万博でイタリアの食スタイル「地中海式ダイエット」を学んできた

閉幕まであとわずかとなった大阪・関西万博。人気パビリオン筆頭のイタリア館で9月に開催された、エミリア=ロマーニャ州PRウィークに潜入。イタリアが誇る食スタイル「地中海式ダイエット」のセミナーに参加してきました。

エミリア=ロマーニャ州ってどんなところ?

イタリア北部に位置するエミリア=ロマーニャ州。「フェラーリ」や「マセラティ」発祥の地であり、「ランボルギーニ」や「ドゥカティ」が本社を置く自動車産業の地で、リゾート地としても有名。食でいうと、日本でも馴染みのあるパスタ「バリラ」社の本社もエミリア=ロマーニャ州・パルマにあります。

州都はボローニャ。と聞けばピンとくるかもしれません。ボローニャ風ミートソース・ラグー、ひき肉のスパゲティ・ボロネーゼ、ラザニア…。そうです、ボローニャは世界的な食名物を擁する美食の街。州全体にも名産がたくさん。パルミジャーノ・レッジャーノにバルサミコ酢、オリーブオイルにパスタ、パルマハムなどなど。エミリア=ロマーニャ州は美食の地(Food Valley)として知られているんですね。

そんなイタリアの美食を体現する州のイベントで、Mediterranean Diet(地中海式ダイエット)をテーマにしたビジネスセミナーが開催されました。

地中海式食事セミナー
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世界無形文化遺産の食スタイルを知る

イタリアを美食の国に押し上げたエミリア=ロマーニャ州を含むイタリアの食文化は、2010年に「地中海式ダイエット」としてユネスコ世界無形文化遺産に登録されています。

ダイエットと言うと減量をイメージしがちですが、南イタリア発祥の地中海食には食事制限やカロリー制限はなく、あくまで「健康的に幸福に暮らす」ためのライフスタイル全体を指しています。

地中海式ダイエットの一番の特徴は、オリーブオイルや乳製品、穀物、野菜や果物を中心とした健康的な食事スタイル。「地中海食のピラミッド」に図解されていて、素材が描かれたピラミッドの上に行くほど、飲食(摂取)頻度を少なくする、というもの。

例を挙げると、牛肉や豚肉、デザート…月に数回、鶏肉、卵、チーズ、ヨーグルト…週に数回、シーフード…少なくとも週に2回、野菜、果物、全粒粉、オリーブオイル、豆、ナッツ類…毎日毎食。 加えて、生活スタイルも重要としています。運動は毎日。ワインを適度に飲む。そして、家族や友人など「誰かと一緒に」ゆっくりと食事をすること。

この食事スタイルは、健康的でバランスの取れた食のモデルとして世界中で認められており、持続可能な開発と経済成長の基盤となっているそう。

地中海式食事セミナー
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地中海食のピラミッド
拡大図
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「どこの誰が作ったのか、口にするものがどこからきているのか、我々は知る権利がある」と、安心・安全で持続可能な食モデルに対するミケーレ・デ・パスカレ エミリア=ロマーニャ州知事の開会の挨拶。続いて、エミリア・ロマーニャ州に拠点を置く主要な農業協同組合の代表らによるプレゼンテーションが。

州において農業は重要な産業。地域と結びついた伝統的なスタイルを守りながら、これからの時代はより持続可能なスタイルであらねばならない、などスピーチには熱がこもります。さらには農村の再生と農業の革新、高品質なイタリア食材の保護、食品の文化的教育など、組合が掲げる地中海ダイエットのための10のマニフェストについての説明も行われました。

地中海式食事セミナー
州知事の挨拶の後、フランコ・ミシェリーニ(Legacoop Agroalimentare Nord Italia社長)、エンリコ・マンニ 氏(グランテール会長)をはじめ4名のプレゼンテーションが行われた。イタリアの食文化にまつわる伝統や品質、社会的責任、そしてロジスティクスを含む革新性を伝える内容。
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屋上レストランで食文化を堪能

ちなみに、パビリオン屋上にあるレストラン『イータリー』では、イタリア式庭園の眺望を望む中、イタリアの食とワインが楽しめます。

閉幕までわずかながら、週替わりで出展する18の各州とのコラボレーションメニューも多く、ハム類やボロネーゼのタリアテッレなど、エミリア=ロマーニャ州ならではの味も。郷土料理やイタリア全土の高品質な特産品が味わえます。一方で、各国の文化に触れるのも万博の醍醐味。美食の奥にあるストーリーを感じながら、日本でも持続可能な食スタイル、健康と幸福のライフスタイルを考える機会にしたいですね。

パルマ産ハム、モルタデッラなどハムの盛り合わせ
セミナーで振る舞われたのは、エミリア=ロマーニャ州の名産品。パルマハムやモルタデッラなどハムの盛合せとパルミジャーノ・レッジャーノ。濃厚なバルサミコ酢をかければ、なお美味。
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ランブルスコ
果実味豊かで、甘く爽やかなランブルスコ(微発泡赤ワイン)がよく合う。
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