インパクト大、唯一無二のシュークリーム。兵庫・西宮『パティスリー タケアート』の夙川のキャベツ
圧倒的存在感の名前とヴィジュアル
こんがり焼き色をつけたシュー生地の間から、天高らかに、そしてエレガントに絞った純白の生クリーム。ショーケース越しに目が合った瞬間思わず二度見してしまう銘品が、ネーミングも愉快なシュークリーム「夙川のキャベツ」だ。
もともとシュークリームの「シュー」とは、フランス語で「キャベツ」を意味するが、そこに地名の「夙川」を併せ「覚えやすくしました」と大きく笑う『パティスリー タケアート』オーナーシェフ・湯浅健典さん。
「そのまま並んでいても、ひと目でうちのお菓子とわかるものを作りたかった」と話し、自身のヘアスタイルと同じモヒカン頭をイメージして生クリームを絞ったという。その存在感は圧倒的だ。
パイ生地とシュー生地、2種のクリームの四重奏
一見するとボリュームのあるシュークリームなのだが、その構造は知れば知るほど緻密であり、スタンダードなシュークリームの枠には到底収まらない。
というのも、軸となるシュー生地は、シューをパイ生地で包み、約210℃超えの平窯で70分以上かけてじっくりと焼成。パイの1枚1枚の層までしっかり火を通すことで、特有の香ばしさとザクッとした心地よい歯ざわりがシュー生地と合わさり、時間が経ってもおいしさや食感をキープしている。
生地の中に潜むのは、卵のコクにドイツ産のブランデーがふわりと香る濃厚な自家製カスタードクリーム。「生地に負けないよう、やや硬めに炊き上げています」と湯浅シェフ。そこへ上質な純生クリームが惜しげもなく絞られる。
ひと口頬張れば、香ばしさと芳醇なコクが広がり、後口は驚くほど軽やかにすっと消える。
選ぶ楽しさも人気の理由のひとつ。フルーツが豊富な春夏にはご覧のブドウやモモ、自家製のレモンカスタードを使った檸檬のキャベツなどが。秋冬は柿やラ・フランス(洋梨)も登場する。
生地でクリームをディップする、おすすめの食べ方
ケーキと思うほどの堂々たるボリュームゆえ「どうやって食べるのが正解?」と戸惑う人も多いはず。シェフ直伝の食べ方は、実にユニークだ。
焼成後の生地「キャベツ」は中央から真横にスライスされ、さらに上の部分を縦半分にカットして2つに分け、絞った生クリームの両脇にちょこんと添えられている。
まずはこの両脇の生地を外し、山盛りの生クリームをディップして味わうのがおすすめだ。
堪能したら、濃厚なカスタードクリームがたっぷり詰まった土台部分を豪快にガブリ。
この食べ方は、手土産を持って行った先での話題作りにも一役買ってくれるに違いない。
伝説の味を受け継ぐ、もうひとつの看板
ショーケースの中で静かに輝きを放つ「アルハンブラ」も見逃せない看板のひとつだ。
かつて神戸で愛された名店、旧『スイス菓子 ハイジ』(※)で20年以上にわたり腕を振るい、そのうち6年半は「アルハンブラ」の製造を担っていたという湯浅シェフ。
「アルハンブラは卵、砂糖、小麦粉、ココアパウダーというシンプルな配合で焼き上げたスポンジ生地に、チョコレートガナッシュを挟んだお菓子。とてもふわっふわで柔らかいため、カットするのも大変なんです。『ハイジ』では和菓子を個包装するマシンで包装していましたが、現在はひとつひとつセロファンで包んでいます」
まるでシフォンケーキのように空気を含み、極限まで柔らかく焼き上げたフワフワな生地とチョコレートは舌の上でシュッと消え、繊細かつ儚い口溶けが印象的。往年のファンが「懐かしい」と足を運ぶのも納得だ。
※現在の西宮・苦楽園にある『ハイジ』の前進となった洋菓子店
朝焼きのフレッシュな味に出合える場所
「夙川のキャベツ」も「アルハンブラ」も、毎朝早くから湯浅シェフが一人で厨房に立ち、丁寧な手仕事で作り上げる。
百貨店の催事や通販には一切出さず、手に入るのは夙川の実店舗のみ。
洋菓子激戦区である阪神間が生んだ職人魂あふれるご馳走スイーツは、大切な人へ胸を張って贈ることのできる、間違いのない手土産だ。
data
- 店名
- パティスリー タケアート
- 住所
- 兵庫県西宮市若松町4-10
- 電話番号
- 0798-74-0997
- 営業時間
- 10:30~18:40 、土・日・祝は10:30~18:00
- 定休日
- 不定休あり(Instagramを参照)
- 交通
- 阪急夙川駅南口より徒歩6分、JRさくら夙川より徒歩5分
- メニュー
- 夙川のキャベツ500円〜、ザッハ・トルテ699円、窯出し濃厚チーズケーキ590円、アルハンブラ350円、フィナンシェ259円、西宮のシューラスク693円など。
- 公式サイト
- http://take-art.biz/

recommend





