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路地奥にたたずむ京都『麩屋町のざき』で、2軒の名店のエッセンスを受け継ぐアラカルトと日本酒を。

遠くに住む友人が「季節のおいしいアラカルトが食べられる京都らしい店」を教えてと連絡してきた。その際、頭に浮かんだのが『麩屋町のざき』。酒肴をつまみつつ、冷酒をチビチビ…と妄想するうちたまらなくなり、知人を出し抜いて予約。空腹の虫をなだめながら暖簾をくぐった。

イタリア料理のテイストも時に加える

京都『麩屋町のざき』入口
京都『麩屋町のざき』店内
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多くの人が行きかう四条通から南へ。しばらく歩くと、白い暖簾が目印の路地が見えてくる。その奥にたたずむ築80余年の町家に、人気イタリアン『リストランテ野呂』の3号店である『麩屋町のざき』がオープンしたのは2025年の夏。『京都吉兆』で12年にわたって修業した上野貴吉さんが腕を振るっている。

「最初は嵐山の本店へ。調理師学校を出たばかりで、何もわからないことだらけでしたから本当にいろいろ教えていただきました。2年間お世話になった『洞爺湖店(現在は営業を終了)』では北海道ならではの食材の可能性を、『HANA吉兆』ではアラカルトについて学ばせていただきました」

その後、縁あって『麩屋町のざき』を任されることが決まってからは『リストランテ野呂』でイタリア料理も習得。その経験も活かしながら、昼は手軽なコースや丼物、夜はアラカルトを提供している。

日本酒のラインナップも充実

上野さんは大の日本酒好きで、自身の作る料理に合う銘柄の数々を取り合そろえている。そのなかから、一品目に選んだ冷菜の相棒にと薦めてくれたのは、京都府京丹後市の『白杉酒造』が醸した「キメラ」だ。

「白・黒・黄、3種の麹を使って仕込んだ、キレと香りが特徴の日本酒。ギリシャ神話に登場する、ライオンと山羊の頭、蛇の尻尾を持つ“キメラ”をイメージして、その強さと個性を表現しています」

「キメラ」は色合い、香り共にまるでワインのよう。リコッタチーズと絹ごし豆腐で作る和え衣を掛けた、コクのある白和えがそのフルーティな飲み口をさらに際立たせてくれた。

京都『麩屋町のざき』リコッタチーズの白和え
和え衣には、なめらかになるまで混ぜた絹ごし豆腐に、たっぷりのリコッタチーズを加えている。具材は時々で変わるが、この日はキウイとブロッコリー、ソテーしたシイタケやズッキーニ。果物はイチジクやブドウ、柿、イチゴなどを使うこともある。1人前660円、キメラ120ml、1100円
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本店の看板メニューを大胆にアレンジ

2品目は、名物に位置づけるメンチカツ。『リストランテ野呂』の看板メニューであるメンチカツをアレンジしていて、時々の白身魚を粗めにたたいて作るすり身に、シャキシャキの歯ごたえがアクセントになるレンコン、ピーマンや大葉を刻み入れて細挽きのパン粉をつけて揚げている。

サクサクの揚げたてにかけるのは、トマトとパプリカを炒めて煮詰めたソースに、みりんや醤油、バルサミコを加えてさらに煮詰める特製ソース。まさに日本とイタリアが調和している。

「メンチカツには、私の故郷でもある福井県の『加藤吉平商店』が仕込んだ無濾過大吟醸、「梵 GOLD」が合うと思います。マイナス10℃で1年間熟成させたお酒がブレンドされていて、その名前通りの美しい黄金色がポイント。メンチカツやソースのコクにも負けない旨みがあり、かつ油分をサラッと流してくれます。」

京都『麩屋町のざき』メンチカツ
メンチカツにはサラダが添えられる。この日の白身はタイ。隠し味として白味噌を加えている。1500円
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両親が育てたコシヒカリを土鍋炊き

メインに位置づけるべき料理は、「近江牛」のイチボを使うローストビーフとぐじの塩焼きのどちらにするか悩んだ末、塩焼きに決定。カウンターから炭床で焼き上げられる様子を見守る。

「ぐじは200℃の油でサッと揚げてウロコをサクサクにします。その後、炭火で余分な脂を落とす感覚で火入れしていきます。」

程よく脂がのった身とクリスピーなウロコは「GOLD」との相性も抜群。カボスをキュッとひと絞りする。ぐじの味わいが一層華やかになった。

京都『麩屋町のざき』ぐじ塩焼き
箸休めとして添えるのは紫キャベツの酢漬け。1725円
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〆の土鍋炊きご飯も名物のひとつ。使う米は福井県産のコシヒカリだ。

「両親が頑張って育ててくれています。ありがたいですよね。」

ご飯の具材は店内の黒板に書かれている。今日はタイ、しらすと万願寺唐辛子がスタンバイ。メイン同様、どちらにするか迷ったが、タイをオーダー。塩焼きを食べ終わる頃、ちょうど炊き上がった。

カツオと昆布のだしに塩と醤油、たっぷりの針ショウガとタイの身を加えて炊いたご飯からは馥郁(ふくいく)たる香りが立ち上る。焼いたタイの切り身、錦糸玉子、ミツバを乗せたご飯をアッと言う間に一膳を平らげてお替りをするも、3杯目をどうしようか躊躇していると…。

「食べ切れなかった分はおにぎりにしますよ。お夜食になさってください。」

京都『麩屋町のざき』本日の土鍋ご飯
『雲井窯』の土鍋で炊くご飯はツヤツヤ。具材によって価格は変わる。一合2500円~
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この夜のお会計は、リコッタチーズの白和え660円、メンチカツ1500円、ぐじの塩焼き1725円、タイの土鍋ご飯一合2500円、キメラ120ml1100円、梵GOLD120ml1100円、合わせて8585円。夜食用のおにぎりまで持ち帰れる幸せをかみしめながら、足取り軽く家路に就いた。

飲んで食べてもだいたい10,000円!

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writer

小林 明子

kobayashiakiko

京都在住フリーライター。缶入りクッキー、ワッフル、薯蕷饅頭、そば餅…、これらの名店に徒歩で行ける京都市の烏丸御池近くに生まれる。自動的に甘いもの好きが出来上がりました。

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