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正和堂書店おすすめvol.3:“自分のあじ”に気付くかも。「夜中にジャムを煮る」

大阪市、今福鶴見駅からちょっと歩いたところにある『正和堂書店』は、小西さんご家族が経営する街の本屋さん。実は鞄からチラ見せしたくなるオリジナルブックカバーが大人気の書店さんでもあります。本はココロのごちそうといいますが、ブックカバーに包んで大切に持ち歩きたい、おいしい本を書店員の小西さんにご紹介していただく連載「ブックカバーの下はごちそう」。第三回目は、平松洋子さんのエッセイ「夜中にジャムを煮る」。

夜中にジャムを煮る(新潮文庫)/ 平松洋子・著

夜中にジャムを煮る
食文化と暮らしをテーマに執筆するエッセイスト・平松洋子さんが綴る、台所をめぐる17のエッセイ。食材や調理道具への愛情、台所での何気ない出来事などを鮮やかに描き出した文章が、私たちの暮らしを潤してくれます
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1冊に、だしや塩、おいしいご飯炊き、果物の食べ頃など、食や道具への強い思いがたっぷり詰まっています。その一方、これだけ食にこだわりがある平松さんでも台所に立ちたくない日があったり、一人ご飯は手間をかけずパパっと終わらせたりと、無理をしないのが何とも正直で心地よい。

最初のエピソード「こんなものを食べてきた」のなかに、年に何度も面倒なちらし寿司を作る母を見て、「こんな手間がかかるのに何が楽しいのだろう」と幼少期の平松さんは不思議に思ったという一節が。そういえば私の祖母も「これ入れるとすごーく美味しいんだよ」と嬉しそうに笑っていたなと思い出しました(しかしその隠し味がなんだったのか…)。

子どもを持った今、ご飯を作りたくなくても何とか気力をひねり出している毎日ですが(料理苦手です)、「いただきます」の後の家族の顔を思い浮かべながら作る料理は、実は、小さくても自分なりのこだわりや工夫が凝らされているのだと気づかされました。(涙!)

そしてそして、最後にどうしてもお伝えしておきたい!タイトルにもなっている「夜中にジャムを煮る」編の、真夜中にジャムを煮る描写がとても甘美で美しく、うっとりするほど素晴らしいです。ぜひ読んでいただきたいです。

大阪の街の本屋さん『正和堂書店』が選ぶ、おいしい本連載「ブックカバーの下はごちそう」

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正和堂書店

seiwado book store

大阪・鶴見にある1970年創業の街の本屋さん。3代目の小西康裕さんが「読書時間がより楽しくなるように」とデザインしたオリジナルブックカバーが大人気。2代目の典子さん、3代目の康裕さん・敬子さんご夫妻(と4歳の長女)、康裕さんの弟・悠哉さんなど、一家で奮闘するSNSの総フォロワー数は20万人!
instagram@seiwado.book.store