
安藤建築の旧・堺屋太一邸に誕生した 優雅な大人の隠れ家レストラン、天満橋『Pebble(ぺブル)』
大阪の歴史や文化を感じる舞台
店主は、ソムリエ・エクセレンス(旧シニアソムリエ)の魚見洋一さん。谷町のレストラン『イル・チェントリーノ』でのスマートなサービスを思い出す方もいらっしゃるかも。
南船場の老舗フランス料理『エプバンタイユ』を皮切りに、一時代を築いたイタリアン『マーブル・トレ』グループなど、フレンチ・イタリアンの人気店でサービスマン、ソムリエとして活躍してきた魚見さんが、満を持しての独立です。
魚見さんが選んだ舞台は、安藤忠雄氏設計のビル5階。実は、作家で評論家・政治家としても知られる故・堺屋太一氏の居宅兼事務所として建てられたもので、ここ5階は堺屋さんのご自宅だったのだそう。
「大阪の歴史や文化を感じられる空間。眺めもいいですし、一目ぼれしてしまいました」と魚見さん。
安藤建築お得意のコンクリート打ちっぱなしの建物は、「外観はシンプルだけど、内部に仕掛けがあるんですよね」と魚見さんが言うように、アーチ状の天井や吹き抜けのポーチなど、趣向を凝らしたモダンな空間。木目のカウンターとも調和するのが、安藤建築マジックでしょうか。
“美味しい海”のような前菜に寄り添うワイン
7月より仲間入りしたシェフは、夏川和也さん。中之島のイタリアンレストラン『クイントカント』にて5年間、料理長を務めた方です。
ここでは、イタリアンにこだわらず、魚見さんがセレクトするワールドワイドなワインにも合う料理を工夫しています。「前店でも色んな技法を駆使していたので、楽しく料理しています」と夏川さん。
例えばある日の前菜は、剣先イカと塩水ウニに、大阪産の千両ナスなど野菜を彩りも美しく一皿に盛り込んで。アサリのだしのジュレとトマトのグラニテが、海と里の幸を繋ぎます。それぞれに微妙に異なりつつも、どこかとろりとした食感を共通項とした食材たちの共演は、とても美味しい海を思わせてくれます。
「なのでワインは、海のニュアンスに寄り添うスペインのガリシア地方で生まれたブドウ品種アルバリーニョのカリフォルニア産の白を合わせてみました」と魚見さん。酸味がキュウッと来るけど美しい後味です。「アルコール度数が低めで、淡い味わいが上品ですよね。近頃話題のニューカリフォルニアという動きの中で生まれた一本です」。魚見さんのこういうワイン・トリビアもこの店のご馳走のひとつです。
料理とワインのマリアージュを体感
お次は軽く炭火で炙ったマナガツオ。スープ仕立てがモダンです。ハマグリのスープと魚だしのダブルスープが、優しいけれど底深い旨みを楽しませます。こちらには、ボルドーの木樽のニュアンスのある重めの白を。相乗効果で、料理がひと口ごとに美味しさを増すよう。さすがのペアリングです。
肉料理は、七谷鴨。フランスのシャラン鴨に追い付け追い越せと意欲的に生産に取り組んでいる京都のブランド鴨です。ドライエイジングをかけた皮目の噛み応えが野性的で、噛むほどに旨みがにじみ出ます。ジロール茸、舞茸、マッシュルームなど茸のソースやパウダーで旨みも増し増し。ワインはピエモンテのバルバレスコ。「クラシックな着地もいいでしょう」と魚見さん。
ワインペアリングは当たり前のこの頃ですが、こちらでは、世界のワインの中から、最近話題の新顔もクラシカルなものも、縦横にセレクトして、本気でマリアージュの妙を楽しませてくれます。
ワイン好きならリピート間違いなしの大人の隠れ家です。
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- 店名
- Pebble
- 住所
- 大阪府大阪市北区天満3-1-2 TSビル5階
- 電話番号
- 06-6356-0141
- 営業時間
- 12:00~14:30(12:00一斉スタート)、18:00~22:30(20:00最終入店)
- 定休日
- 日曜、月曜不定休
- 交通
- 各線天満橋駅から徒歩6分
- 席数
- カウンター6席
- 個室
- 1室(~4名)
- メニュー
- ランチコース6800円・8800円(いずれも6品+ドルチェ・食後の飲み物)、ディナーコース13800円・19800円(いずれも7品+ドルチェ・食後の飲み物)、10800円(6品のみ)。グラスワイン1540円~2620円、ワインペアリング5種7700円、7種10780円。
- 備考
- サービス料7%別、前日までに要予約。
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