
長塚健斗さん【後編】「音楽も店も、100年続くような普遍的な存在に憧れます」
前編ではニューアルバム「Shades of」や、2024年12月22日(日)に大阪『Yogibo META VALLEY』で開催予定のライブへの思いを語っていただきました。
後編では、実はフレンチの料理人という顔も持つ長塚さんに、シェフ時代の思い出や食に対する考えをお聞きします。インタビュー前、「音楽より料理の話の方がしゃべりますよ(笑)」と話していた長塚さん。予告通り、スタッフ一同、まるでオーナーシェフと話しているような気分に…。
contents
かつては料理長とバンドを両立
――料理人としてのキャリアは、WONKのデビュー以前に積んだのですか?
- 長塚さん(以下、長塚):
- いえ、2017年頃まではバンドと料理人を両立してました。大学時代は「将来、星を取るために本気で勉強したい」って申し入れて、学生アルバイトを募集していないフレンチ&イタリアンのレストランで働いてたんです。大学卒業直前に「ビストロを立ち上げるんだけど来てくれないか」と言われて、その店の料理長になりました。
――WONKの活動と並行して料理長?! そんなことが可能なんでしょうか…。
- 長塚:
- もうギリギリでした。食材をちゃんと見たくて、仕込みから携わってましたから。平日はレストランで働いて、週末は音楽をやる、みたいなライフスタイルで。店の立ち上げの時は1ヶ月で8kgぐらい痩せたし、ストレスで急性胃腸炎にもなって。その経験のおかげで、並の修羅場では動じなくなりましたね(笑)。
実は定食屋が大好き
――タフすぎます! 料理人っぽい質問ですが、調理が好きな食材は何ですか?
- 長塚:
- 肉だったら圧倒的にジビエが好きです。地元(東京都西多摩エリア)にハンターの仲間がいて、そこのものを使わせてもらったり。最近は東京でも熊が出るし、猪も鹿も届きます。フレンチでは、ちゃんとジビエを扱えてようやく一人前というところがありますから。
――やっぱりフレンチへの思いが強いんですね。
- 長塚:
-
うーん、定食も大好きですよ。メニューでいうと焼き魚定食がすごい好きですね。東京の巣鴨に『巣鴨ときわ食堂』っていう3店舗ぐらい展開してる定食屋があるんですが、どこの店舗もいつも満席で、素晴らしくて。食材の生産者を開示してるし、食の安全を大切にしてて、「毎日通っても大丈夫だな」っていう安心感があります。
定食屋って経済の浮き沈み関係なく、人の生活に寄り添ってる。いずれチェーン展開の店をやるとしたら、定食屋とか蕎麦屋がいいですね。50年、100年後もあり続けられるお店がいいなと。音楽でもそうですけど、ポップスといえばマイケル・ジャクソン、ジャズといえばマイルス・デイヴィスみたいな、普遍的な存在に憧れます。
――長塚さんの手がける定食屋、興味あります! 何でもない日のおうちごはんはどんな感じですか?
- 長塚:
-
今はトレーニングをしてることもあって、低脂質高蛋白メシ的な定食をベースにしてます。
ご飯は一度に5合ぐらい炊いて、200gのポーションで冷凍しておく。メインは鶏胸肉なんですが、茹でただけじゃ食べる気がしなくて。4kgとか6kgとか仕入れて、皮と脂肪を取って全部ミンチにして、玉ねぎも入れて塩コショウだけで味付けしたハンバーグのタネみたいなのを作るんです。
それをまた200gずつ小分けして冷凍ストックして。食べるときは鶏団子スープにしたり、チャーハンの具にしたり、ハンバーグにしたりします。ほうれん草も、茹でておけば塩とオリーブオイルでも、白和えでも…。
――アイデアが無限に! 自分で何でも作れるのは理想的ですね。
- 長塚:
-
いやあ、僕のために料理を作るっていうハードルを越えてきてくれた人にはキュンとしちゃいます。
胃袋を掴まれやすいので(笑)。
profile

ミュージシャン
長塚健斗
2013年に結成したエクスペリメンタル・ソウルバンド、WONKのボーカリスト。2016年に1stアルバム「Sphere」を発表しデビュー。以降、ジャンルの垣根を超えたアーティストとのコラボや、音楽フェス出演、ドラマ主題歌の担当などを通して、多彩な音楽性を発揮している。個人ではビストロで料理長を務めた経験を活かし、食にまつわる活動も積極的に行っている。2024年11月13日にニューアルバム「Shades of」をリリース。12月22日大阪「Yogibo META VALLEY」を皮切りに全国7カ所を巡るWONK “Shades of” Tour開催。
recommend