
【クロワッサンを求めてvol.1】ザクザクふっくらのバゲワッサン/奈良・ならまち『CONFECTION Artisanal Bread&Sweets』
小林明子の「偏愛パン」
クロワッサン好きになったのは、ン十年前に宿泊したパリの老舗ホテルで朝食を食べた時から。以来、表面はカリッ、内層はムチムチな自分好みのクロワッサンを追い求める活動を継続中。そんな“クロ活”で見つけた“その1”を紹介します。
バゲット×クロワッサン=バゲワッサン
「バゲット生地に発酵バターを折り込んだら、美味しいパンができるのでは」
そんなナイスな思い付きから誕生した、バゲワッサンと名付けられた塩クロワッサンは、一般的なクロワッサンに比べるとややふくよか。ザクザクッ、音を立てながらほお張ると内側から弾力のある生地が現れ、噛むほどに発酵バターの香りや旨みがじんわり溶け出す。バゲットとクロワッサンを良いとこどりした傑作は、本場の味を脳裏によみがえらせた。
ありそうでなかったハイブリッドパンを考案したのはブーランジェの本間寛紹(ひろあき)さん。上海でも行列ができるベーカリー『mbd』を営む本間さんは、国内外で腕を磨いたベテラン職人。朝に閃いたアイディアを活かしてその日のうちに新作パンを店頭に並べることもある、豊かな発想の持ち主だ。
同じく世界で活躍してきた菓子職人の近東由紀子さんと2020年に『CONFECTION Artisanal Bread&Sweets』をオープン。文字通り職人的なパンとおやつが人気を呼び、観光名所でもある“ならまち”で愛される1軒になっている。
レパートリーは約20種も!
カナダ産の強力粉とニシノカオリの全粒粉、自家培養するルヴァンリキッドで仕込むバゲット生地にフランス産の発酵バターを折り込む。ゲランドの海塩を散らして焼き上げるバゲワッサンプレーンを考案して以降、本間さんはレパートリーを着々と増やしている。
食べごたえも抜群、ほんのり香る柚子バゲワッサン。1個310円。
冬限定の柚子バゲワッサンには、柚子のフレッシュな果汁と乾燥させて粉末状にした皮が練り込まれていて、さわやかに香る。味噌味、チーズ味のほか、近くにあるカレーショップや日本酒立飲み店などコラボした変わり種も折にふれて登場。レパートリーは全20種近くになっている。
食パン生地と自家製肉あんで作る蒸したて肉まん(320円)、アミエビと塩昆布入りのチャバタ(220円)、ほうじ茶あんパン(260円)など、個性的なパンもずらりと並ぶ。奈良県産のほうじ茶、奈良漬など、地元食材を使うパンも。
リッチな配合のバゲワッサン。発売当初はハレの日のパンとして週末限定で販売されていたが、人気の高まりとともに平日に販売されることもしばしば。どの日に何が登場するかはInstagramで告知されるので、ぜひチェックを。
元工房だったスペースを自分たちでリノベーションした店舗の近くには名所旧跡が点在する。テイクアウトできる淹れたてコーヒーを手に、パンをほお張りながらのぶらぶら歩きも楽しい。
■店名
『CONFECTION Artisanal Bread&Sweets』
■詳細
【住所】奈良市中院町3-1
【電話番号】なし
【営業時間】8:00~17:30
【定休日】水曜・不定休あり
【Instagram】https://www.instagram.com/confection_naramachi/
Writer ライター

小林 明子
Akiko Kobayashi