正和堂書店おすすめvol.4:“食べて、飲んで、生きていく。” 「ランチ酒」
大阪市、今福鶴見駅からちょっと歩いたところにある『正和堂書店』は、小西さんご家族が経営する街の本屋さん。実は鞄からチラ見せしたくなるオリジナルブックカバーが大人気の書店さんでもあります。本はココロのごちそうといいますが、ブックカバーに包んで大切に持ち歩きたい、おいしい本を書店員の小西さんにご紹介していただく連載「ブックカバーの下はごちそう」。第四回は、原田ひ香さんの人気グルメ小説シリーズ第一弾「ランチ酒」。
contents
ランチ酒 (祥伝社文庫) /原田ひ香・著
タイトルと装画から、「さぁ飲んで食って、また頑張るかー!」という内容を想像していましたが、良い意味で裏切られた本作。ただのグルメ小説だとは思わないでいただきたい!
「私は食べて、飲んで、生きていく。」という言葉が印象に残ったランチ酒があります。
御茶ノ水の「牛タン定食」のお話。
いつもは入る店をしっかりと吟味する祥子ですが、この日は最初に目に入ったチェーン店の牛タン屋に入ります。そしてメニューで一番目立つ定食を注文すると、何も考えずひたすら好きに食べ、飲む。祥子を打ちのめした、この日あった出来事を乗り越え、生きて行くために。
そうそう、選ぶことすらしんどい時がありますよね。でも、嫌なこと辛いことがあっても、お腹は空きます。何を食べるか選ぶのに気力が出なくても、とにかく何でも良いからウマいものでお腹を満たすことが「生きる」ことなのだなと、深く心に残りました。
食べることが大好きなあなた、ぜひ読んでみてください。「食べること」がより尊くなるはず!
writer
正和堂書店
seiwado book store
大阪・鶴見にある1970年創業の街の本屋さん。3代目の小西康裕さんが「読書時間がより楽しくなるように」とデザインしたオリジナルブックカバーが大人気。2代目の典子さん、3代目の康裕さん・敬子さんご夫妻(と4歳の長女)、康裕さんの弟・悠哉さんなど、一家で奮闘するSNSの総フォロワー数は20万人!
instagram@seiwado.book.store