幸せの連鎖が生まれる「手土産」/黒沢祐子【食べる門には福来たる】

仕事に全力を注いだり、家族を支えたり。私たちは、常に“誰か”のために忙しい。
だからこそ、本当は一番大切にしたいはずの自分の心を置き去りにしがちです。自然体で丁寧な生き方にファンの多い、ウエディング・ライフスタイルプロデューサーの黒沢祐子さんに、「食」を軸に自分を喜ばせるためのヒントを教えていただく連載「食べる門には福来たる」。

10月も後半になると、早くも感じる年末の気配。
第8回のテーマは「手土産」。集まりごとの多くなるこの季節。相手に気を使わせずに、気持ちを伝える黒沢さん流のギフト選びのアイデアを伺いました。

まずは、SNSなどを使って相手の“今”を知る

もう10月も後半。あと少しすれば、クリスマスや忘年会、ちょっとしたパーティなどのイベントが増えてきますよね。
そんなときに手みやげをお渡しする機会もあると思います。
悩んだら、まずはシチュエーションから考えますよね。オフィスに伺うのか、ご自宅なのか、それとも会食先なのか…。

私の場合はSNSで繋がっている人も多いので、久しぶりに会う方であれば、友人でも目上の方でも近況をSNSなどでさりげなくチェックしておくようにしています。
家族が増えたり昇進したりと、会わない間にきっと何かしらの変化があるはず。相手の様子をイメージしてから、それに合わせて「お酒にしようかな?」「お花を添えようかな?」と考えるようにしています。

豊かな体験や発見を添えたい

定番の手土産を自分のなかにストックしている方も多いのではないでしょうか。

私にもいくつか鉄板があるので、ご紹介したいと思います。
まず、溶けることを気にしなくていいこれからの季節には、『HIGASHIYA』の棗(なつめ)バター。もっちりとした干し柿に白餡と口どけの良いバターを挟んだ「柿衣」という冬季限定は、お茶にもお酒にも合ってとても喜ばれます。

9月9日の重陽の節句には菊の砂糖菓子、節分には小さな鬼のお面がついた素敵な節分豆など、季節の節目でお会いする方にはそれに合わせたものをお渡しすることもありますね。

ちなみに夏の定番は、蓮粉と和三盆で練り上げたお菓子を笹で包んだ『紫野和久傳』のれんこん菓子 西湖(せいこ)。カゴに入った涼しげなセンスも好きなんです。

ちょっと珍しいものなら、上質な線香花火で夏の思い出ごとプレゼントしたり、いくらあっても困らないような、ちょっといいお塩を選んでみたり。親しい関係であれば、ファーマーズマーケットで買ったオーガニックレモンを1つだけサッと手渡すことも。

ライフスタイル提案という仕事に加え、もともと贈り物好きな性格ということもあり、私のプレゼントで、なにか豊かな体験や発見をしてもらえたら嬉しいですね。

柿衣
『HIGASHIYA』の冬季限定「柿衣」 (画像提供:HIGASHIYA)
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ホリデーシーズン、こんな手みやげはどう?

気の置けない間柄でワイワイ楽しむシーンだと、1000円ぐらいで買える気軽な食べ物もいいですね。ホリデーシーズンなら、かわいいチョコレートバーなども良さそうです。
女性だけの集まりなら、お花を1輪ラッピングしてもらって持って行くこともあります。サラッと頼めるお花屋さんを近くで探しておくといいですね。

クリスマスのシーズンにはオーナメントを渡すことも。その人の雰囲気に合ったものを選ぶんですが、テーブルに置いておいても観葉植物に吊るすだけでもかわいい。ちょっとした季節感やワクワク感を楽しんでもらえると嬉しいなと思います。
クリスマスプレゼントやお誕生日など、手みやげというよりちょっと特別なシーンであれば、『Diptyque』のホリデーコレクションからキャンドルをプレゼントするのも私の定番です。

空間や食卓を豊かにしてくれるアイテムは、ギフトにもおすすめ。
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メッセージカードに想いを添える

手みやげで一番大切なのは品物が高級かどうかではなく、何よりも心。
メッセージカードは心を伝えるためにも大切なので、気に入ったデザインのカードを常備しています。

「いつもありがとう!」など、添える言葉は本当にちょっとした一言でいいと思うんです。
「ありがとう」って魔法のような言葉で、言われて嫌な人っていないはず。
私自身、友人からちょっとしたメッセージが届くと、「忙しいなかでも私のことを想ってくれたんだなぁ…」と、とても幸せな気持ちになります。
手みやげと一緒に言葉を乗せるだけで、贈る側ももらう側も心が温かくなるような幸せの連鎖が生まれるもの。

もし手みやげに困ったとき、今月のお話が少しでも役立てば嬉しいです。

連載:食べる門には福来たる

ウエディング・ライフスタイルプロデューサーの黒沢祐子さんに、「食」を軸に自分を喜ばせるためのヒントを教えていただきます。自分も、大切な人もハッピーになれるヒントが満載。

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writer

黒沢祐子

yuko KUROSAWA

ウェディング・ライフスタイルプロデューサー。
東京、神戸で7年以上ウェディングの現場を経験し、「より密にお客様と対峙したい」という思いから、2008年よりフリーランスへ。会場探しから共に行うスタイルが好評で、2016年にYUKOWEDDINGを設立。現在までに1000組以上のカップルを担当する。
一方で、2020年の鎌倉移住をきっかけにライフスタイル事業をスタート。現在は東京を拠点に、美容、ファッションなど総合的にプロデュース。2022年より、プライベートサロン「Y’s room」を主宰。
instagram@yukowedding