鳥取の清酒が念願のGI認定!でも、GIって何だ?

2025年11月、鳥取の8蔵15銘柄の清酒が、厳正な審査を経てGI認定を獲得。悲願を叶え、各蔵が意気込みを見せている。けれど、そもそもGIって何だろう?そんな素朴な疑問に答えつつ、栄えある認定酒15銘柄を一挙ご紹介!

そもそもGIとは?

「GI」とは「GEOGRAPHICAL INDICATION」の略で、和訳すると「地理的表示」。特定の地域で育まれてきた、その土地の気候や風土と結びついた品質や歴史を持つ産品の名称を登録する制度のこと。ごく簡単にいうと、産地を国が保証するもの。現在世界各国で同様の制度が設けられている。

では、どんなメリットがあるのだろう? GI表示を許されるのは、登録された基準を満たす産品のみ。ブランド価値の保証と向上に繋がるほか、名称の不正利用や模倣品を国が取り締まってくれるため、ブランド保護にもなる。加えて、登録された品に特定のGIマーク使用が許されることで、他産品との視覚的な区別が明確にできる。

GI鳥取のロゴデザイン
日の丸と鳥取の「鳥」を融合させた躍動感あるロゴデザイン。「junmai sake」と入っているのはGI鳥取だけ(2026年2月時点)。
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誰がGI認定を目指したの?

今回清酒のGI認定に取り組んだのは、「青醸会」と呼ばれる鳥取県酒造協同組合の青年部だ。東西に長い地形ゆえに、酒質ひとつとっても東部・因幡(いなば)と西部・伯耆(ほうき)では個性が異なる鳥取。「それらの共通項を探って一つにまとめ上げる苦労は大きかったけれど、酒蔵同士がコミュニケーションを取り合う良い機会になりました」と話すのは、青醸会の一員で『千代むすび』酒造6代目の岡空 聡さん。「GI認定はゴールではなく、ツール。ここから鳥取の酒を盛り上げます」と意気込みを見せる。

原料や製法の基準は?

産品を明確に位置付けるための原料や製法は、申請者側が確たる裏付けと共に申請して認定を受ける流れ。鳥取で醸される清酒の7割以上が純米酒という特徴も基準に取り入れた、以下の7項目が定められている。

・米及び米こうじに鳥取県内で収穫した米のみを用いたもの。
・水に鳥取県内で採水した水のみを用いたもの。
・鳥取県内において製造したもの。
・純米酒であること。
・酒米の蒸しには甑(こしき)を使用すること。
・米こうじは、「盛り」以降の工程は一つの容器に対して40kg以下のロットで造ること。
・こうじ米の使用割合が20%以上であること。

強力イメージ
認定酒15銘柄のうち、半数以上に使用されている酒米「強力(ごうりき)」は、鳥取固有の酒造好適米。背丈が高く倒伏しやすいという栽培リスクから一時姿を消したが、熱意ある生産者らの連携により30年ほど前に復活を遂げた。山田錦の祖父に当たる雄町のルーツという説も持つポテンシャルの高い酒米は、‟鳥取だけの味“を醸せるアイテムとして重用されている。
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山並みイメージ
海を背に大山町から見た美しい鳥取の山並み。大山を中心とした中国山系の周辺には、ミネラルを程よく含んだ名水が数多くある。
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味わいに決まりはあるの?

GI鳥取の味について厳格な取り決めはないけれど、共通する大まかな特性はある。味わいの観点で言うと、「燗にすることで旨さが際立つ、いわゆる燗上がりする酒が多い」「キレがありながら米の旨みをしっかり感じられる」「海産物をはじめとした料理を引き立たせ、口中で完成させる食中酒である」などが特性として挙げられている。

燗酒イメージ
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GI認定の8蔵15銘柄はこちら!

今回GI認定を受けた清酒15銘柄は以下の通り。東西に長い鳥取県らしく、共通項がありながらも蔵ごとの個性があるので、ぜひ飲み比べていただきたい。

岩美町『高田酒造場』

瑞泉(ずいせん) 純米大吟醸
瑞泉 純米吟醸
瑞泉 純米酒

『高田酒造場』瑞泉
県東部の港町、岩美町浦富にて1907年創業。『高田酒造場』がミネラル豊富な天然水で仕込む酒は、昔ながらの淡麗辛口。漁業や農業を生業に暮らす人々の日々の楽しみとして飲み継がれている「瑞泉」の純米大吟醸・純米吟醸・純米酒は、一貫して米の旨みを最大限に引き出した濃醇な味わいが魅力。
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鳥取市『中川酒造』

いなば鶴 純米大吟醸 強力
いなば鶴 純米吟醸 五割搗き強力
いなば鶴 特別純米 ろくまる強力

『中川酒造』いなば鶴
一時栽培が途絶えた酒米「強力」復活に尽力した『中川酒造』の創業は1828年。鳥取市・源太夫山の湧き水を仕込み水にしている。認定酒は「いなば鶴」強力シリーズの3銘柄。力強く男性的な「純米大吟醸」、シャープでキレのある「五割搗き」、芳醇辛口な「ろくまる」と、酒米・強力の精米歩合による味の違いを呑み比べできる。
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智頭町『諏訪酒造』

諏訪泉(すわいずみ) 純米大吟醸 鵬(おおとり)シルバー
田中農場 強力 純米吟醸原酒

『諏訪酒造』諏訪泉、田中農場
宿場町の面影を残す智頭町にて1859年創業。‟天(最高)のない酒造り“を心がける『諏訪酒造』の認定酒は、酒米もシリーズも異なる2銘柄。山田錦を醸した「諏訪泉 純米大吟醸 鵬」は風格のある端正な旨み。約3年の熟成を経た「田中農場 強力 純米吟醸原酒」は、55℃の熱めの燗で真価を発揮する角のない辛口。
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若桜町『太田酒造場』

辨天娘(べんてんむすめ) 純米 強力

『太田酒造場』辨天娘
燗酒向きの飲み応えある酒で知られる『太田酒造場』の創業は1909年。近年は酒米全量地元若桜町産、米農家ごとにタンクを分ける稀な取り組みでも有名。 蔵で3年熟成させた「辨天娘 純米強力」は、60℃まで温めると奥深い旨みが花開く。
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鳥取市『山根酒造場』

日置桜(ひおきざくら) 伝承強力
日置桜 特別純米 青水緑山
日置桜 純米酒

『山根酒造場』日置桜
田園風景広がる鳥取市の里山にて1887年創業。「醸は農なり」をスローガンに掲げる『山根酒造場』が醸す「日置桜」は、爆発的に燗上がりする米の旨み溢れる酒。「伝承強力」はどっしりした酸と緻密かつ濃密な旨み、酒米に山田錦と玉栄(たまさかえ)を使った「青水緑山」は瑞々しさと青い香りが持ち味。玉栄を使用した「純米酒」は安心感ある米の旨み。
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琴浦町『大谷酒造』

鷹勇(たかいさみ) 純米吟醸 強力

『大谷酒造』鷹勇
山海に挟まれた鳥取県中部・琴浦町で1972年から続く『大谷酒造』。造り手の顔が見える辛口の酒造りに心血を注ぐ蔵の看板商品「鷹勇 純米吟醸 強力」は、ボディは重厚。それでいて透明感と酸のバランスが抜群。
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境港市『千代むすび酒造』

千代むすび 純米大吟醸 強力50

『千代むすび酒造』千代むすび 純米大吟醸 強力50
弓浜半島北端・境港で1865年から続く『千代むすび酒造』の信条は‟進化する老舗“。海外進出を視野に、伝統と革新の酒造りに挑み続けている。主力商品「強力50」は程よくフルーティーでキレの良い後口。
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伯耆町『久米桜酒造』

生酛純米酒 八郷(やごう)

『久米桜酒造』八郷
創業地・米子から大山山麓へ移転して60余年。醸造地の空気感ある酒を追求する『久米桜酒造』は、2022年から全量生酛造りに徹している。地元の米処を冠した「八郷」は生き生きとした酸味と軽快な複雑味が印象的。
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GI鳥取の認定酒を得た8蔵の中から、注目の3蔵を紹介!

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