フィレ肉の塩麴マリネ。牛フィレ肉の塩麴マリネ。奥は鯛の菜種焼きと、デザートの宇治抹茶とクリームチーズのテリーヌ。

意外にも、この流れで登場するのが筍御飯だ。給食のときに、炊き込みご飯や混ぜご飯が出るとうれしかった記憶がよみがえる。口直しに京都の地酒を使った「日本酒のジュレ」、最後にデザートと和束産の京紅茶でほっと一息をついていると、「地元の食材を知って、次の旅の目的地を決めてもいいかもしれませんね」という提案が。ホテルらしい、なんて粋な薦め方だろう。

蘇嶐窯の器あわく美しい色合いの器は、すべて地元清水焼の窯元「蘇嶐窯」の作品。「九食」のために考案された。

食事を終えてテラス席へ出ると、旧校舎の面影をそのまま残した外観を眺められ、コースの中でも象徴的だった大階段が見下ろせる。かつて、ここを地元の小学生たちが駆け上がり、食事を共にしていたのだと想像してみる。料理の外側にも物語を感じられるのが、このホテルで「九食」をいただく醍醐味だろう。

今後も季節ごと、テーマごとに内容を変えながら、「生産地、生産者、小学校の卒業生、地域の方と話をしながら、つくりあげていきたい」という「九食」。この先、どのように料理のなかで表現されていくのかが楽しみだ。

■店名
ザ・ホテル青龍 京都清水
■詳細
【住所】京都府京都市東山区清水二丁目204-2
【問い合わせ】075-532-1111
【HP】https://www.princehotels.co.jp/seiryu-kiyomizu/

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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