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安藤建築の旧・堺屋太一邸に誕生した 優雅な大人の隠れ家レストラン、天満橋『Pebble(ぺブル)』

大きな窓越しに眺める、ゆったりとした大川の流れ。暮れていくにつれ、対岸の灯りが川面に映り、キラキラと輝きだすのを、ワイングラスを傾けながら眺めるーそんなちょっと優雅な大人の時間を楽しめるこちら。2024年ワインバーとしてオープンし、25年7月よりシェフを迎え、レストランとしてリニューアル。天満橋にある何とも洒落た美食とワインの隠れ家です。

大阪の歴史や文化を感じる舞台

店主は、ソムリエ・エクセレンス(旧シニアソムリエ)の魚見洋一さん。谷町のレストラン『イル・チェントリーノ』でのスマートなサービスを思い出す方もいらっしゃるかも。
南船場の老舗フランス料理『エプバンタイユ』を皮切りに、一時代を築いたイタリアン『マーブル・トレ』グループなど、フレンチ・イタリアンの人気店でサービスマン、ソムリエとして活躍してきた魚見さんが、満を持しての独立です。

カウンターからの景色
楠のカウンターに陣取れば、昼は目の前に大川と、川べりの緑が目に優しい。夜はライトアップなどで華やいだ水辺に。
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魚見さんが選んだ舞台は、安藤忠雄氏設計のビル5階。実は、作家で評論家・政治家としても知られる故・堺屋太一氏の居宅兼事務所として建てられたもので、ここ5階は堺屋さんのご自宅だったのだそう。
「大阪の歴史や文化を感じられる空間。眺めもいいですし、一目ぼれしてしまいました」と魚見さん。

安藤建築お得意のコンクリート打ちっぱなしの建物は、「外観はシンプルだけど、内部に仕掛けがあるんですよね」と魚見さんが言うように、アーチ状の天井や吹き抜けのポーチなど、趣向を凝らしたモダンな空間。木目のカウンターとも調和するのが、安藤建築マジックでしょうか。

個室
堺屋夫人の私室だった和室をリノベーションした個室もあります。安藤建築で和室は珍しいとか。
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“美味しい海”のような前菜に寄り添うワイン

7月より仲間入りしたシェフは、夏川和也さん。中之島のイタリアンレストラン『クイントカント』にて5年間、料理長を務めた方です。
ここでは、イタリアンにこだわらず、魚見さんがセレクトするワールドワイドなワインにも合う料理を工夫しています。「前店でも色んな技法を駆使していたので、楽しく料理しています」と夏川さん。

魚見さんと夏川シェフ
店名pebbleは小石の意味。「岩盤が岩になり、石になり、小石になる。長い時と地球の歴史がこの小石1つに詰まってるんです。そう思うと何だか敬虔な気持ちになりますよね」と魚見さん。左が魚見さんがこの人!と見込んだ、夏川シェフ。
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例えばある日の前菜は、剣先イカと塩水ウニに、大阪産の千両ナスなど野菜を彩りも美しく一皿に盛り込んで。アサリのだしのジュレとトマトのグラニテが、海と里の幸を繋ぎます。それぞれに微妙に異なりつつも、どこかとろりとした食感を共通項とした食材たちの共演は、とても美味しい海を思わせてくれます。
「なのでワインは、海のニュアンスに寄り添うスペインのガリシア地方で生まれたブドウ品種アルバリーニョのカリフォルニア産の白を合わせてみました」と魚見さん。酸味がキュウッと来るけど美しい後味です。「アルコール度数が低めで、淡い味わいが上品ですよね。近頃話題のニューカリフォルニアという動きの中で生まれた一本です」。魚見さんのこういうワイン・トリビアもこの店のご馳走のひとつです。

前菜剣先イカと塩水ウニ
9月のディナーコース13800円(7品+ドルチェ・食後の飲み物)から。前菜3品のうちの一品、剣先イカと塩水ウニ、海ぶどうを添えて。コースを通して、どこか和食のテイストを感じさせる繊細な料理が楽しめます。
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料理とワインのマリアージュを体感

お次は軽く炭火で炙ったマナガツオ。スープ仕立てがモダンです。ハマグリのスープと魚だしのダブルスープが、優しいけれど底深い旨みを楽しませます。こちらには、ボルドーの木樽のニュアンスのある重めの白を。相乗効果で、料理がひと口ごとに美味しさを増すよう。さすがのペアリングです。

魚料理マナガツオ
魚料理。愛媛の漁師・藤本純一さんからのマナガツオ、ハマグリのズッパディペッシェ。炭火で焼いたマナガツオと、レアな食感を残した蛤、ズッキーニ。シブレットとの相性もよし。青柚子の香りが爽やか。
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肉料理は、七谷鴨。フランスのシャラン鴨に追い付け追い越せと意欲的に生産に取り組んでいる京都のブランド鴨です。ドライエイジングをかけた皮目の噛み応えが野性的で、噛むほどに旨みがにじみ出ます。ジロール茸、舞茸、マッシュルームなど茸のソースやパウダーで旨みも増し増し。ワインはピエモンテのバルバレスコ。「クラシックな着地もいいでしょう」と魚見さん。

肉料理七谷鴨
メイン料理。七谷鴨のムネ、モモ肉をローストし、たくさんの茸のソースやマッシュルームのパウダーで。七谷地鶏のコンソメにタイムの香りを移した泡を添えて。
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ワインペアリングは当たり前のこの頃ですが、こちらでは、世界のワインの中から、最近話題の新顔もクラシカルなものも、縦横にセレクトして、本気でマリアージュの妙を楽しませてくれます。
ワイン好きならリピート間違いなしの大人の隠れ家です。

店内エントランス
キャンドルが灯され、夜は一層大人の雰囲気に。
ワインセラー
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