
食卓も人生も彩るテーブルコーディネート/黒沢祐子【食べる角には福来たる】
だからこそ、本当は一番大切にしたいはずの自分の心を置き去りにしがちです。自然体で丁寧な生き方にファンの多い、ウエディング・ライフスタイルプロデューサーの黒沢祐子さんに、「食」を軸に自分を喜ばせるためのヒントを教えていただく連載「食べる角には福来たる」。
前回のおもてなしの話から、第3回の今回はより実践的な「テーブルコーディネート」についてご紹介します。食卓の雰囲気がガラリと変わる、明日から試したいちょっとした工夫。次の休日、さっそく仲間を家に招きたくなるかも。
幸福度が上がる、暮らしの楽しみ
これまでにもお話してきましたが、私は、一人の食事や夫と2人の食事でもテーブルをコーディネートしています。私の場合はもはや趣味みたいなものではありますが、気に入った器をひとつずつ集めながら食卓を彩ることは、暮らしを楽しむことや自愛にもつながっていると思います。
「なんか今日のテーブル、ステキじゃん」。
そう自分が感じられるだけで、人生の幸福度が上がります。その瞬間だけじゃなく、これから先の毎日も心地よくしてくれるんです。
印象を変える一番の近道は、テーブルクロス
とはいえ、いきなり全部を頑張ろうと思うとなかなか難しいですよね。
コーディネートの最初のステップは、テーブルとお部屋の雰囲気に合わせたクロス選び。クロスは敷かなくてももちろんOKですが、広い範囲を覆うため、一気にイメージを変えてくれる便利なアイテムです。
世界観を大きく変えたいなら、色はできればテーブルと反対色を選ぶのがおすすめ。
例えばテーブルがブラウンなら、クロスは柔らかなホワイトにするというように。食事をしているともちろん汚れてしまうので、高級なものよりガンガン洗って風合いを楽しめるものがいいんじゃないかなと思います。
実はテーブルコーディネートって、お洋服を選ぶ感覚と似ています。
日中の明るい時間帯なら白のクロスにライトグリーンのランチョンマットで爽やかに、夜はブラウンでシックな雰囲気に。こんなふうに時間帯に合わせて色を重ねて変化をつけるのも楽しいですよ。
ワントーンでまとめてもいいし、差し色を効かせてもステキに仕上がります。
バラバラの器、統一感を出すには?
持っている器のテイストがバラバラで、どう組み合わせたらいいかわからないという方も多いかもしれませんね。これもお洋服と同じように、白・黒・グレーなどのベーシックカラー同士は基本的に好相性。ここからスタートすると、初心者の方でも失敗しづらく統一感が出せると思います。
「白にグリーンが映えるかな?」「トマトソースは黒に合うかな?」と、持っている器と作りたい料理の色からイメージを膨らませてみるのもいいですね。
私も、使ってみたいお皿を実際にテーブルに並べて、お皿同士を組み合わせながらバランスを確かめています。
高さを付けるだけでおしゃれ上級者に
背の高いお皿って収納もしづらいし、扱いが難しい。ついつい避けがちですが、テーブル上に高低差があるとグンとおしゃれになるんです。
例えば、少し高さのあるスクエアのお皿にボウルを重ねてみたり、木のプレートにおつまみを並べてみたり。高さが出るだけでバリエーションが広がります。ぜひチャレンジしてみてください。
色・柄はポイントで取り入れよう
青は食卓には不向きと思われがちですが、私はとても好きな色。我が家の食卓にはよく登場します。コツとしては、真っ青な器にはエビチリやアクアパッツァなどインパクトのあるお料理を合わせてみること。これが想像以上に美しく映えて、印象的なアクセントになります。ビビットな色の皿も、同じように差し色として取り入れれば、予想以上にいい仕事をしてくれるでしょう。
主張のある柄の大きなお皿にはカトラリーをまとめると、ごちゃつきを回避できます。ちょっと使いづらいなと思う器であってもアイデア次第でさまざまな使い道がありますよ。
また、お花で色を差して遊ぶのも好きです。ボリュームがあると食事の邪魔になることがあるので、さりげない一輪挿しぐらいがちょうどいい。花器がなくても、グラスや空いたワインボトルにそっと生けるだけでかわいいんです。背が高いものから小さいものまで、ムードを高めたいときはキャンドルもぜひ。
思い出も食卓に。コーディネートの楽しみ方は無限
旅先の海辺で拾った石や珊瑚を箸置きにしたり、現地の作家さんの器を買ったりすることもしばしば。食べ物をお土産に買うのもいいですが、こんなふうに旅先の思い出でテーブルを飾れば、食卓の会話も明るくなります。
ただ、たとえば5人家族だからといって同じものを5枚揃えて買う必要はないと思うんです。1〜2枚持ち帰って、手持ちのものとうまくミックスすると食卓の表情が豊かになりますよ。
些細な工夫でも、気持ちが上がります。これまでテーブルコーディネートに興味がなかったという方もぜひ、試してみていただけると嬉しいです。

食べる門には福来たる
ウエディング・ライフスタイルプロデューサーの黒沢祐子さんに、「食」を軸に自分を喜ばせるためのヒントを教えていただきます。自分も、大切な人もハッピーになれるヒントが満載。
writer

黒沢祐子
yuko KUROSAWA
ウェディング・ライフスタイルプロデューサー。
東京、神戸で7年以上ウェディングの現場を経験し、「より密にお客様と対峙したい」という思いから、2008年よりフリーランスへ。会場探しから共に行うスタイルが好評で、2016年にYUKOWEDDINGを設立。現在までに1000組以上のカップルを担当する。
一方で、2020年の鎌倉移住をきっかけにライフスタイル事業をスタート。現在は東京を拠点に、美容、ファッションなど総合的にプロデュース。2022年より、プライベートサロン「Y’s room」を主宰。
instagram@yukowedding
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