やわらかく儚い、衝撃の口溶け。神戸・須磨『ボックサン』の神戸・六甲カシミヤチーズケーキ
舌の上でほどける至福の2口
わずか2口大の愛らしい小判型。フォークを入れるまでもなく、手にとってそっと口へ運べば、もはや咀嚼すら必要ない。
上顎と舌にほんの少し力を加えるだけで、シュッと音を立てるように儚く消え去ってしまうのが、『ボックサン』の「神戸・六甲カシミヤチーズケーキ」だ。
スチームコンベクションオーブンでじっくり蒸し焼きにされた生地は、舌のうえで溶けるとまさに“飲みもの”のように驚くほどみずみずしく、なめらかになる。
こだわりの素材であるフランス産『Kiri』製のクリームチーズによるミルキーなコクとほのかな塩味が広がり、後味はどこまでもスッキリ。その軽やかさがたまらず、ひとつ、またひとつとポイポイ口へ放り込んでしまう。底に薄く敷かれた特製のスポンジが生地を崩さず綺麗に受け止め、繊細な口どけの妙を際立たせている。
「ふくちゃん」から全国へ
今や店の代名詞として知られる「神戸・六甲カシミアチーズケーキ」だが、誕生は阪神・淡路大震災の前にまで遡る。
それまでの『ボックサン』ではホールケーキサイズのチーズケーキが主流だったが、少子高齢化の時代を見据えて「お年寄りから小さな子どもまで、食べ切りやすいサイズを」と2代目の敏晃シェフが考案したのが現在の姿。
当初は自身の愛称から「ふくちゃんのチーズケーキ」と名付けて地元で親しまれていたという。
転機となったのは震災後にパッケージを依頼したデザイナーとの出会いだ。
「全国へ届けるなら、この極上の舌ざわりをそのまま名前にしましょうと提案され、極上のやわらかさになぞらえて、デザイナーさんがカシミヤみたいと言ってくれた言葉が商品名になったんです」と敏晃シェフ。
このインパクト大なネーミングと洗練されたパッケージへの一新が見事に実を結び、全国から注文が押し寄せる名物へと羽ばたいた。
一人でも多くを笑顔に。初代から続く菓子作り
このものづくりの根底には、創業者の壮大なドラマがある。
福原さんの父親である初代・福原善之助さんが菓子職人を志したのは昭和10年(1935年)のこと。その最初の修行先は、なんと豚まんで名高い大阪『蓬莱』の洋菓子部(生菓子部門)だったという。
その後、召集令状を受けて海軍へ赴いた善之助さんは、原爆投下直前の広島から配属転換で大阪へ異動し、奇跡的に命拾いしたことから「私は天に生かされた。それならば、お菓子を通じて一人でも多くのお客様を笑顔にしたい」と心に誓い、復員後は西宮・甲子園のカステラ専門店『長崎屋』で10年腕を磨き、昭和39年(1964年)に須磨で前進の店『ボック』を創業した。
近隣のお客からは「ボック」に敬称をつけ、いつの間にか「ボックさん」と呼ばれるようになったことから、開業から2年後には店名自体を『ボックサン』に改称したエピソードも愉快だ。
「甘みは旨み」を掲げ、子どもからお年寄りまで誰もが美味しいと思える味を追求した初代の遺志は、二代目、三代目へと大切に受け継がれている。
年間25万人に愛される須磨発の名店
現在「神戸・六甲カシミヤチーズケーキ」は東須磨本店をはじめとする神戸市内の実店舗5店舗のほか、公式オンラインショップでも購入が可能。店舗とオンラインショップを合わせると、年間で約25万人もの人々が『ボックサン』の味を求めて訪れる。
なかでも「神戸・六甲カシミヤチーズケーキ」は冷凍便を使えば全国どこへでもお届け可能。
気取らず、それでいて誰もが笑顔になれる小さな名品は、おもたせやお取り寄せに迷ったときの頼もしい味方になってくれるはずだ。
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- 店名
- ボックサン 東須磨本店
- 住所
- 兵庫県神戸市須磨区堀池町2-1-25
- 電話番号
- 078-731-3675
- 営業時間
- 09:00~19:00(イートインは18:30 L.O.)
- 定休日
- 元旦のみ休み
- 交通
- 山陽電鉄東須磨駅 徒歩1分
- 席数
- テーブル6席
- メニュー
- 季節のショートケーキ650円、シュークリーム280円、こだわりロール1本1200円、洋藝クッキー5枚入り949円など
- 公式サイト
- https://www.bocksun.com/

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