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孤高の低山・甲山で激ゆるハイク後、『Flowers』でカロリー過剰摂取/六甲山編その5

「登山の後の一杯は、登頂にも勝る至福の瞬間!むしろそれ目的に山に登る」と語る“酒飲みハイカー”ミツルさんとアラフォーの自称山ガール・おばやしが、初心者向けトレッキングと「下山後すぐに酒が飲める店」を訪ね歩く。今回ついに六甲山最高峰(913m)を目指す…予定だったが、不運が重なり目的地を急遽変更。西宮にある甲山(かぶとやま)を目指すことに。山よりも酒場の営業日に軸足を置く二人の行く末はいかに?

西宮市民に親しまれる憩いの山

ミツル
いや〜まいったまいった。せっかく今日は六甲山最高峰から有馬温泉に降りて一杯やろうと思っていたのに〜。どこもかしこも水曜休み! 有馬温泉の飲食店経営者は、平日の昼間っから酒を飲む人の気持ちにもっと寄り添うべきだよ。
おばやし
そりゃ無理でしょ! 温泉街だから平日より週末の営業に力を入れるのは当たり前。直前まで下調べをしなかったミツルさんが悪い。
ミツル
そう言われると返す言葉がない…。今回は目的地を変更して、西宮にある甲山を目指します。標高309mならサクッと行って帰ってこられるしね。
甲山の中腹は公園になっていて、実のところ小さい子どもでもピクニック気分で登れるほどの低山。つまり最高峰を前に、もう一度原点に立ち返る。そして初心忘れるべからず、ということをおばやしさんに改めて伝えたいのです。
おばやし
(なんだろう、全然心に入ってこないな…)
下山go酒場
今回のルート。阪急仁川駅をスタートし、仁川沿いを遡る。麓にある地「仁川百合野町地区すべり資料館」を経由し、甲山森林公園を散策しつつゆるゆる登山。「甲山自然の家」から山頂を攻略し、下山は神呪寺(かんのうじ)方面へ。下山口最寄り駅・阪急甲陽園駅を横目に通り過ぎ、苦楽園口駅まで歩く合計約3時間30分のコース。低い標高と下山後に待つ好物のジャンクフードで気分も上がるおばやしであった。
ミツル
さあ!今回甲山の下山後に向かうのは阪急苦楽園口駅前の『Flowers 』です!ジャンクフードが大好きなおばやしさんにはもったいないほどの美味なるハンバーガーの店。昼酒もできる穴場酒場なんですよ〜。
おばやし
仁川の河原は気持ちいい散歩コースですね〜って。げげ、堰堤で道がなくなった…どっこらしょいっと。早速靴が濡れた!! ちょっとどういうこと!?
ミツル
河原をずっと歩ける気がしたもんで・・・。弘法も筆の誤りですナァ。みなさんはちゃんと川沿いの道路を歩かれたし。本来なら仁川駅から歩いて30分ほどで地すべり資料館に到着するはず。
仁川百合野橋と仁川百合野町地区地すべり資料館
渓谷のような流れとなった仁川にかかる仁川百合野橋。この先に地すべり資料館がある。同館が建つのは30年前の阪神淡路大震災によって引き起こされた地すべりの現場。時間がある方はぜひ立ち寄って、被害を振り返り、備えることの大切さを学んでいただきたい。
おばやし
あれから30年ですか。うら若き乙女だった私も今や酒飲みのオッサンと山仕事かぁ・・・。
ミツル
甲山森林公園の中に入れば、ようやく自然の中に入ってきた感じがしますね。歩きやすい園路のほかに「軽登山道」も張り巡らされて、初心者の散策にはぴったりですよ。

低山ながら豊かな自然と自慢の眺望

おばやし
園路の先が明るく開けてきました。あそこが展望台みたい・・・。うわあああ! ほとんど登ってないのに、梅田の高層ビル群から大阪の街並み全体が間近に迫る圧巻の眺め!
甲山森林公園
ゆるーく散策するなら園路、少しワイルド感を求めるなら軽登山道を適宜チョイスできるのが甲山森林公園の魅力。
ミツル
甲山は六甲山系でありながら、大阪にせり出すようにそびえる独立峰。六甲山とは成り立ちが異なるために、独特のおにぎり型をした山容となっているのです。
おばやし
案内板に書かれた説明文の受け売りも板についてきましたね!
ミツル
ではこれから再び園内を散策後、「甲山自然の家」を経由して、一気に山頂を目指しますよ!
甲山森林公園
園内のレストハウスからはシンボルゾーンの先にそびえる甲山の山容がよく見える。
おばやし
園内は子ども連れのファミリーも多くて、ここが市民に親しまれていることがよく分かりますね。私も昔遠足で来た記憶があります。
ミツル
トイレの脇から繋がる軽登山道を進んだ先の「甲山自然の家」では自然の基礎知識を学ぶことができるので、時間があれば立ち寄りたいですね。この裏手には、都市近郊には珍しい甲山湿原もありますよ。
甲山湿原
「甲山自然の家」に繋がる脇道を進めば甲山湿原と市街地がセットになった風景を望める。甲山湿原ではおよそ20種類の植物が観察できる。
ミツル
「甲山自然の家」からが本格的な登山道になります、と言っても急登を20分ほど辛抱すれば登頂できます!
おばやし
え。たった20分。ヤターーーー!とはいうものの、ロープ場があったり、急な階段があったりと、まぁまぁシンドイっす。
ミツル
低山といえども山は山。舐めてはダメですよ! さあ、あとちょっと!
おばやし
フゥ・・・。え? あ、ココが? 山頂…? 眺めはさほど良くないですけど、開放感あふれる気持ちの良い広場になっていますね。達成感は十分です!
甲山

ハイソな街の隠れ昼酒スポット『Flowers』

ミツル
さあ、下山は神呪寺を経由して、あとはのんびり市街地を苦楽園口まで歩いて行きましょう。途中、大正時代創業の桜茶屋や江戸時代に開かれたミニ四国八十八ヶ所巡りに立ち寄るのもいいでしょう。
おばやし
しっかし麓には高級住宅地ぽい立派な邸宅が立ち並んでますね〜。こんなおハイソな街に、昼間っから飲めるお店なんてあるんだろうか?
ミツル
甲山最寄りの阪急甲陽園口駅周辺には、下山後すぐに飲めるお店はなさそうなので、ひと駅隣の苦楽園口駅前に向かいます。そこにあるハンバーガー&グリル『Flowers』は、開店の11時から17時まで「ハッピーアワー」でお得に昼酒ができるのですよ!
Flowers
ビルの一階部分が『Flowers』。左右異なるお店に見えるが、どちらからも入店でき、中でつながっている。左はカウンター4席のみで、右はカウンターとテーブル席がある。喫煙はテラス席のみ可能。
おばやし
ハッピーアワー・・・。なんて甘美な響きなのかしら。サッポロの黒ラベル中ジョッキが600円のところ450円!ほかにもグラスワインもデュワーズのハイボール(樽生)も100円引きの450円!わ〜い、17時まで徹底的に飲むぞ〜。あら♥しかもホールのおにいさんがイケメン! これはお酒が進みますわ〜。とりあえず生ビールと自家製ピクルス(450円)、フライドカラマリ(イカの唐揚げ800円)お願いします!
Flowers
セロリ、ニンジン、パプリカなど歯ごたえと程よい酸味が心地よい自家製ピクルス。添えられた岩塩とオリーブオイルで味変を楽しむもち豚のソテー(650円)はジューシーな味わい。 フライドカラマリはフライドチキンにも使用されている特製唐揚げ粉でイカを包んで揚げている。スパイシーでカリカリの衣が揚げ物好きのおばやしのお気に入り。
ミツル

落ち着きたまえ。おにいさんはオーナー山本勝浩さんの息子・柱充(よしみつ)さん。お店を手伝いながら自らアパレルブランド"GOATABLE" (ゴータブル)を立ち上げるなど、なかなかのやり手じゃよ。

この店はアメリカでの生活経験がある勝浩さんが、現地の雰囲気を感じてもらいたいとの思いを込めて1998年にオープン。名物のハンバーガーはもちろん、黒毛和牛のステーキからアテになる一品料理、デザートまで揃え、幅広いニーズに対応。

しかもこのハイソな街で数少ない昼酒スポットとして、卑しい酒飲みにも密かな人気を集めているのです。

おばやし
イカの唐揚げ、うんまっ! 揚げ物最高! あ、私の飲みっぷりの良さを見て、イケメン柱充さんが別のメニュー表を持ってきてくれましたよ。なになに? 「ちょこっと! おつまみ! 」ですと? 冷やっこ、厚あげ、ポテトサラダ・・・!? あぁ、酒飲みの心をくすぐるナイスなメニュー。まさかここで豆腐やポテサラがアテにできるなんて、素敵すぎ!じゃあ、厚あげ(和・醤油400円)とケサディア(400円)をお願いします!
Flowersメニュー
厚揚げは醤油味の「和」とサルサソースで味わう「洋」(450円)の2種類からチョイスできる。 ケサディアはトルティーヤの生地でチーズや唐辛子を挟んで焼いたメキシカンなサンド。 シーザーサラダ(650円〜)はトッピングにより、プレーン、ベーコン、エビとアボガドの3種類からチョイス可能。ほかにもグリーンサラダや生ハムサラダもある。
おばやし
う~ん! ビールが進みますねえ。うん? 野菜も食えって? どうぞどうぞ、私はこれから大好きなハンバーバーガーをいただきます。すいません!アボガドバーガー(S1000円)とビールもう一杯。
ミツル
すごい食欲なのね・・・。ではせっかくなので私もチーズサルサアボガドバーガー(S1250円)を!そしてドリンクはハッピーアワーのグラスワインの白を!
ハンバーガー
手前がチーズサルサアボガドバーガーSサイズ。Sはパティが80g、Rは120gで1350円。そのままライムを絞り、串を抜いて自らバンズで挟み味う。目玉焼き(100円)、カレー(200円)など10種類以上のトッピングも楽しめる。
おばやし

Sサイズとはいえ、このボリューム。パティは和牛も加えた100%赤身肉。つなぎに卵だけを使用し、肉肉しさを満喫できますね。濃厚なアボガドもいい味出しています。


ふぅ〜お腹いっぱい。今日は(も?)消費以上にカロリーを摂取しちゃいました。ん? まだ飲むんですか? ハッピーアワーは終わりですよ~!
最高峰を前に、また増量しちゃった…。

profile

藤川満

藤川 満

神戸在住のフリーライター。全国各地の低山と酒場をフィールドに飛び回る。日本酒をこよなく愛し「日本酒では全く酔わない」が口癖。

おばやし零余子

おばやし零余子

兵庫県宝塚市在住の独身アラフォー編集者。酒と酒場好きで、年々大きくなる身体に危機感を覚え山登りに目覚めるが、一向に痩せる気配なし。最後の晩餐は雑煮。

脱力系山歩き酒飲み連載「下山go酒場」

ベテラン酒飲みハイカー・ミツルと、初心者ハイカー・おばやしが下山後の至福の一杯を求めてトレッキング。

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