毎日でも通いたい!大阪・谷町四丁目『マカウダ』の日替わり本格パスタランチ

お昼時、中央大通りから1本入った角の店前には待ち客が数人。いつもの光景だ。ガラス戸越しに見える店内はもちろん満席。若いスタッフがキビキビと動き活気が外まで伝わってくる。ランチ激戦区・谷町界隈の1軒、イタリアン『マカウダ』をご紹介。

1000円代のパスタランチは日替わり2種

ランチタイムのメニューは、日替わりパスタとサラダとパンのセットが2種類。乾麺のAと自家製麺のBがあり、取材日のAランチは、タコとアーモンドとバジルのトマトソーススパゲッティ。オーソドックスなトマトソースやバジルソースとも違う、アーモンドの香ばしさがユニークだ。
「これはトラーパニ風、シチリア西部地方の伝統的な組み合わせです」と店主の濱口晃洋さん。

『マカウダ』Aランチ
Aランチ1100円。パスタは、コシが強く歯切れの良い食感が特徴のスパゲッティ「グランフィーロ」(モンテ物産)を使用。トマトソースの中にクラッシュしたアーモンドの香ばしさが光る。
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『マカウダ』ランチのサラダ
ランチのサラダ。グリーンサラダだけでなく生ハムに水ナスのマリネ、赤玉ねぎのピクルス、パネッレというひよこ豆を練り上げて揚げたシチリアのストリートフードも盛り込まれていて、前菜と言ってもいい内容。
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南イタリアに魅せられた働き者のシェフ

濱口さんは、新町の人気イタリアン『トラットリア パッパ』にて3年、その後近くにオープンした姉妹店『バールパッパ』で7年経験を積み、店長まで務めた。そして、単身イタリアへ。2年半の間にミラノから南下してシチリアまで武者修業の日々を過ごしたのだそう。「特にプーリアやシチリアなど南の地方が気に入った」というのは、生まれ故郷の和歌山に似た空気を感じたからか。今も、南イタリア風の食材の組み合わせを好んで使うらしい。

それにしても忙しそう。昼時はひっきりなしにパスタを作り続けている。「そうですね、昼は客席が3回転くらいはします」と濱口さん。
「年間にしたら2万2、3000食ほどは作っていることになります。そう考えると、『なかなかすごいじゃないか、自分は』と思えて、強い充実感を覚えるんです」。南イタリアが性に合うという濱口シェフは快活に笑う。
オーダーに追われているくらいがやりがいを感じ、楽しいという44歳。 パスタランチはニーズはあるのに、あまり利益に繋がらないから…と敬遠するシェフが多い中、稀有な人だ。
「確かに売上だけ考えるならコース料理やってる方がいいんですけどね。売上より『何食作ったか』が僕にとっては満足感のバロメーターになるんですよ」。
独立するにあたって、ランチをやりたいから昼は戦場になるビジネス街で場所を探したというほどだから、本当にガンガン作り続けるのが楽しくて仕方ないらしい。

『マカウダ』濱口シェフ
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『マカウダ』店内
2019年にオープンした店内。コンクリート打ちっぱなしの床や壁に、スチールと木を組み合わせた家具が配された、カジュアルだけどスタイリッシュな空間。木は和歌山の杉を使用。
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メイン料理やデザート追加もOK

さて、1300円のBランチもご紹介しよう。取材日の自家製パスタはスパゲットーニ。太めの食べ応えあるパスタだ。カツオとドライトマト、ケッパーのソースで、これも南イタリア風。アンチョビやイタリアンパセリ、そしてオレンジの粉はカラスミかと思ったら、アンチョビやトマトと共に焼いた「焦がしパン粉」だった。サクサクとした食感も楽しい。

サラダと自家製フォカッチャかバゲットが付いているけど、もっとしっかり食べたい時には、+600円でメイン料理を追加することもできる。この日のメインは、天然鯛のムニエル。『パッパ』仕込みの魚料理はお手の物。パレルモ風カポナータは、ナス、ケッパー、セロリなどが煮込まれた甘酸っぱい味わいで、鯛の良きアクセントに。オーダーが通ってから焼くので、お時間に余裕のある日にはぜひ。

夜もコースよりアラカルト中心で、シチリア産の古代小麦のスパゲッティや自家製麵などを使った10種以上のパスタを用意している。若い女性を中心に、家族連れも案外多いとか。カジュアルな雰囲気で肩肘張らずに本気のイタリアンを気軽に味わえるので、夜にゆっくり訪れるのもいい。
不思議な語感の店名はどういう意味かと訊ねてみたら、「シチリアの苗字のひとつで、意味はないんです。けど、なんか濁点ある感じがおしゃれ過ぎなくていいでしょ」と、シェフは陽気に笑った。

『マカウダ』Bランチ
Bランチ1300円。パスタは太めで弾力感のある自家製のスパゲットーニ。柵で仕入れたカツオを店でカット。大きな塊がゴロゴロ入っている。
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『マカウダ』ランチのメイン料理
+600円でメイン料理を追加。ふっくら焼き上げた鯛に甘酸っぱいカポナータを重ねた爽やかな一皿。
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『マカウダ』ランチのデザート
+300円でデザートの追加も可能。この日はレモンのジェラート。
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『マカウダ』外観
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writer

団田 芳子

danda yoshiko

食・旅・大阪を愛するフリーのフードライター。その地の歴史や物語を感じる食べ物・気質・酒が好物。料理人さんに“姐さん”と呼ばれると、己の年齢を感じつつもちょっとウレシイ。著書に『私がホレた旨し店 大阪』(西日本出版社)、 『ポケット版大阪名物』(新潮文庫・共著)ほか。