手作り体験vol.5:ハッピー太郎さんの白味噌指南『ハッピー太郎醸造所』前編

お正月にお雑煮食べましたか?お雑煮と言えば白味噌。味噌を手づくり?結構寝かせないといけないんじゃないの?と思っていたらなんと10日で完成? 噂の味噌作りを体験するべく、滋賀は長浜まで行ってきました。あまりに盛りだくさんの内容に、今回は前編・後編の2回に分けてお届けします。

発酵、麹のプロに学ぶ

丁寧な暮らし系サイトなどで目にする味噌作り。興味はあるけどなんだか準備が面倒そうだし、なによりお世話の手間や時間がかかりそう…なんて思いがち。でも「10日で完成するらしい」。なんですと? 白味噌ラバーとしては見過ごせないっ。というわけで、大阪駅から乗り換えなし、2時間かけてバビューンと滋賀・長浜へ。この日初冠雪したという伊吹山を横目に、旅感満載で『ハッピー太郎醸造所』に到着。

湖のスコーレ
歴史を感じさせる長浜の商店街を抜けたところに現れる立派な施設『湖のスコーレ』。
伊吹山
施設の前からは、美しく荘厳な伊吹山が。
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迎えてくれたのは、醸造家・発酵アドバイザーとして活躍する池島幸太郎さん。お名前とお人柄からハッピーが溢れています。「味噌作り単体だと30分程度。では早速いってみましょ~」とのこと。え? そんな短時間で仕込めるもの? とはいえ、体験ツアーはみっちり90分。施設のある町の案内、味噌作り、どぶろくの試飲などなど、盛りだくさんの内容です。今回は味噌作りにフォーカスした前編をお届け。

ハッピー太郎さん
ハッピーが溢れるハッピー太郎さん。
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シンプルな10日熟成の白味噌

味噌作りの前に案内されたのは、醸造室。『ハッピー太郎醸造所』さんはどぶろくも造っている発酵のプロフェッショナルなのです。
「さて、これは何のどぶろくを醸造しているでしょうか?」と、仕込み中の発酵タンクの中を覗けば一面桃色。まさかいちご…じゃないよな。いや正解! 色んな風味が楽しい試飲タイムが楽しみ♪

どぶろくタンク
きれいなピンクのどぶろく!
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甘い香りに包まれた麹室では、ほわわと菌をまとった米糀がスタンバイ。
地元産のお米「滋賀旭」他に麹菌を撒いて発酵を促したもので、続いては地下水の試飲。仕込みに使用しているのは、霊山・伊吹山の硬度150mg/Lの伏流水とのこと。しっかり骨格がありながらもまろやかで澄んだ味わい。
さらに、長崎・上五島で造られている薪釜塩、滋賀県湖北の米農家『シバタグランドミュージック』の無農薬大豆「フクユタカ」。

味噌の材料
上/湿度の高い麹室。左下/『シバタグランドミュージック』の無農薬大豆「フクユタカ」。右下/霊山・伊吹山の伏流水を試飲。
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麹菌
麹と麹菌を見せてもらった。いくつかある麹菌のなかに、緑色ものが!?「この緑色は、日本の伝統色の一つ『麹塵(きくじん)色』というもの。麹が色の名前になっているんです!元は高貴な方のみが衣に使用できるものであったという説は、麹菌を取り扱いするものにとって、とても重要なこと。ただ流通が優先となり、白色の麹菌が優先されるようになったのですが…」と池島さんが教えてくれた。
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さぁ、役者は揃った。これらを仕込んでいく!


まずは池島さんが作った米糀と塩をボウルで合わせる。そこへ予め柔らかく炊かれてパックに詰められた大豆を手で押しつぶすようにペースト状に。仕込み水と合わせてボウルでこねこねこね。卵サイズに丸めて、空気が入らないようタッパーに詰めていく。最後はカビ予防のために『冨田酒造』の「七本鎗」の酒粕を敷き詰めたら完了。

え…あっさりできちゃった。

ちなみに発酵とカビは別物。容器に詰めたら開閉部に味噌が残っていないか、食品用アルコールで丁寧に拭き取る。ここで池島さんの眼光鋭いチェック入りまーす! 蓋に日付を書いて、このまま10日ほど常温で保存したらよいとのこと。

米麹と塩
米麹と塩を混ぜる。
大豆
柔らかく煮られた大豆を手の平や指でつぶしていく。
麹と大豆
ボウルにつぶした大豆を入れ、仕込み水を加えてさらにこねこね。
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味噌完成
ギュッギュッとタッパーに詰めたら、タッパーに味噌が付いていないか入念にチェック。この日一番の鋭いまなざし。
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ちなみに、お雑煮って地域性が表れますが、白味噌雑煮といえばやっぱり京都。ですが、滋賀県の琵琶湖に浮かぶ沖島にも白味噌文化が根付いているそう。暖かい時季に味噌を仕込み、1週間経ったら食べ始め、なくなったら仕込んで…と、その文化ごと体験できるというわけ。 タイケン最後はお待ちかねのどぶろく試飲。施設の楽しみ方もあわせて後編で!

白味噌文化ごと体験~予約方法~

料金:1名8500円(~6名)(体験料、講習料、材料費、飲食費、おみやげ(作ったお味噌500g)込み)
※開催日の3日前までに要予約
※小学生以下は体験不可
※20歳未満の方はノンアルコールにて対応
※どぶろくを飲まれる方は、お車でのご来店と当日の運転はお控えください(ノンアルコールに変更可能)
※お子様がご参加される場合、同伴者の方も1名様分の料金を申し受けます
支払方法:クレジットカードでの事前決済
※開催72時間前を過ぎてのキャンセルは料金の100%がかかります。
予約はこちらの「Otonami」から。

池島さんの人形
施設内各所に登場する池島さん。
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関西在住のアラフォー編集者・おばやしが人気の体験型施設に潜入! 全力レポする連載「タンケン!タイケン教室」

詳しくはこちら

writer

おばやし零余子

obayashi

兵庫県宝塚市在住の独身アラフォー編集者。酒と酒場好きで、年々大きくなる身体に危機感を覚え山登りに目覚めるが、一向に痩せる気配なし。最後の晩餐は雑煮。