苦楽園の名バー『BAR THE TIME』が30年の歴史に幕
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突然のお手紙が…
「二人で撮ってもらったこと、あんまりないから…」と照れながらも、カメラに笑顔を向けてくれたのは、80代となった宇座忠男さんと、千恵子ママ。今年秋に撮影した『BAR THE TIME』ご夫婦の素敵なツーショットです。
9月に飲みに伺い、お元気な姿を拝見した際は、「少しゆっくりと週3日の営業を続けていくつもりです」と仰っていたのですが…。
先日、一通の手紙が届きました。
「年末を区切りとしてBAR THE TIMEに幕を下ろす事に致しました」。
切り絵作家・成田一徹さんも愛したバー
オレンジの華やかな香りが漂う、サイドカー1300円は名物カクテルの一つ。コースターには、切り絵作家の成田一徹さんの作品が使われています。バーを愛し、バーに愛された成田さんもまた、この店の常連の一人でした。
グラスの下には「MEN’S BAR」の文字が隠れています。「英米でスタッグ(牡鹿)バーと呼ばれる、男臭いバーをやりたかった」。2013年のインタビューで宇座さんは話してくれましたが、もちろん女性もウエルカム。私にとっても居心地よきバーです。
オーセンティックながら、アットホーム。広い店内にはテーブル席もあり、窓には夙川の四季が広がります。桜の時季はひときわ明媚でした。ほっこりと酔えて癒される。そんな時間が『BAR THE TIME』にはありました。
記憶に残るバーテンダー
弊社から12月2日に出たばかりの『神戸・芦屋・西宮100選』にも掲載した貴重な一軒が、発売後すぐに閉店してしまい、読者の皆様には申し訳なく思っております。ですが…。関西のバー文化を牽引した素晴らしいバーテンダーの尊い姿を、皆様の記憶に残せることができるのならば幸いです。
折り目正しい接客で、所作が一つ一つ美しい宇座さんのバーテンダーとしての時間は、残りあと少し。
「お客様にとって心に残る『ひととき』となりますように精一杯務めて参りますので
最後までどうぞよろしくお願い申し上げます」。
終幕を告げる手紙は、こんな一文で締めくくられていました。
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- 店名
- BAR THE TIME
- 住所
- 兵庫県西宮市石刎町2-2 マスターズクラフト2階
- 電話番号
- 0798-70-1623
- 営業時間
- 18:00~23:00
- 定休日
- 月~水曜休
- 交通
- 苦楽園口駅から徒歩1分
- 席数
- カウンター9席 テーブル28席
- メニュー
- カクテル1100円~。特製ピザ1200円。※チャージ500円(チャーム付き)