パン好きたちが始めたパンのセレクトショップ/京都『レガルーチェ』

パン好きたちが始めたパンのセレクトショップ/京都『レガルーチェ』

小林明子の「偏愛パン」

2023.06.12

文:小林明子 / 撮影:増田えみ

京都・千本下立売の『レガルーチェ』は、ちょっとユニークな経緯で誕生したパンのセレクトショップだ。オープンさせたのは、飲食業とは無縁のリサイクル会社のパン好きたち。地道な交渉の末に集めた粒揃いのセレクションが、パン好きを喜ばせている。

目次

自分たちの“好き”を並べる 曜日限定の名店パンも 店舗情報

自分たちの“好き”を並べる

京都の迷い方(2023年5月号)」の「日々是パン 6店6様の物語」から、誌面に載せられなかった情報をプラスして紹介。第2回目は『レガルーチェ』。社内で発足したパン好きグループが開いたセレクトショップだ。 ※前回はこちら

その会社は中古家電のリサイクルを主に行う『トラスト関西』。メンバーの一人である垣内紀彦さんは、「代表を含めた4~5人が、新しい店や美味しいパンの話題で常に盛り上がっています」と話す。
彼らがいつか作りたいと思っていたのが、自分たちの好きなパンを並べる空間。その夢が、千本通に面した空き物件に出合ったことから、実現に向けて動き出した。

曜日限定の名店パンも

『レガルーチェ』パン店頭には毎日300~400個のパンが並ぶ。品数が一番多いのは昼前後で、季節替わりのパンも登場する。取り置きも可能。

計画段階から相談に乗ってもらってきたのは、伏見の人気店『テクノパン』のオーナー。協力への快諾を得て、他店との交渉も引き続き行ったが「人手が足りていないから、店で売る以上のパンを焼くことは難しいと言われることも少なくありませんでした」。

それでも交渉を続けた結果、とろっとろの自家製カスタードが詰められたクリームパン・パティシエールで知られる『ブランベーカリー』、1952年創業の『井上製パン』、東寺近くで夫妻が営む『KANOA bakery』、外国人のファンも多い『Boulangerie Rauk』などの協力を得ることに成功した。

『テクノパン(月曜日)』、阪急桂駅近くにある『pain maison IWASA(土曜日)』の2店は曜日限定だ。

デニッシュ生地にシナモンシュガーをたっぷり載せ、ホワイトチョコを掛けたシナモンロール。ピーナッツがゴロゴロ入ったクリームを挟んだ、大粒ピーナツクリームサンドなど、『テクノパン』はどれもビッグサイズ。

同じく『pain maison IWASA』のパンも食べ応え満点。ジャガイモのスライスをぎっしり並べたじゃがたまご。ピザのような形のシャキシャキれんこんトマトソース焼きなど、“見て楽しい、食べて美味しい、他店にはない創作パン”をモットーに掲げる人気店だけあって、いずれも実に独創的だ。

土曜日に販売される『pain maison IWASA』のパン土曜日に販売される『pain maison IWASA』のパン。右上から時計回りに、昭和レトロな揚げパン200円、メープルバター160円、シャキシャキれんこんトマトソース焼き280円、じゃがたまご240円、桜粒々あんパン280円(撮影:小林明子)。

遠くまで足を運ばなくても、バラエティに富んだパンに出合わせてくれるありがたい存在。今後は「2号店も視野に、協力店も増やしていきたい」と、一同は意気込んでいる。

『レガルーチェ』内観店名は“光の贈り物”という意味。パン好きにとってのまさに“贈り物”が数多く並ぶ。

■店名
『レガルーチェ』
■詳細
【住所】京都府京都市上京区千本通下立売上ル稲葉町467
【電話番号】075-802-0150
【営業時間】10:30~18:00
【定休日】日曜
【Instagram】https://www.instagram.com/regaluce_kyoto/

掲載号
「あまから手帖」2023年5月号/京都の迷い方

Writer ライター

小林 明子

小林 明子

Akiko Kobayashi

「パンの街」と呼ばれる京都の商家に生まれる。数人の従業員も住み込む、大家族に育ったため、朝食は各自が用意できるパン食が常だった。以来、半世紀以上にわたって毎朝の主食はパン。パン屋巡りの旅に出ることもあるライター。パンシェルジュ1級。

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