神戸ポートピアホテルで 和歌山食材フェア

 春の声が聞こえる3月。山海の豊かな幸に恵まれた和歌山食材フェアが開催されます。 舞台は、ポートピアホテル1階にグランドオープンしたばかりのコントワール『リュバン』。 産地を訪ねインスピレーションを受けた豊田料理長による、和歌山食材を駆使した特別コースとは――。

和歌山の豊かな山海の恵みを味わう
コントワール『リュバン』。

「兵庫県と同じで山も海も近い和歌山には、親しみを感じます」と笑顔で話すのはコントワール『リュバン』料理長の豊田悟至(とよださとし)シェフ。リボンを意味する同レストランは、2024年12月、神戸ポートピアホテルに誕生したばかり。広やかなオープンキッチンの上をリボンが躍る、ライブ感覚溢れる店内だ。3月、この新しいレストランを舞台に、和歌山食材フェアが開催される。豊田シェフは、まず和歌山県を縦横に視察。生産者の熱い想いに触れた。

 湯浅町の海辺では紀和味(きわみ)アワビの養殖場へ。「前の海から汲み上げた海水です。温かい和歌山では、よく動きよく食べる健康なアワビが育ちます」と生産者。本州最南端・串本町は大島まで足を延ばすと、待っていたのは特産の梅を活用した飼料で育てた鯛。梅酢効果で免疫力がアップし、無投薬で育てられるとか。また紀州特有の柑橘・じゃばらの生産者を訪問。「ミカンに近い糖度があるのにレモンと同等の酸味がある」という独特の味わいにシェフも瞠目。面白い食材との出合いに、「どんどん料理のイメージが湧いてきます!」。
 早速試作を重ね、フェアのメニューが決定。一足早く誌面で披露する2品は、まず紀和味アワビを使ったオードブル。カクテルグラスの底には、アワビの生産者から届いたアシアカエビの頭でとった濃厚なコンソメジュレが。ハッと胸を突くほどの旨みが炸裂する。もう一品、バラの花のように華やかに仕立てられたのは串本町大島の〝紀州梅まだい〞。じゃばらのコンフィチュールを添えて。「じゃばらは存在感が強いので試行錯誤しましたが、新しい味わいを作り出せました」とシェフは会心の笑み。フェアでは、和歌山で出合った食材を使ったコースが味わえます。

カクテル
『和歌山県産アシアカエビと紀和味アワビのカクテル春野菜のクリーム』。グラスの料理は、『RIZH』の“紀和味(きわみ)アワビ”とアシアカエビを使ったオードブル。「小さいけどしっかり美味しいエビです」と豊田シェフ。春の野菜をたくさん使ったムースは、エストラゴンの香りが春のそよ風のように爽やか。底にアシアカエビのコンソメジュレ。春野菜の中でアワビとエビがプリンと弾けます。
chef
シェフの豊田悟至さん。2001 年、神戸ポートピアホテルに入社。ホテル内レストラン等で経験を積み、2014 年、『プレンデトワール』の料理長に就任。2023年、洋食・バーグループ統括料理長に。2024 年、フランスの二つ星レストランにて約2カ月間の料理修業後、リュバンの料理長に就任。好きなことは、料理すること、産地で生産者に会うこと。
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アワビ1
紀和味アワビ養殖場の『RIZH』を訪問。
アワビ2
地元の海藻を配合した飼料で育てる。
ジビエ
ジビエ解体処理施設『ひなたの杜』では、熟練の職人の鹿肉捌きを見学。
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ジャバラ1
広川町では、エコファーマー認定の『紀伊路屋』へ。
ジャバラ2
自然交配で生まれた幻の柑橘・じゃばらに出合う。
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山椒1
山椒の生産量日本一の和歌山県。
山椒2
中でもぶどうのように実をつけるぶどう山椒発祥の地・有田川町遠井へ。
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鯛1
串本町大島の『岩谷水産』では、船に乗って「紀州梅まだい」の広い生け簀を視察。
鯛2
出荷サイズが2 kgと見事な鯛だ。
ししわかまる
和歌山県が育成した辛くない、ししとう「ししわかまる」もコースに登場。
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