知って感じて、味わう?ブルーオーシャンドームで壮大な「海」の体験を

各パビリオンの個性的な建築にも注目が集まる大阪・関西万博。ガンダム横でひときわ目を引く丸いパビリオンがある。特定非営利活動法人ゼリ・ジャパン(以下ZERI JAPAN)によるブルーオーシャンドームだ。「海の蘇生」をテーマに巡る3つのドーム、その全容とは?

水はどこからどこへいく?を「知る」

大阪・関西万博のブルーオーシャンドーム外観
大阪・関西万博のブルーオーシャンドーム
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西ゲート近くの大屋根リング横、猛烈な陽射しに照らされる白いドーム。周りには水が張られ涼やかなルックス。世界的な建築家 坂 茂氏が設計した3つのドームのひとつ目「ドームA」に入ると白い世界が広がり、目にも涼しい。

プラスチック海洋汚染防止に対して様々に取り組むZERI JAPANが環境問題への取り組みの一環として、またその理解促進を目的に出展したこちらのパビリオン。デザイナー・原 研哉氏を総合プロデューサーに迎え、「ドームA」では「水の循環」をテーマに展示している。

雨が山に降って湖に流れ、やがて川になり、海に還っていく──落差を利用したピタゴラスイッチのような楽しい展示は、ガラス製のししおどしから流れていく水が、落ちそうで落ちない絶妙なバランス!竹を使用した建築はもちろん、設計もスゴイ。

にょろにょろ、コロコロとグミのようにプルプルのグミのような水滴たちが流れる様子に和みながらも、自在に姿を変える水は生き物のよう。そして、海、陸、大気のすべてがつながっていることを体感する。

大阪・関西万博のブルーオーシャンドーム「ドームA」内部
近年の放置竹林問題と強度を鑑み、奈良県の国産竹材の集成材を使用した「ドームA」。超はっ水加工の塗料を施した微細なカービングのスロープ。新幹線の先頭部分に用いられる金属加工技術を以て、なんと手作業で作られている。
大阪・関西万博のブルーオーシャンドーム「ドームA」流れる水
スロープを流れていく水滴たち。
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海洋問題をリアルに「感じる」

続いての「ドームB」は一転して漆黒の世界。舞台を囲むように座ると、眼前に巨大な球体のモニターが迫ってくる。

美しい地球が映し出されるとさらに暗転し高精緻な球体LEDスクリーンの姿が浮かび上がる。約7分の映像にはプラスチックゴミであふれる海洋汚染、それに囲まれる海洋生物、さらに海で育まれる命…。見方によっては様々な捉え方ができる内容だからか、なんだかモヤモヤする。それに、フルCGの暴力的なまでの美しさに心を奪われる反面、どこか狂気じみたものも感じる。
人間は、海をゴミ箱にしてはいないか。そんな危機感の種火のようなもの、だったのかもしれない。

大阪・関西万博のブルーオーシャンドーム「ドームB」①
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大阪・関西万博のブルーオーシャンドーム「ドームB」③
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大阪・関西万博のブルーオーシャンドーム「ドームB」②
カーボンファイバー強化プラスチックを軸にした「ドームB」。映像はLEDを1200万個(!)使った球体LEDモニターにて。ビジュアルスタジオ「WOW」によるフルCGが圧倒的に美しい。「ドームB」は坂 茂氏が建築設計を手掛ける南アジアにあるモルディブのリゾートホテルへの移築が決まっている。
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海を身近に「味わう」体験も

身も心も震える映像体験をしたらパビリオン最後の部屋「ドームC」で再び明転。パビリオンの建築家・坂 茂氏の代名詞である紙管を用いたドームが明るく、心地よい。ステージでシンポジウムやトークショーが開催されるスタジオ空間で繰り広げられる、団体や企業のプレゼンテーションが公式YouTubeチャンネルでLIVE配信される。また壁面には海業の持続的発展へ取り組むサポート企業『サラヤ』『レンゴー』の常設展示もある。
最後は、一画に設けられたカウンターで「味わう」ひとときを。「海と山の超純水」は「天然の海塩×山の恵み・湧き水」でつくったもの。高知の塩職人・田野屋塩二郎氏の塩を使った贅沢な一杯、監修は料理研究家・土井善晴先生!
塩と水、つまりは「塩水」なんですが。そこにどんな思いを巡らせるかで味わいは変わるもの。生命の源である海と、その浄化へ思いを巡らせるひととき。
自然に、海に生かされていることに感謝しながら「どう生きるか?」。最先端かつサスティナビリティに重きを置いた美しい建築の中で、胸に重たいものをしっかり受け止めた。

大阪・関西万博のブルーオーシャンドーム「ドームC」内部
大阪・関西万博のブルーオーシャンドーム「ドームC」海と山の超純水①
海水の塩分濃度が約3.5%に対して「海と山の超純水(540円)」は0.5%くらい。約70℃の白湯に塩を溶かして提供する。カップも丸みあるキャップももちろん紙製。「ドームC」で販売されているパビリオンを紹介する書籍「BLUE OCEAN DOME海と話そう」は展覧会の図録のようなクオリティ。
関西万博のブルーオーシャンドーム「ドームC」海と山の超純水②
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