amakara.jp調査隊が行くvol.3:お菓子缶ブームの火付け役!? 東大阪の町工場に潜入取材!

「amakara.jp調査隊が行く」では、巷で話題のお店や新商品、暮らしのなかで見つけた気になるアレやコレを調査してご紹介します。「いまさら聞けない」や「詳しく知りたい」など、皆さんからの情報やご依頼もお待ちしています!

可愛い缶を作るのは老舗企業!?

こんにちは。胃腸は弱めだけど、おいしいものには貪欲なライター・阿部雅美です。先日、こんなにも可愛い、乙女心をくすぐるお菓子缶を発見。キラキラと輝く本物のようなブローチがあしらわれた缶は、お家に置いておくだけでテンションが上がりそう!

『お菓子のミカタ』ビジュー缶
プレゼントとしても喜ばれること間違いなしのビジュー缶。
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調べてみると、どうやら昭和23年創業の大阪製罐(せいかん)株式会社さんが作っているとのこと。このお菓子缶はどこでどんな風に作られているのか探るために、実際に会社を訪問させていただきました。

『お菓子のミカタ』展示
社内を案内されながら進んでいくと、さっそく可愛いお菓子缶が展示されていました。
『お菓子のミカタ』展示2
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会社の転機がきっかけ

まずは、ほかでは見ないような可愛いお菓子缶を作り始めたきっかけについて清水社長と専務の石橋さんに伺いました。

「もともとスチールキャビネットやお菓子缶製作を行っていましたが、小ロットでのお菓子缶の製作にはコストがかかるため、神戸の大手メーカーからの依頼がメインでした。需要も減っていく中、少量からオーダーしたいという街の小さなお菓子屋さんの声に応える形で立ち上げたのが『お菓子のミカタ』です。

受注型ではなく自社デザインの缶なので、他のお菓子屋さんと缶が被ることもありますが、在庫は当社持ちという形に。最初は全国約4500のお菓子屋さんにDMを送ったり、他社の協力を得ながら、徐々に拡大していきました」。

『お菓子のミカタ』カメオ缶、エンジェル缶、ショコラ缶
最初は、こちらの3種の缶からスタート。
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社長のひらめきが缶に!?

それにしても、女子のツボを突く可愛いデザインはどのようにしてできるのでしょうか……?
「まず、宝石とか刺繍とか、缶ではない素材を缶で表現したいという気持ちがあり、そこからひらめいたアイデアをもとに、企画チームや製造チームと作り上げていきます」と清水社長。

これに対して企画担当の此平(このひら)さんは、「社長から、ホントにひと言だけ降りてくるんです(笑)。例えば、この時は刺繍。

『お菓子のミカタ』刺しゅう缶、ロック缶
手前が、ローズマリーのハートのリースと鳩の刺繍デザインが可愛らしい「刺しゅう缶」。左は「ロック缶」で、シルバーのスタッズを凹凸加工で表現しています。
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外部のデザイナーさんに相談をしたら、実際に刺繍を作ってくれて。それをスキャナーで取り込み、イラストにして、という工程を何度か経て、作り上げました」。

まるで実際に糸が編み込まれたかのようなデザインは、本物の刺繍をもとにしたからなのか……と、企画チームの飽くなき追求心に感服しっぱなし。

缶作りの工場に潜入!

缶の企画工程(企画〜デザイン)が終わったら、次は製造工程(試作〜製造)に移ります。そのため、ここからは製造チームにバトンタッチ。「今年で勤務歴50年です」という“缶の大ベテラン”である専務の石橋さんに実際に工場内を案内いただきながら、製造工程を見学しました!

「まずは、企画チームが制作したデザインをもとに金型を作ります。ただ、缶の素材であるブリキは厚さ0.2mmなので、『お菓子のミカタ』のような緻密な凸凹加工をすると、破れてしまうことがほとんど。なので、ブリキが破れなくなるまで、金型を手作業で少しずつ調整していきます」。

『お菓子のミカタ』ブリキの板
成形する前のブリキの板を横から見ると、思った以上に薄い……!
『お菓子のミカタ』缶の蓋の金型
缶の蓋の金型。この金型にブリキの板を押し付けて、凹凸加工を施します。
『お菓子のミカタ』缶の蓋
左が成形前で、右が成形後の缶の蓋。
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『お菓子のミカタ』職人さん
金型の調整を行う職人さん。機械が中心の缶作りですが、欠かすことができない手作業の工程。専門的な技術が必要で、できる方も限られているそうです。
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「印刷工程も、驚くほど手間暇がかかります。紙であればインクを紙が吸収してくれますが、ブリキはインクを吸収しないので、熱を加えて焼き付ける工程が必要になるからです」。

なんと焼き付けには、1色ごとに約30分もかかるとか! なかには、10色使っているデザインもあるそうで、単純計算しても、印刷だけで300分かかります。印刷も最初から思った通りの色に仕上がることは少なく、何度も調整を繰り返して仕上げていくとのこと。こうして一つひとつの工程を丁寧に行うため、発案から缶が出来上がるまで、長いものだと1年かかることもあるそうです。

「社長にはもうひらめかんといてほしいわ(笑)」と冗談混じりに言いつつ、「50年以上働いていても、まだ新しいことができるのは楽しい」と石橋さん。あのような緻密で可愛いデザインの缶は、モノづくりにかける熱意と、長年の歴史のなかで培った技術力の賜物だったのですね。

お菓子と出合うきっかけに

2014年にスタートした『お菓子のミカタ』。年に2〜3種新作を出し、今ではラインナップが20種を超えようとしています。コストも労力もかかりますが、それでも新作は出し続ける、と清水社長。

「新作を楽しみに待っておられるお菓子屋さんも多くて。『この缶にどんなお菓子を入れようか』と考えるお菓子屋さんの顔を思い浮かべ、私たちもワクワクしながら次のお菓子缶に取り組んでいます。ただあくまでも、主役はお菓子。僕らの缶は、お菓子屋さんとお客様の接点づくりとして貢献できればと思っています」。

お取引先のお菓子屋さんは最初は数軒だったものの、現在は全国1000軒以上に。もしかしたら、次にあなたが手に取るお菓子缶、その可愛さに思わず心を奪われる缶が、『お菓子のミカタ』のものかもしれません!

お菓子のミカタの缶が買える全国のお菓子屋さんMAPもあるので、気になる缶を見つけた方はぜひお店に足を運んでみてください。

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【ブランド名】お菓子のミカタ
【公式サイト】https://www.okashinomikata.com/
【Instagram】https://www.instagram.com/okashinomikata/
【X】https://twitter.com/shimizuman15
【Facebook】https://www.facebook.com/okashinomikata2014/