北海道『界 ポロト』でアイヌの日常に触れる
contents
静謐なる湖岸滞在
とんがり屋根の不思議な建物と、澄み切った青空や森の白樺やカエデを映す凪いだ湖面との組合せが、まるで西洋画のような美しさ。『界 ポロト』から臨むポロト湖畔の穏やかな景色は、眺めるほどに心が安らぎます。
「自然との共生や一体感を大切にしています。のんびり過ごしたいと、2泊以上される方が多いですね」と総支配人の久保貴弘さん。北海道南西部に位置するここ白老(しらおい)町はかつてアイヌ民族が暮らしていた地域で、『界 ポロト』のコンセプトは‟ポロト湖の懐にひたる、とんがり湯小屋の宿“。隣接する民族共生象徴空間「ウポポイ」同様、アイヌ文化に浸れます。
アイヌ文化の香り漂う空間
宿の象徴でもあるとんがり屋根の正体は、狩猟の際に寝泊まりする仮小屋・クチャの構造を参考にした湯小屋「△湯(さんかくのゆ)」。世界的にも稀な天然植物由来のモール温泉で、その価値や知識を学べる「温泉いろは」を毎日設けています。
「□(しかく)の間」と名付けられたレイクビューの客室は、伝統的住居・チセから着想を得た設え。チセに欠かせない四角い炉をイメージしたテーブルを置き、壁紙やクッションに施しているのはアイヌ文様。白樺丸太を大胆に配した部屋は、まるで森の中にいるようです。
演出たっぷりの「北国の海鮮醍醐鍋会席」
主役は毛ガニや帆立、鮭にエビなどを贅沢に盛り込んだ海鮮醍醐鍋。北海道ならではの海産物をふんだんに使った夕食も、随所にアイヌ文化を匂わせた演出が効いています。
一品目の先付はジャガイモのすり流しにイクラを飾った「馬鈴薯海宝盛り」。アイヌ民族が山のカムイ(神)として崇めるヒグマの陶器が「どうぞ召し上がれ」と言わんばかりに器に手を添える愛らしい姿が和みます。
昆布醤油でいただく北寄貝(ホッキガイ)やニジマスのお造りのほか、秋鮭の三升漬けなどを盛り合わせた宝楽盛りは、アイヌ民族が交易に使っていた丸木舟をモチーフにした器で登場。甘味のブランマンジェはアイヌ民族が不老長寿の実として崇めるハスカップとラベンダーのソースが別添えで。爽やかな酸味が味変にピッタリです。
暖炉に揺らめく炎を見つめながら、地元の酒やハーブティーを一杯。ロビーの暖炉で毎夜開催される「コタンの宵の集い」で、火を囲んだ団欒を大切にするアイヌの人々の習慣を体感するのも素敵です。火がいかに神聖な存在とされているかを気軽に学べる酔いのひとときは、旅の深い楽しみ方を教えてくれます。
「2月頃になると、凍りついた湖上を散歩できますよ。ワカサギ釣りもお薦めです」と久保さん。夢のような白銀の世界を想像するだけで、旅に出る理由になります。
data
- 店名
- 『界 ポロト』
- 住所
- 北海道白老郡白老町若草町1-1018-94
- 電話番号
- 050-3134-8092(界予約センター)
- 営業時間
- in15:00~、out~12:00
- 料金
- 【宿泊】1泊2食付31000円~
- 交通
- 新千歳空港から車で約40分
- 備考
- ※このページに掲載の内容は2025年10月時の情報です。
recommend






