山と積まれたクロワッサンの謎/京都『ブルーデル』

山と積まれたクロワッサンの謎/京都『ブルーデル』

小林明子の「偏愛パン」

2023.07.05

文:小林明子 / 撮影:増田えみ

京都・二条城東の『ブルーデル』では、クロワッサンが次々と窯出しされ、薄型コンテナに並べられていく。焼きたてを求めて訪れるファンも多い。その人気の秘密とは。

目次

名物はクロワッサン 水曜日限定のドイツパンも 店舗情報

名物はクロワッサン

京都の迷い方(2023年5月号)」の「日々是パン 6店6様の物語」から、誌面に載せられなかった情報をプラスして紹介。第3回目は『ブルーデル』。1985年の創業以来、コルネやジャムパンから本格的なドイツパンまでを日々焼いている。 ※前回はこちらから

地域の子どもたちにも大人気のキャラクターパンから、神戸の名店で腕を磨いた兄譲りのドイツパン、自らが得意なフランスパンまで、幅広いレパートリーを誇る店主の勝木義貴さん。なかでも名物は、毎日食べたくなるシンプルな味わいのクロワッサンだ。

フランス産と北米産小麦粉を独自の割合でブレンド。リッチな味わいを出すために牛乳で仕込み、発酵バターなどでコクを出すクロワッサン生地は程よいサックリ感と、内層のもっちり感で魅了する。

『ブルーデル』クロワッサン窯出し日に何度も窯出しされるクロワッサン。焼きムラが出ないように前後を入れ替える、その日の気候に合わせて焼き時間を微調整するなど、勝木さんは我が子を見守るように接している。

実はこのクロワッサン、レトロな雰囲気が楽しめる喫茶店『イノダコーヒ』から20数年前に依頼を受けて焼くようになったもの。以来、行列ができるほど人気が高い同店のモーニングに使われている。

生地に適度なコシを持たせているのは、食べる時にパンくずがパラパラ落ちないようにとの配慮から。モーニングに添えられるハムやスクランブルエッグの味を邪魔しない、しつこくない味わいに仕上げている。

「イノダさんから当店の場所を聞いて、クロワッサンを買いに来る方もおられますよ」と、勝木さん。同じ生地を小さめに成形。おやつ感覚で食べられる、ほんのり甘いプチクロワッサン(1個59円)も販売している。

水曜日限定のドイツパンも

『ブルーデル』水曜日限定のライ麦パン水曜日にだけ登場するライ麦パン、1個540円、ハーフサイズは270円。勝木さんがお兄さんから伝授されたレシピで焼いている。

勝木さんの兄が修業したのは、神戸の『フロインドリーブ』。勝木さんはそのレシピを受け継いでドイツパンを焼いている。水曜限定のライ麦パンもそのひとつだ。

コロンとしたフォルムのライ麦パンには、クルミがたっぷり入っている。食感のアクセントになっていることに加え、特有の甘みも楽しめる。そのままで食べるのも良いが、スライスして好みのナチュラルチーズをたっぷり乗せ、トースターでこんがり焼けばご馳走に早変わり。

煮込み料理などとの相性も抜群。ビール、赤ワインの良き相棒にもなってくれる。

『ブルーデル』外観勝木さんは、日に50~60種のパンを焼く。クルミが好きなことから、同じクルミ好きのリスをマスコットにしていて、店内のあちこちにリスが飾られている。中にはお客さんからのプレゼントも。

■店名
『ブルーデル』
■詳細
【住所】京都府京都市中京区西洞院夷川上ル毘沙門町397-2 二条城グランドハイツ1F
【電話番号】075-231-3435
【Facebook】https://www.facebook.com/brude.kyoto/

掲載号
「あまから手帖」2023年5月号/京都の迷い方

Writer ライター

小林 明子

小林 明子

Akiko Kobayashi

「パンの街」と呼ばれる京都の商家に生まれる。数人の従業員も住み込む、大家族に育ったため、朝食は各自が用意できるパン食が常だった。以来、半世紀以上にわたって毎朝の主食はパン。パン屋巡りの旅に出ることもあるライター。パンシェルジュ1級。

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