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正和堂書店おすすめvol.5:心をほぐして整える「魔女たちのアフタヌーンティー」

大阪市、今福鶴見駅からちょっと歩いたところにある『正和堂書店』は、小西さんご家族が経営する街の本屋さん。実は鞄からチラ見せしたくなるオリジナルブックカバーが大人気の書店さんでもあります。本はココロのごちそうといいますが、ブックカバーに包んで大切に持ち歩きたい、おいしい本を書店員の小西さんにご紹介していただく連載「ブックカバーの下はごちそう」。2024年最後の回は、内山 純さんによる「魔女たちのアフタヌーンティー」。1年間頑張った自分を労わり、新しい年へ。穏やかなティータイムを通して心と身体を整えましょう。

魔女たちのアフタヌーンティー (角川文庫) / 内山 純 ・著

「お茶にしよう」という言葉が大好きです。
好きすぎて、子どもも私が使う「ティーパーティー!」という言葉を覚えてしつこく言ってくるほど。

お茶の時間は、どんなに短時間でも、心に余白を作ってくれる気がするのです。
我が家の場合は私の面倒くさがりゆえに、ティーバッグで淹れたお茶に、 おやつ(もちろん手作りではない)という組み合わせではございますが。
でも、このおやつにはこのお茶! みたいな謎のこだわりは、あります。 組み合わせを選ぶところから、お茶の時間は始まっているのではないでしょうか。


今回ご紹介するのは、そんなお茶好きが心躍るタイトルの本です。
「魔女たちのアフタヌーンティー」。

魔女たちのアフタヌーンティー
魔女たちのアフタヌーンティー(角川文庫)
10

大手不動産会社で営業としてバリバリ働く39歳の主人公・前屋敷(まえやしき)真希は、 大きな失態により会社に損害を与え、閑職に追いやられることに。
名誉挽回を図り、”魔女”が住むと噂される白金台の土地の買収を目論む真希ですが、 あることがきっかけで、魔女のお茶会に招待されます。様々な年代のゲストの悩みを聞き、お茶の奥深さを知っていくうちに、真希は自分自身の人生を見つめ直していきます。

登場人物はみな不器用ながらも、誠実に相手の悩みや辛さに向き合っています。 自分自身を整えるためにお茶をすること。自分自身を整えると、アドバイスを素直に聞いたり冷静に考えたり、気づきを得られること。 そんな”魔女”の教え通り、お茶会を通して、お互い助け合いながら、前を向くのです。

あぁ、私の、不器用でもがいてきた日々は、これで良かったんだ。 物語を通して、なんだか自分を認めてもらえた気がしました。 誰かに頼るのは苦手だけれども、お茶をすることを通して、自然と自分自身を整え、助けてもらっていたのかもしれません。
自分が前を向けたら、次は助けてもらった人や、その他の誰かの力になったら良い。 自分と同じく不器用な登場人物たちを見て、そんな素敵なことに気づくことができました。

毎日を忙しく過ごす方にこそ、ぜひ読んでいただきたいです。

大阪の街の本屋さん『正和堂書店』が選ぶ、おいしい本連載「ブックカバーの下はごちそう」。ほっこり心に寄り添う本、揃ってます。

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正和堂書店

seiwado book store

大阪・鶴見にある1970年創業の街の本屋さん。3代目の小西康裕さんが「読書時間がより楽しくなるように」とデザインしたオリジナルブックカバーが大人気。2代目の典子さん、3代目の康裕さん・敬子さんご夫妻(と4歳の長女)、康裕さんの弟・悠哉さんなど、一家で奮闘するSNSの総フォロワー数は20万人!
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