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低山の名峰・再度山から“プチ下山”で『紅葉の茶屋』の名物料理に舌鼓/六甲山編その3

「登山の後の一杯は、登頂にも勝る至福の瞬間!むしろそれ目的に山に登る」と語る“酒飲みハイカー”ミツルさんとアラフォーの自称山ガール・おばやしが、初心者向けトレッキングと「下山後すぐに酒が飲める店」を訪ね歩く。
今回は茶屋が点在するルートを辿って再度山へ。その後下山ルート上にある『紅葉の茶屋』に立ち寄り、「六甲山ならではの茶屋文化に触れる」という大義名分を振りかざし、多少趣の異なる下山(途中?)酒に酔う。

悟りを開く?弘法大師ゆかりのトレイル

ミツル
標高470mの再度山は、六甲山系の中でも神戸市中心部から簡単にアクセスできる上、それなりの本格登山が楽しめる名峰です。
おばやし
私も登山を始めて最初に登った山が再度山でした!あのときはマジでキツかった!
ミツル
これまで何度か山歩きを経験したおばやしさんなら、もはやこのコースは朝飯前。今回は元町駅をスタートして再度山山頂を目指します。その後市ヶ原を経由してすき焼きが名物の『紅葉の茶屋』で下山酒を楽しむ約3時間のコースです。真のゴールは『紅葉の茶屋』からさらに約1時間の新神戸駅とします。
おばやし
ン?『紅葉の茶屋』からゴールの新神戸駅まで1時間ということは、下山途中にお酒を飲むということですか?この企画の趣旨に反してません?
ミツル
「茶屋に行かずして六甲山を語るなかれ」という言葉があるように、六甲山には数多くの茶屋が点在する全国的にも稀有な山です。それだけに今回は拡大解釈もやむなしといったところでしょうか。
おばやし
(「茶屋に行かずして」…?そんな言葉あったかな…)仕事がない日は朝から行きつけの茶屋でビールを飲むほど茶屋好きなミツルさんのゴリ押し感、垣間見えちゃってますよ。
再度山ルート
本日のルート。元町駅から諏訪神社内から続く大師道を歩く。途中いくつかある茶屋を横目に、再度谷川の渓流に沿って登る。大龍寺から山頂までは急登の連続。登頂後は六甲全山縦走路を通り『紅葉の茶屋』へ。茶屋からゴールの新神戸駅までは、整備された遊歩道となっているが、お酒を飲んだあとは慎重に歩きたい。
ミツル
細かいことは気にせずに、さあ登っていきますよ!元町駅から15分にある諏訪神社が見えてきました。鳥居から続くいきなりの激坂で心拍数を一気に上げていきます!
諏訪神社
ミツル
実は参道の西隣には傾斜のゆるい車道もあるのですが、境内からのびる登山道のほうが、歴史風情とより豊かな自然を感じることができるのです。今回の登山の安全祈願もできますしね。
諏訪神社安全祈願
おばやし
ひや〜キツイ!いつもながら、ありがた迷惑なコース取りですね・・・。あ、社殿に向かって左手に「大師道」の道標がありました!
ミツル
はい。ここからはなだらかな登山道が続き、しばらくすれば茶屋が次々と現れます。チマキが名物の『稲荷茶屋』、スペアリブが名物の『再度山荘』、そして今年惜しくも閉店した『燈籠茶屋』は、七輪で焼くトーストが名物でした・・・。
おばやし
どんだけ茶屋好きやねん!
再度山
ミツル
茶屋もいいですが、ほら見てください、再度谷川のきれいな流れを。元町駅から歩いて30分程度でこの美しき渓流を愛でられるなんて、素敵でしょ!?かつて弘法大師も歩いたとされる道だけに、大師も同じ風景を見たかもしれませんね。ただし水辺近くを歩くので、季節によってはしっかり虫除け対策しておきましょう。

再び訪れたくなる山頂からの眺望

おばやし
ところでさっきから「十一丁」や「十丁」と数字が彫られた石柱が建っていますが、「一丁」に辿り着けば山頂ということですか?
ミツル
大師道は再度山の麓にある大龍寺への参道でもあります。この石柱は、そこまでの距離の目安を示しているのです。再度山は大龍寺境内からさらに登りますから、一丁に辿り着いたところで、ヌカ喜びしてはいけません。
おばやし
げげげ。あ、八丁だ。うわ〜ここから急な階段じゃないですか!
再度山
八丁からの急な階段。この先、猩々池(しょうじょういけ)を過ぎてからあるカフェ&バー『takibi neko』で一息つくものおすすめ。
ミツル
急登の階段に文句を言うより、急登で高度が稼げることに喜びを感じてください。大龍寺までもうすぐそこですから!
おばやし
はいはいわかりましたよ。あ、立派な山門が見えてきました!ここが大龍寺ですね。また階段やん…しかも結構長い。
ミツル
六甲山の山中に、これほどの規模の寺院があるのも凄いと思いませんか?さすがは弘法大師ゆかりの山。大師が唐へ向かう際に参られ、帰国後再びこの地に訪れたことから、再度山と呼ばれるようになった、とネットにも書いてありますしね。
おばやし
浅い知識が今日も絶好調ですね!
ミツル
再度山一帯には弘法大師ゆかりのミニ四国八十八ヶ所の石仏が山頂まで続きます。しかもつづら折りの急登ですから気を引き締めていきましょう!
おばやし
はあ〜キツイ!以前より体力がついたと思っていたのに、やっぱり最後の急登はつらいです! あ、急に空が開けた。やった〜登頂成功!
ミツル
どうです?この眺め。ここまでほとんど眺望が開けないルートでしたが、最後にはちゃんとご褒美があるのです。神戸の町並みが間近に迫って、梅田のビル群もはっきりと見えます。広々とした山頂ではないけど、一息つくには最適な場所ですよね。
再度山山頂

グルメも唸るすき焼きが名物の『紅葉の茶屋』

ミツル
下山はさきほどの山頂直下の急斜面を慎重に下ります。その後は舗装道が続き、これが意外としんどい。それでも下山後の一杯を頭にイメージすれば、苦にならないはずです。さあ市ヶ原を越えて再び舗装道にでれば、目的地はすぐそこです。
紅葉の茶屋
紅葉の茶屋
おばやし
下山開始から約1時間で、ようやく市ヶ原。あ、店頭にかわいいクマのぬいぐるみが。でかっ!
紅葉の茶屋のぬいぐるみ
以前同店で飼っていた犬のクロちゃん亡き今、マスコットキャラクターとしてハイカーを迎えるクマのぬいぐるみ「はるたろう」
ミツル
市ケ原から新神戸にかけても、いくつかの茶屋があります。湯豆腐が名物の『おんたき茶屋』は有名ですね。一方で『紅葉の茶屋』は、新神戸から徒歩一時間程度もかかるので、それなりに体力が必要。しかも飲んだあとのことを考えると、ハードルがぐっと高くなる。そこがむしろここの価値を高めていると言ってもいい。(タクシーでの来店や帰宅も可能)
おばやし
茶屋好きは分かったから、早く乾杯しましょうよ!
ミツル

ではいつものようにビールを大瓶(700円)で行きますか。こちらもキリンとアサヒの2種類からチョイスできる。アテはおでん(130円)などもあるが、ここでは潔く名物のすき焼き(一人前3900円)一択で攻めるのが、粋というもの。


しかも店主の土居悦子さんが直々に客席で調理してくれるから、味付けの心配も無用です。ただし忙しい時や団体は、各テーブルに置かれた「調理の仕方」を読んで各自調理してほしい。

紅葉の茶屋のすき焼き
まずは牛肉とネギを割り下で炒めて、そのまま味わう。牛肉は神戸牛と同等の味と質を誇る三田牛、ネギは九条ネギ。しかもネギ農家に嫁いだ悦子さんの娘さんから仕入れる。
おばやし
プハー!やっぱり山に登ったあとのビールは最高ですね!新神戸までの帰り道は今は考えないことにします。あ!すき焼きもいい具合に焼けてきましたよ。う〜ん、ネギの香ばしさと、割下が絡んだ牛肉の甘い香りがたまりませんね!
紅葉の茶屋のすき焼き
ミツル

一通り食べたら玉ネギやハクサイなどの野菜と残りの肉を放り込んで、締めのうどんも追加してと・・・。野菜たっぷり、神戸牛と変わらぬ味とこのボリュームで3900円は安いものです。


この歳になるとビールはすぐにお腹が膨れるので、菊正宗樽酒(450円)に切り替えますか。杉樽の爽やかな香りとキレの良い辛口が、またすき焼きに合うのなんの。う〜ん、たまらんのう。


おっと、時計を見ればもう15時半ですか。この時間なら三宮・東門街にある「バー・ルバトー」が営業しているな。山仲間のバーテンダー小野玲香さんと山談義に花咲かすとしますかね。

おばやし
(そっちが真の下山後酒場なんじゃ…という心の声が出ないように)う~ん、まだ飲みたいけど…暗くなると怖いし、私も切り上げてほろ酔いのオジサンハイカーを介抱しながら下ることにしますよ。ごちそうさまでした~。

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藤川満

藤川満

神戸在住のフリーライター。全国各地の低山と酒場をフィールドに飛び回る。日本酒をこよなく愛し「日本酒では全く酔わない」が口癖。

おばやし

おばやし

兵庫県宝塚市在住の独身アラフォー編集者。酒と酒場好きで、年々大きくなる身体に危機感を覚え山登りに目覚めるが、一向に痩せる気配なし。最後の晩餐は雑煮。

脱力系山歩き酒飲み連載「下山go酒場」

ベテラン酒飲みハイカー・ミツルと、初心者ハイカー・おばやしが下山後の至福の一杯を求めてトレッキング。

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