万博会場の森の中でアートを体感 「静けさの森インスタレーション」

 まもなく開幕する大阪・関西万博。アサヒグループジャパン株式会社が協賛する「静けさの森インスタレーション」の記者発表が行われた。

「静けさの森」とは

 近未来的デザインの各国パビリオンが建ち並ぶ広大な万博会場の中央には、対照的ともいえる、静謐の空間・森が出現します。直径20mほどの池を囲むように約1500本の樹木や草花が植えられ、鳥たちが飛来し、さえずる森の中を来場者が自由に散策できる場所です。
 テーマ事業プロデューサーの宮田裕章氏は「まさに自然の中に迷い込んだような雰囲気の場所で、パビリオンで近未来的な技術の展示を鑑賞した後に訪れると、ここで見てきたものを反芻したり、未来に目を向けて、想いを馳せる場として使っていただけるのでは」と語ります。森の中にある木々は1970年開催の万博跡地、万博記念公園をはじめ、服部緑地や大阪城公園など府内各地の公園等から、間伐予定の樹木を移植。枯れゆく命をここで再生し、生態系との共創を象徴する空間となっています。またあえて不揃いの樹木を組み合わせることで多様性も表現しており、会場の様々なパビリオンをつなぐ役目も果たしています。
 1941年から80年以上、広島県北部で、豊かな自然を次世代へ引き継ぐために、森を守る活動をする、社有林『アサヒの森』を運営しているアサヒグループジャパン株式会社がこの理念に共感し、「静けさの森」のゴールドパートナーとして協賛しています。

「静けさの森」記者会見オフィシャルスチール
記者会見にて。左からランドスケープデザインディレクターの忽那裕樹氏、アサヒグループジャパン株式会社代表取締役社長兼CEO濱田賢司氏、2025年日本国際博覧会テーマ事業プロデューサー宮田裕章氏、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会副事務総長の髙科 淳氏。会場デザインプロデューサー藤本壮介氏はオンラインで参加。
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世界的アーティストの作品を展示

 「静けさの森」は来場者の憩いの場としてだけではなく、歩いて巡りながらアート体験ができる場でもあります。それが『未来社会ショーケース事業』の『アート万博』のひとつ「静けさの森インスタレーション」です。森の各所に、世界的に著名なアーティストによる立体オブジェやアート作品が点在するインスタレーション(空間芸術)となっているのです。
 宮田裕章氏と先ごろまで金沢21世紀美術館館長を務めた長谷川祐子氏との共同キュレーションのもと、オノ・ヨーコ、レアンドロ・エルリッヒ、トマス・サラセーノ、ピエール・ユイグ、PNATの5組の世界の名だたるアーティストが作り上げた作品を、新しい命が芽吹く静かな森の中で鑑賞・体験することができます。
 4月13日から10月13日の万博開催期間内に、森の木々は自然に色を変え成長していきます。草木が茂りまたは色付き、背景が変われば展示アートの印象も折々に異なることでしょう。訪れるたびに違った見え方をするのも魅力の、インスタレーションです。
 また、期間中に開催される「テーマウィーク」と連動し、宮田裕章氏と他のテーマ事業プロデューサーらとの対話イベントや、世界トップクラスのシェフとの食のセッションイベントも開催される予定とのこと。楽しみな企画が多数用意されているようです。

「静けさの森」mapオフィシャル
森の中のスロープを歩きながら、アートを鑑賞できる設計。
「静けさの森」オノ・ヨーコ氏作品オフィシャル画像
平和と人権をコンセプトとするオノ・ヨーコ氏の作品『Cloud Piece』。一期一会の空の模様を切り取る。
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オリジナルのクラフトビールをキッチンカーで

 アサヒグループジャパンは他にも「大阪ヘルスケアパビリオン」のプレミアムパートナーとして参画しており、「地域共創(アップサイクル)」「つながる」「多様性」をテーマに、アサヒグループでサステナビリティ事業を展開するアサヒユウアスが、まだ食べられるのに使われていない大阪の食材や大阪産(もん)の農産物の規格外品をアップサイクルしたクラフトビールを、屋外のリボーンテラス内に設置するキッチンカー「SMILE ALE」で販売。クラフトビールは通期商品と、期間限定販売商品を予定しているとのことで、どんな味の一杯に出会えるのか、楽しみは尽きない。