店内でパンを焼くコーヒーショップ/京都『コーヒーショップ マスサン』

店内でパンを焼くコーヒーショップ/京都『コーヒーショップ マスサン』

小林明子の「偏愛パン」

2023.09.04

文:小林明子 / 撮影:増田えみ

京都北白川で創業した『ワールドコーヒー』のチェーン展開第1号店として、50年近く前にオープンした『コーヒーショップ マスサン』。以来、サイフォンで淹れるコーヒーと店内で焼き上げるパンで、多くの人たちを魅了し続けている。

目次

コーヒーに合う、シンプルな味わいのパン 曜日限定で自家製酵母のパンも登場 店舗情報

コーヒーに合う、シンプルな味わいのパン

「京都の迷い方(2023年5月号)」の「日々是パン 6店6様の物語」から、誌面に載せられなかった情報をプラスして紹介。第5回目は『コーヒーショップ マスサン』。焼きたてパンの店頭販売も行っている、昔ながらの喫茶店だ。 ※前回はこちらから

「店を開いたのは、『ワールドコーヒー』の初代と知り合いだった祖母の熊谷マスコです。その当時、店にはマスコという名前のスタッフが祖母を含め3人いたため“マスサン”の店名になったと聞いています」と孫で店長の建太朗さんは話す。

いつも多くの観光客や常連客で賑わう店内の奥には、20年ほど前に設えた本格的なパン焼き工房がある。ガラス貼りになっているので、焼きたてが窯出しされる様子なども眺められ、見る者を飽きさせない。 コーヒーに合うシンプルな味わいのパンを焼いているのは建太朗さん。かつて在籍したパン職人を師と仰ぎ、他店での修業も重ねて腕を磨いた。朝はパンを焼き、昼からはコーヒーを淹れる、八面六臂の活躍を見せている。

曜日限定で自家製酵母のパンも登場

メインに焼いているのは食パン類。店頭販売も行っているが、角食パンは喫茶メニューとして人気の各種サンドイッチやホットサンドに。イギリスパンは、4個もの卵で作るオムレツを挟む名物のタマゴト―ストやモーニングトースト用として主に焼いている。 「美味しさを追求した超リッチな配合。“高級食パン”と名乗りたいぐらいに、ね」と建太朗さんは笑う。食パンはレーズンやクルミ入りもイレギュラーで登場する。

月曜はレーズンオレンジ、水曜はクルミ、副材料を変えて焼く自家製酵母のパン(380円)も人気。「レーズンから起こした酵母は、師匠に分けていただいたもの。大事に継ぎ足しながら使っています」。

菓子パンやクロワッサンなど、20~25種のパンが店頭には並ぶが、いずれも夕方前に売り切れることも多い人気ぶりだ。

名物タマゴトースト900円。コロンビア・ブラジル・パプアニューギニア産の豆を中心に7種類を使うオリジナルブレンドをはじめ、メニューは多彩。ランチに向くパスタ類も充実している。

『マスサン』店内

フランス産小麦で焼くバゲット(1本280円)を使う、隠れ人気メニューがある。ラスクだ。

フレーバーは、シナモン、ガーリック、シュガー、夏場以外に登場するチョコレートの4種。スライスしたバゲットを空焼きし、冷ましてからバターなどを塗るため、建太朗さんによると「実は手間がかかっている」が、リーズナブルな価格に設定されているのも嬉しい。

サクサクの軽い食感はおやつによし、アテにもなる。ラスクを仕込むのは1カ月に1回程度なので、いつも店頭にあるとは限らない。そのため、出合えたらラッキーと、まとめ買いしていく常連さんも少なくない。

masusan5クリスピーな食感、手が止まらなくなるラスクは全4種。いつも店頭に並ぶとは限らないが、溶けてしまう心配があるので、暑い季節には販売されないチョコレートは特にレア。各1袋220円。

■店名
『コーヒーショップ マスサン』
■詳細
【住所】京都府京都市中京区押堀町40
【電話番号】075-222-0990
【Instagram】https://www.instagram.com/cafe_bakery.masusan/

掲載号
「あまから手帖」2023年5月号/京都の迷い方

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