『福寿園CHA遊学パーク』前編/お茶の研究所で手揉み茶入門

国内はもとより、今や海外でもMATCHAは大人気!ということで、お茶の人気のヒミツを〈知る・見る・体験する〉が叶う京都府木津川市にある『福寿園』の「CHA遊学パーク」へ。お茶にまつわる様々なタイケンができるらしい。

関西在住のアラフォー編集者・おばやしが体験型施設に潜入し、 全力レポする連載「タンケン!タイケン教室」。 第11回目はお茶の研究所にて、前編で揉み茶を、後編では石臼ゴロゴロをタイケンしてきました。

お茶に親しむ見学パークへ

創業者・福井伊右衛門の名で知られる寛政2(1790)年創業の茶舗『福寿園』。創業200周年を記念して、1990年にオープンしたのが研究開発施設「福寿園CHA研究センター」。2014年に体験プランを充実し、拡張させたのが、ここ「福寿園CHA遊学パーク」とのこと。
施設では、夏の茶摘み体験が終わったばかりとのことだが、茶摘み以外にも様々なタイケンができるとのウワサ。
早速スクール室のあるノースゾーンへ。

京都府木津川市山城町で創業した『福寿園』。社名の由来は、幸福の「福」と創業家の「福」に、108歳を指す「茶寿」から名付けられたそう。観光茶園は、幹線道路沿いに茶畑が広がる珍しい立地にて。遮るものがなく、とにかく暑い!けど美しい。
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「私どもは、茶を『CHA』と捉え、C=文化(CULTURE)、H=健康(HEALTH)、A=快適(AMENITY)を創り出すティーライフ創造企業を目指しています。都会から離れたこの場所で、じっくりお茶に親しんでもらえたら」と、同施設茶園担当部長の森崎 領さん。

体験プランは、茶摘み体験や茶道マナー体験、お茶の淹れ方など。研究者やプロを目指す方も訪れる機械製茶体験もあるのが珍しい。 まずは基本の宇治茶づくりからタイケンしてみよう。

生の茶葉から宇治茶づくり

えーと、そもそも宇治茶って、どういうお茶なのでしょう?

「宇治茶の産地は昼夜の温度差が大きい山間部に多く、旨みをたっぷり蓄えた茶葉が特徴。手揉みで仕上げる宇治茶製法、加工する茶師のレベルの高さでも知られる日本三大銘茶のひとつです」。

そうそう、いわゆる高級茶葉…!ですよね。

用意されているのは、蒸して冷凍した茶葉を解凍させたもの。おひたしみたい(なんだかオイシソウ…)。
この茶葉は春に摘んだ一番茶。水分を乾燥させて、茶葉を作るというタイケンです。一人一台用意されたホットプレートに茶葉をのせる。

手前がフレッシュな状態の茶葉、奥が体験で使う蒸した茶葉。生の茶葉は、酸化酵素が働くことで置いているだけで発酵が進んでしまうらしい。発酵が進むと紅茶やウーロン茶に。ホットプレートを前に、丁寧に説明してくれる森崎さん。
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「茶葉の表面温度を茶温(ちゃおん)と呼びます。それを人肌ぐらいの温度にじっくりと加熱しつつ、茶葉を“揉み”ます」。

ふむ。ところで…「揉む」というのは?

「揉んで茶葉の表面に傷を付ける。要は成分を浸出しやすくしているんです。まず揉んで、柔らかくしてあげる必要がございます。乾燥させながら揉む、それを実直に、ひたすらやっていただくという…」

職人のすごいところは、同じことを長い時間をかけて手掛け“磨いて”いくこと。知らないことだらけで恐縮&素人の感想だが、お茶づくりって「手間も時間もかかる」ことが身に染みてわかる。

両手で茶葉をこすり合わせるように揉んでいると、お茶の香ばしい香りが立ってきた。アロマ的癒し効果がありそうだし、カテキンで手もキレイになりそう?

(茶葉がセリに見えてきた…セリ鍋オイシイよなぁ…)

15分ほど揉み、保存に適した状態になるまで乾燥は50分ほどかかるそう。その間上階の展示を見せていただくことに。

茶摘み体験の場合は、生の茶葉を「炒る」工程で加熱する。機械化が進む「揉む」作業だが、同じ原料を使っても、揉み方や作り手によって味や仕上がりが変わるらしい。森崎さんは、その重要な工程を研究する「手揉み茶保存会」のメンバーでもある。右下の写真は森崎さん作。乾燥させた茶葉は持ち帰れる。
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気になりすぎる「世界の茶研究室」

2階のプロモーション室では、お茶の歴史や種類、製造工程が分かりやすく解説されている展示のほか、『福寿園』の歴史などが学べる。

各種茶が実際に触れられる展示もあり、馴染みのある茶葉も一層身近に感じられる。茶室の趣を感じさせる豪華な和室は、団体利用で使われることも。
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続く3階は、来たときから気になっていた「世界の茶研究室」。 なんと、イギリス、ロシア、中国、チベット、アラビア…5つのエリアの世界のティータイムをテーブルセッティングして再現している!

チベットのスーチー茶やアラビア茶など、現地で使用される茶器を持ち帰り、展示。当時のパネルも興味深い。
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『福寿園』8代目で会長の福井正憲さんが、世界を巡った際に集めた茶にまつわる品々がスゴイ。パオまである。 あと、時代を感じさせるパネル展示が臨場感と味があって、いい!

ほんとにお茶一筋でやってこられたんだなぁ…と感慨深く外を見やれば、幹線道路沿いに茶畑。

あれがお茶になるのか…。

実は本日、もうひとプラン、タイケンさせてもらったので、後編へ続く(8月19日配信)。

この施設のほか、京都館、宇治館、山城館をつなぐ南北の道を“福寿園宇治茶街道”として発展させたいという。
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少人数からOK! 体験予約方法

体験名:宇治茶作り体験
料金:3850円(持ち帰り茶葉代含む)
定員:~6名(要予約)
体験スケジュール:10:00~16:00(約1時間30分)
予約はこちら

連載「タンケン!タイケン教室」

人気の体験型施設に潜入! 全力レポする連載「タンケン!タイケン教室」

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writer

おばやし零余子

obayashi

兵庫県宝塚市在住の独身アラフォー編集者。酒と酒場好きで、年々大きくなる身体に危機感を覚え山登りに目覚めるが、一向に痩せる気配なし。最後の晩餐は雑煮。