子どもにもおすすめパビリオン「EARTH MART」で食事に感謝を

大阪・関西万博で小山薫堂さんがプロデューサーを務めるシグネチャーパビリオン「EARTH MART(アースマート)」。
「食を通じて、いのちを考える」をコンセプトにした空想のスーパーマーケットから、食事について考えるパビリオンです。
先日行われた、小山さんナビゲートによるプレス向けの発表会に参加した際、大人が楽しいのはもちろんですが、多彩な展示を通して食の背景に触れることができるので、食育という意味でも魅力的な展示だと感じました。大人も知らなかったことを、子どもと一緒に知り、考えられる機会になります。

シグネチャーパビリオン「EARTH MART(アースマート)」

茅葺屋根が印象的なパビリオン「EARTH MART」。
「地球を、我々が生きていくための食糧を分け合う「市場(マーケット)」と捉え、食の大切さや分け合う喜びを伝える内容となっています。

「EARTH MART」は空想のスーパーマーケット。「いのちのフロア」「未来のフロア」という大きく2つのゾーンに分けられ、約20の展示が用意されています。
「いのちのフロア」は、普段食べているものを通して、命への感謝が生まれるような仕掛けが、「未来のフロア」は、未来により良く食べるためのヒントが易しく楽しく展示されています。

EARTH MARTパビリオン
里山の暮らしにおいて、「循環」の象徴でもある茅葺屋根を採用したパビリオン。日本全国の5カ所の茅を使用しています。(隈研吾建築都市設計事務所)
10

食べものの背景が見える「いのちのフロア」

日常の買い物は、近所のスーパーという人がほとんどでしょう。野菜も肉も魚も、食べやすく整えられ、“食材”として売られています。「いただきます」というとき、その食材の命や背景まで想像できているでしょうか。
「いのちのフロア」では、わたしたちが生きるために命をいただいているということ、それはどういうことなのかを“見せて”くれます。

野菜のいのち
【野菜のいのち】は、在来種の種をつないできた長崎県雲仙市の農家、岩崎政利さんの畑の野菜の展示。花が咲いているものから、朽ちているものまで、“野菜の一生”を見ることができます。野菜たちの、静かでダイナミックな命を感じます。
10
家畜といういのち
【家畜といういのち】家畜写真家・タキミアカリさんが撮影した写真と、その前に置かれたひとパックの肉。かわいらしい動物の「いのちが生まれる瞬間」と、スーパーで見慣れたパックの肉が、明確につながります。
10
一生分のたまご
【一生分のたまご】日本人ひとりが一生に食べる卵は、約28000個…と聞いてもあまりピンときませんが、それをオブジェにしたのがこちら。シャンデリアみたいです。いい感じの位置でポーズをとると、食べているような写真が撮れる楽しいフォトスポット(小山さんが実演!)。
10
いのちのはかり
【いのちのはかり】大きなはかりに、食品サンプルを置くと、何やら数字が。その食品の背景にまつわる数字なのですが、さて何なのか、しばし考えるクイズ仕様。食品サンプルは、牛乳パック、おにぎり、水(ペットボトル)など、身近なもの6品。
10
いのちのレジ
【いのちのレジ】大きなモニターの前を通ると、自分の顔が食べ物に変化する不思議なレジ。「海産・畜産」のレジと、「野菜・果物」のレジがあります。いただいた命で、わたしたちの身体はできているということを、面白いかたちで見ることができます。
10

このほかにも、世界の家族と食卓のポートレイト写真を展示した「世界の食卓」、日本人の10年分の食糧体積を表現した巨大なショッピングカートのオブジェ「いのちのカート」などなど、紹介しきれないユニークな展示がたくさんありました。

将来の食事を考える「未来のフロア」

「いのちのレジ」を過ぎると、「未来のフロア」へ。古来からある食の技術の凄さに改めて気が付いたり、最新のフードテックを知ったりすることができるフロアです。

未来をみつめる鮨屋
【未来をみつめる鮨屋】突然現れるバーチャルな鮨屋のインパクトはすごいです。今年100歳を迎えるレジェンド鮨職人・小野二郎さん(『すきやばし次郎』)。普段は天然ものしか握らない小野さんが、養殖魚や品種改良技術によって生まれた食材を握ってくれます。
10
味を記憶し、再現できるキッチン
【味を記憶し、再現できるキッチン】料理を再現できる「録食」という驚愕のテクノロジー。温度や食材投入のタイミング、混ぜ方などを、最新技術で記録し分析することで再現。プロの味、もう食べられないと思っていた味が食べられるように。
10
みんなが幸せになる未来のお菓子
【みんなが幸せになる未来のお菓子】このテーマで、日本をはじめ、複数の国の9~11歳の子どもたちからアイデアを募集。約34作品を厳選し、CGで再現もされています。心の栄養でもあるスイーツと自由な発想が結びついた、大人もハッとするお菓子たちです。
10
アースフーズ
【アースフーズ】例えば、梅干し、こんにゃく、鰹節…わたしたちにとっては身近な食品ですが、実は日本が誇る技術が詰まっています。世界をよくするヒントが詰まった25品を展示しつつ、パッケージデザインやシェフによる料理提案も。
10

ほかにも、あらゆる食材をパウダー化することで食の可能性を広げる「進化する冷凍食」なども。エピローグには、来場者同士で巨大な食卓を囲む演出が待っています。

お土産は食のタイムカプセル

来場者も参加できる、面白いプロジェクトも。
万博開催期間中に和歌山で収穫された梅を使った梅干しを「万博漬け」とし、25年後に実食できる引き換えチケットが配布されます。
同時に絵馬カードも用意されていて、熊野本宮大社でのご祈祷の後、2050年まで「紀州梅の会」によって「万博漬け」と共に保管されるということで、まさに”食のタイムカプセル”。

25年後、子どもたちは立派な大人になっています。一緒に行った家族や友人との2025年の1日を思い起こしてくれるお土産になりますね。

万博漬け
万博漬け
10

2025年大阪・関西万博情報はこちら

詳しくはこちら

writer

amakara.jp編集部

amakara.jp

関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。