歴史や自然と調和した、徳島県・にし阿波の食と宿巡り

歴史や自然と調和した、徳島県・にし阿波の食と宿巡り

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2024.04.17

文・撮影:「あまから手帖」編集部

「祖谷(いや)のかずら橋」「大歩危・小歩危(おおぼけこぼけ)」、日本百名山のひとつ「剣山(つるぎさん)」など、自然を思いっきり味わえる名所を数多く有する徳島県・にし阿波。そんなエリアで出合った、魅力あふれる食と宿をご紹介します。

目次

徳島県・にし阿波とは? 日本家屋で半田そうめんを/『折目邸 遊懐』 ちょっと寄り道/『みかも喫茶』 秘境の露天風呂と祖谷そば/『ホテル祖谷温泉』+『清流のそば処 祖谷美人』 〈ちょっと寄り道〉/「祖谷のかずら橋」+「大歩危観光遊覧船」 山の中にある元小学校の、珈琲と宿/『ハレとケ珈琲』 ちょっと寄り道/『三芳菊酒造』

徳島県・にし阿波とは?

今回訪れたのは徳島県の西部。美馬市、三好市、つるぎ町、東みよし町の2市2町からなるにし阿波と呼ばれるエリアです。
四国最大級の川・吉野川、標高1955mと西日本で2番目に高い剣山(つるぎさん)などの山々がそびえ、吊り橋「祖谷(いや)のかずら橋」、渓谷「大歩危・小歩危(おおぼけこぼけ)」など、自然を満喫できる絶景がたくさん!
歴史ある「阿波おどり」や世界三大潮流のひとつ「鳴門の渦潮」で有名な徳島市内からは、車で1時間ほどです。

そんなにし阿波は、実は県内で人口減少が著しい地域。今回地元回帰や移住などの、UIJターンを促進する視察ツアーに参加しました。レンタルオフィスやコワーキングスペース、移住のお試し住宅、ほか名所を訪ねるなかで感じたことが。それは道の駅の中にレンタルオフィスがあったり、宿を併設した食堂があったり、複合施設が多いこと。移動は車のほうが簡単なエリアでは、そこを拠点にいろいろな場所に動けて便利です。
ここからは、ツアーで出合った魅力あふれる食と宿、併せてちょっと寄り道したいスポットを厳選してご紹介します。

日本家屋で半田そうめんを/『折目邸 遊懐』

徳島県・つるぎ町。吉野川や剣山に囲まれた平地の少ない地形を生かして、江戸中期~昭和30年頃まで、葉煙草や繭、こんにゃくなどの商業と交通の要衝として栄えたとか。「うだつの町並み」という古い日本家屋が並ぶエリアも残っています。

『折目邸 遊懐』看板

JR貞光(さだみつ)駅から徒歩で10分ほど歩くと趣ある建物が見えてきます。『折目邸 遊懐(おりめてい ゆかい)』です。大正10(1921)年に建てられた商家をリノベーション。老舗製麺所『北室白扇』の二代目が運営する半田(はんだ)そうめんの食堂が併設されていて、宿泊することもできます。

『折目邸 遊懐』部屋客室は3室のみ。すべて剣山の方角に向いていて、急傾斜地を生かした昔ながらの集落が窓から臨める。庭もあり、優雅な空間をまるでひとりじめしているかのよう。

こちらの食堂でいただける半田そうめんとは、半田エリアで作られる手延べ製法の麺のこと。太さは冷麦や細うどんほどあります。そうめんのようにちゅるっと食べやすくもしっかりとした食べ応え! あっさりしたおつゆといただきました。訪れたのは3月とまだ肌寒く、こたつに入って庭を眺めていると、なんだかゆったりとした気持ちになれました。

「半田そうめん食堂」季節の半田そうめん季節の半田そうめん。このとき使われていた折敷は、リノベーションする際に蔵から出てきた半田漆器。このエリアならではの物語も感じられる。

『折目邸 遊懐』
【住所】徳島県美馬郡つるぎ町貞光字東浦68-1

〈ちょっと寄り道〉/『みかも喫茶』

『みかも喫茶』外観

『折目邸 遊懐』から車で20分ほどにある『みかも喫茶』で、あまじょっぱさがくせになる、しょいのみソフトクリームを。トッピングは、麹を醬油漬けにした伝統発酵食・しょいのみ。
店では月1でマルシェを開催。世界農業遺産に指定されている「にし阿波傾斜地農耕システム 」の野菜も販売されるなど、地元の味が楽しめます。写真右下は三加茂町の特産品・桐下駄のミニサイズ(お守り豆下駄)。

『みかも喫茶』
【住所】徳島県三好郡東みよし町加茂3214-1

秘境の露天風呂と祖谷そば/『ホテル祖谷温泉』+『清流のそば処 祖谷美人』

三好市にあるJR大歩危駅から車で30分ほど。秘境・祖谷渓(いやけい)は県内有数の温泉地。ここになんとケーブルカーで向かう谷底の露天風呂があるんです!
約5分、とっても急な傾斜約40度の断崖を眺めながらケーブルカーで下った先に露天風呂が!残念ながら撮影できなかったのですが、祖谷川にせり出すように作られた露天風呂からの眺めはまさに絶景。紅葉がきれいなので10月第1週がおすすめです。

『ホテル祖谷温泉』ケーブルカーと露天風呂露天風呂は日帰りでも利用可能。

『ホテル祖谷温泉』で食事や宿泊もできますが、次の場所へ。『清流のそば処 祖谷美人』です。

『清流のそば処 祖谷美人』でこまわし・祖谷そば上はでこまわし、下は祖谷そば。

ぐるりと囲炉裏を囲むように串を立てて、全体が焼けるまでぐるぐると串を回しながら作る、でこまわし。その様子が阿波人形浄瑠璃の「木偶(でく)人形」に似ているので、この名が付いたとか。甘い味噌だれを付けたそば団子、岩豆腐、丸こんにゃくと、祖谷そば。お風呂上がりの身体に染みます。

『ホテル祖谷温泉』
【住所】徳島県三好市池田町松尾松本367-28
『清流のそば処 祖谷美人』
【住所】徳島県三好市西祖谷山村善徳10-1

〈ちょっと寄り道〉/「祖谷のかずら橋」+「大歩危観光遊覧船」

にし阿波にきたら外せないのが、「祖谷のかずら橋」と「大歩危観光遊覧船」。
かずら橋は、ちょうど3年に一度の架け替えを終えたタイミングで渡ることができました。

「祖谷のかずら橋・かずら橋夢舞台」

「祖谷のかずら橋」
【住所】徳島県三好市西祖谷山村善徳162-2

「大歩危観光遊覧船」船乗り場渓谷に流れる吉野川を30分ほどかけて遊覧船で巡る。実は妖怪の伝説が多く残る大歩危。「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な児啼爺の故郷でもある。

「大歩危観光遊覧船」
【住所】徳島県三好市山城町西宇1520

山の中にある元小学校の、珈琲と宿/『ハレとケ珈琲』

『ハレとケ珈琲』

先述のJR大歩危駅の2つ隣、祖谷口駅から車で10分ほど。山の中の元小学校を利用した『ハレとケ珈琲』。グラウンドではご近所さんらしき方々がゲートボールをしていたり、のどかな雰囲気です。
県内外から、「祖谷のかずら橋」の途中に寄る人も多いのだとか。

『ハレとケ珈琲』内観徳島駅近くにあるコーヒースタンド「ハレとケ珈琲stand」など、複数店舗を展開。

店内には当時のまま黒板やポスターなどが残されています。この感じ、懐かしい~~。
提供されているのはドリップ珈琲やカヌレ、窯焼きピザなど。珈琲は自分で淹れるスタイルです。スタッフさんに淹れ方を教えていただきながら、好きな豆を選んで、道具を持って自分の好きな席に着席。教室のなかで思い思いに過ごせます。
一部の教室は宿泊場所に、そしてキャンプやサウナができるログハウスが併設されていて、時間を忘れて1日中過ごせますよ。

『ハレとケ珈琲』
【住所】徳島県三好市池田町大利大西15

〈ちょっと寄り道〉/『三芳菊(みよしきく)酒造』

『三芳菊酒造』

創業は明治22年。県内産・山田錦を100%使用。カラフルなラベルが目を引く日本酒が多く、東南アジアや北米のお客さんも多いのだとか。最近は『オンキヨー株式会社』と共同開発したモーツァルトを聞かせた日本酒作りなど、新しい取り組みも。気になるお味は、振動するから発酵が進んで、味がまろやかなんだそう。

『三芳菊酒造』
【住所】徳島県三好市池田町サラダ1661

自然に囲まれながら、歴史を感じ地元グルメを味わい、身も心も満たされた徳島県・にし阿波巡り。その自然や歴史と調和させながら営まれている施設が多い印象を受けました。にし阿波の中でも一部しか触れられていませんが、平家の落人伝説や阿波煙草の歴史など、まだまだ魅力はたくさん。
また次行くのが楽しみです。

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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