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小さな一歩から広がる、やさしい世界「木曜日にはココアを」/正和堂書店のおすすめ

大阪市、今福鶴見駅からちょっと歩いたところにある『正和堂書店』は、小西さんご家族が経営する街の本屋さん。実は鞄からチラ見せしたくなるオリジナルブックカバーが大人気の書店さんでもあります。
本はココロのごちそうといいますが、ブックカバーに包んで大切に持ち歩きたい、おいしい本を書店員の小西さんにご紹介していただく連載「ブックカバーの下はごちそう」。

第16回目は、青山美智子さんの「木曜日にはココアを」をご紹介します。
どうか、こんな優しい世界であってほしい。そんな温かな気持ちが胸に残る物語。

木曜日にはココアを (宝島社文庫)青山美智子・著

木曜日にはココアを
川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。そのカフェで出された一杯のココアから始まる、東京とシドニーをつなぐ12の物語。
脇役だった登場人物が、次の物語では主人公になる。そんなふうに視点を変えながら、少しずつ広がっていく世界。卵焼きを作ること、ココアを頼むこと、ネイルを落とし忘れること…強い伏線というほどではない、ささやかな出来事や縁が、登場人物たちの人生をやさしく彩り、誰かを救っていく。
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「そうしたいと思いながらなかなか実現しないことがたくさんあります。 ちょっと踏み出すだけでかなうかもしれないのに」

「マーブル・カフェ」には、毎週木曜日に決まって同じ席に座り、手紙を書く女性が訪れます。注文するのは、いつもココア。
店主は彼女を密かに「ココアさん」と呼んでいます。ある木曜日、いつものようにやってきた彼女は、どこか様子が違っていて…。
そのココアさんが、勇気を出して一歩踏み出すと決めた時の心情が、冒頭の言葉に込められています。自分でやると決意したからこそ、自信を得ることができたのであろうココアさんの姿は、とても清々しく感じられました。

この言葉から、以前「人生のやりたいことリスト100」を作っていたことを思い出しました。コロナ禍で外出自粛が続いていた頃に張り切って書いたものです。 (なのに、すっかり忘れているという始末!)

2年ぶりに見返したリストは、既に達成できていたものも、未だ叶えられていないものもたくさん。
なかには、「ご飯じゃなくてナンでカレーを食べたい」なんて一文も(笑)。
元職場の近くにあったナンのおいしいカレー屋に通っていたのですが、離職と共にナンを食べる機会からも遠のいてしまいました。
やりたいことというのは、案外変わらないものなのですね。 「ナンでカレーを食べたい」なんて、明日にだってできそうなものなのに、後回しにして未だに実現できていません。

ココアさんを通して、ほんの少し勇気が、不思議な縁となり、世界が優しく広がっていく様子はとても心地よく思えました。
ナンでカレーを食べるという小さな事でも、実現したら、私には十分な達成感や自信が得られるでしょう。そんなちょっと意外なところからでも、未来が少し良くなるような予感がします。

よし、2026年はこのリストにあることを実行してみよう。

ふと気づけば今日は木曜日。
これはもう、ココアを淹れるしかありません!
最近ココアにハマっている娘の分も一緒に。

寒い冬の日、ほっこりとした優しさに包まれたいときに、ぜひ手に取ってほしい一冊です。

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正和堂書店

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大阪・鶴見にある1970年創業の街の本屋さん。3代目の小西康裕さんが「読書時間がより楽しくなるように」とデザインしたオリジナルブックカバーが大人気。2代目の典子さん、3代目の康裕さん・敬子さんご夫妻(と4歳の長女)、康裕さんの弟・悠哉さんなど、一家で奮闘するSNSの総フォロワー数は20万人!
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