階段を降りた先は、ご機嫌な夜の終着駅。『バールデルノンノ』

昼飲み全盛の世の中で、深夜まで営業する店は年々減っている。でも、楽しい夜がもっと続いてほしいと願う日も。そんな時に心強いのが、イタリアンバール『バールデルノンノ』。 店は京都・四条烏丸のほど近く。通りから半地下へと階段を降りると、ほの暗い空間に迎えられ、巣箱に帰ってきたような安心感に包まれる。

愛され店主・フェデリコに会いに

「フェデさん」「フェデちゃん」と、お客が店主に呼びかける。本名(中井一宏さん)で呼ぶ人なんて誰もいない。大阪・肥後橋のナポリ料理店『サンタルチア』での勤務時代に授けられたフェデリコという“源氏名”で、今も親しまれているのだ。

京都・四条烏丸『バールデルノンノ』中井一宏さん
フェデリコこと中井一宏さん。
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深夜の背徳。飲ませる重厚パスタ

メニューは、フェデリコ氏が愛する南イタリア料理が中心。オーブンで焼いたとは思えない、もちもちのナポリ風ピッツァも人気だが、おすすめしたいのがゴルゴンゾーラのパスタだ。チーズの風味とコクがガツンときて、「締めのパスタ」で想像するものより重厚な味わいかもしれない。だが、これがまた最高にワインを進ませてくれる。ボリュームもしっかりめながら、ショートパスタ(ペンネ)で伸びにくいこともあり、ゆるゆる飲むのにベストの一品だと思う。
もう少し軽めのアテなら、ぜひカプレーゼを。何気ないメニューのようでいて、水牛のモッツァレラ、アメーラトマトなど豊潤な味わいのフルーツトマト、イタリアのワイナリーが作るオリーブオイルが三位一体となり、酔いが醒める(加速する?)ほど美味なのだ。「トマト切っただけですけど」とフェデさんは笑うが、いい素材をシンプルに仕立てるところに南イタリアらしさが詰まっている。

京都・四条烏丸『バールデルノンノ』ゴルゴンゾーラのパスタ
ゴルゴンゾーラのパスタ1480円。
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京都・四条烏丸『バールデルノンノ』カプレーゼ
カプレーゼ1780円。サルデーニャの名門ワイナリー「アルジオラス」のロゼワインはグラス780円。
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クラシックなイタリアワインの宝庫

シェフでありソムリエでもあるフェデリコ氏。イタリアワインへの情熱はすさまじく、流行りを超えてすっかり普及したナチュラルワイン…ではなく、バランスのいいクラシックなスタイルのワインを基本に揃えている。クラシックといえど、毎年のように現地に足を運んで情報をアップデート。産地や生産者を深掘りしたフェアもたびたび開催される。自分は二人以上で訪れたらボトルを開けることが多いが、グラスワインも豊富。話の流れで「こんなんもありますよ」と新たな一本を開けてくれたり、どこまでも優しい。以前は個室として使っていた奥の空間は、今やまるっとワインのストックルームになっているとか。
午前3時まで営業(ラストオーダーは午前2時)とあって、遅い時間は仕事終わりの飲食関係者が訪れることが多く、「あっ、この間はどうも…!」と会釈を交わすことも。
ワンオペで料理に、ワインのサービスに、時には乾杯の一員に。フェデリコ氏の仕事量は相当なものだが、決して忙しない雰囲気にならず、愛にあふれているなぁと感じ入ってしまう。
ゆるく楽しい時間を過ごすうちに、常連でなくとも帰るころには「フェデさん」と呼びたくなる。だからいつも誰からともなく、「ノンノ行こ!」の声が上がるのだ。

京都・四条烏丸『バールデルノンノ』階段
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特集:20時からの楽しみ

1軒目のあと、もう1軒くらい行きたいなと思う、そんな時間。
仕事帰りに、遅掛けの食事を食べる、そんな時間。
コロナ前ほど遅くまで飲み歩かなくなったけれど、それでも時計が20時なら、家に帰ってしまうのはもったいない。
20時以降の楽しみをお届けします。

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writer

本庄 彩

honjo aya

食と人、旅をテーマに取材執筆を手がける。ワインとビールがあれば幸せで、蒸留酒は永遠にビギナーながら、京丹後の森でつくられるボタニカルジンのきれいな味わいに感激。